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長編恋愛ファンタジー小説|シャングリラ

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長編/恋愛/ハイファンタジー/シリアス/R15/完結済作品連載(80万字)/毎週末更新だけど、読む人がいなくなったらやめる 【内容】 謎の美青年と異国の王子の邂逅がおこす、歴史の…
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記事一覧

長編|恋愛ファンタジー|あべこべ -15-

 城郭都市ラガシュ。  北はナディール、東はアドリンドとの国境にほど近い場所に位置し、古…

市井へい
46分前
1

長編|恋愛ファンタジー|太刀筋が違う-14-

「見当違いの問題が解決されたところで、殿下。これはいかがいたしますか?」  メイラの言葉…

市井へい
7日前
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長編|恋愛ファンタジー|巡検使は王子殿下-13-

「婆さん! ハル! ちょっと」  白覆面達の遺体の検分をしていたセティが、手招きをしてい…

市井へい
2週間前
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長編|恋愛ファンタジー|余所見などするな-12-

 干し肉、小麦を薄くのばして焼いたもの、それに水。簡単な食事を済ませた一行は、再び歩きは…

市井へい
3週間前
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長編|恋愛ファンタジー|彼らについて知っているのは、表面的なことばかり-11-

 昼寝は怠惰である──。  北の国での常識は、暑い国で生活する人間たちにとっては、とんだ…

市井へい
4週間前
4

長編|恋愛ファンタジー|利害の一致「契約成立だな」-10-

「どうやって?」  間髪入れずに返された問いに、ハルは苦笑し、メイラは憮然とする。  先…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|命を狙われる覚えは?-9-

 返り血に衣を赤く染めて戻ってきた二人の姿に、ハルは息を呑む。リドルフは、なにも言わずに静かに立ち上がり、懐紙を取り出してセティの白い頬にはねた人血を拭った。 「早く流していらっしゃい。染み付きますよ」  その言葉でハルは彼らの身を汚しているのは、返り血なのだということに気がついて、安堵する。  セティはただ素直にリドルフの言うことに従った。黙ってひとり今戻ったばかりの部屋をあとにする後ろ姿と、それを見つめる感情が読みにくい空色の瞳の持ち主とを見比べて、ハルとメイラはなん

長編|恋愛ファンタジー|無用な殺生は好まない-8-

 部屋を出て階段を降りたところでセティはメイラと別れた。  左腰に佩いた剣の柄尻に左手を…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|宿の主人は買収された-7-

「囲まれたみたいだ」  足音もなく、いつの間にか戻ってきた女神の化身かと思うほど美しい青…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|ゆるやかな誘導尋問-6-

 ランプの炎が揺れ、ほの明るく照らし出された壁にうつる影が乱れる。  寝台のかたわらに引…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|そんなことが人の命を左右していいのか?-5-

「メイラ……この町には、カイを診てくれる医者はもういないんだよ」  ハルは嘆息して目を伏…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|出会いは偶然か必然か-4-

 宿の前には栗色の髪をした太った女主人と、見慣れない小柄な少年らしき人影があった。  「…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|誰がお嬢さんだ-3-

 食事を終えた二人は、宿まで港沿いの通りを歩いた。  この町に着いて、はじめの二、三日は…

市井へい
1か月前
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長編|恋愛ファンタジー|思い込みは簡単には破れない-2-

「ずいぶん不細工な顔だな、リド」  セティは目の前の青年に茶化すように言った。  面と向かって不細工と言われた青年──リドルフ・クライン・アナリは、全く気にしたようすもなく、先ほどからそうしているように黙したまま、機械的な動作で料理を口に運んだ。 「この顔は生まれつきです」  いつもと変わらぬ、涼やかなテノールで返された言葉にセティは苦笑した。こういう言い方をするときのリドルフはいけない。長いつきあいの中で、それは嫌というほどに学んでいる。 「いいかげんに機嫌を直して