長編|恋愛ファンタジー|命を狙われる覚えは?-9-
返り血に衣を赤く染めて戻ってきた二人の姿に、ハルは息を呑む。リドルフは、なにも言わずに静かに立ち上がり、懐紙を取り出してセティの白い頬にはねた人血を拭った。
「早く流していらっしゃい。染み付きますよ」
その言葉でハルは彼らの身を汚しているのは、返り血なのだということに気がついて、安堵する。
セティはただ素直にリドルフの言うことに従った。黙ってひとり今戻ったばかりの部屋をあとにする後ろ姿と、それを見つめる感情が読みにくい空色の瞳の持ち主とを見比べて、ハルとメイラはなん