記事一覧
友人の伴侶を罵ることなかれ
コミュニケーションの難易度、頂点に君臨する京都の女性のやり取り。
「娘さんピアノ上手になりはりましたなあ」
「ええ時計してはりますなあ」
はんなり笑顔で口にするその内実。ある種の訳、心の声。
〈ピアノうるさい、時間考えろ〉
〈時計見てみろ、もうこんな時間だぞ〉
だから間違っても「そんなことないですよー」とか「あ、気づいてくれました?」なんて口にしてはいけない。婉曲に伝えている
【序】わり、好きになっちった『うちのこ』
ソファに横になると漏れなく飼い猫おかゆがやってくる。
ひょいと飛び乗ると同時にお腹の辺りをふみふみすると、のどと言うよりは鼻を鳴らしながら香箱座り。4kg弱とはいえ重苦しい。寝返りを打って横に下ろすと、一度だけ強めの鳴き声がした。
膝を曲げる。ちょうど窪みにおさまった猫は、けれどぐるりと旋回すると腰を下ろして、再び鼻を鳴らし始めた。その背中を撫でる。
『母性』からの派生(母の視点)
子供のいない夫婦がペットを飼うことは世間一般にはかわいそうなことらしい。村山由佳さんがエッセイで書いていたが(彼女自身も子供がいず、『星々の舟』の作品中で登場人物を通じてごめんなさいと言っているのが印象に残っている)分からないでもない。私自身妊活中、子なしの先輩がうれしそうに犬の話をしているのを見た時、どこか上から目線の同情めいた感覚があったのを記憶している。まあ当事者となった今、周りにどう思わ
もっとみる我が家のかわいいを集めてこねこねしたらねこになった件について
共働きで家を空ける時間が長い分、いるときはべったりな元ノラ(♀)
私はソファに座りますが、そんな私に座る彼女。当然序列は上に当たります。
ソファをベッドとして使えば彼女もまた私をソファベッドとして使います。人はされたようにしますが、見ているねこもまた変わらぬ模様。
ねこは自分をねこだと思っておらず、さらには(これだけ見た目が違うにも関わらず)でかい仲間だと思って人を見上げているというのだから興味
猫が好かれるのはいいにおいがするから〜推薦図書、村山由佳さん『猫がいなけりゃ息もできない』〜2
『猫がいなけりゃ息もできない』はエッセイだ。だから基本的に一人称は「私」ごくたまに猫が関西弁を喋ることもある。幼い頃から猫とは限らず数々の命と共に成長し、引っ越しや出会いと別れを繰り返してきた作者と、生まれてから死ぬまで18年弱という歳月を共にした三毛猫「もみじ」その大切な日々を書き残したもの。
まずそもそも私が「基本的にその作品しか読まない」とした、物語を好む理由だが、端的に言えばそれは「物語
猫が好かれるのはいいにおいがするから〜推薦図書、村山由佳さん『猫がいなけりゃ息もできない』〜1
「知っている」と一言で言っても、その理解度には段階がある。
ただ意味を知っている。誰かを見て想像する。実際に体感する。
私にとって「愛憎」という感情は長らく深度1を保ってきた。それを深度3までぶっ飛ばしたのはただ一匹の元ノラ猫「おかゆ」。にゃあと鳴いて手招き。招くのは福だけではない。それは家族であるからこそ起こる感情の起伏。
猫好きがインスタやエッセイやTwitterで連日発信するのは、いか