わたしには、何もできない もうなにも 俯けど人、救いなどなく
愛ならば わかるがきっとそうでなく エモい短歌は書けないだろう
君がため 去りし野原に一辻の 剣となりて 雹、雨となる
捨てていく者の多さに乾涸びて 水を飲み飲み 泣いて暮らしぬ
おぼえてる くせしてなにも なにも
頭が痛む頭が痛むとけれども四人いては一部屋
インディゴに褪せぬ白色 曇天の火は雪となり雪は火となり
灰皿の谷間に落ちる雪は花降り
広くある肺の極めて内側な紫使い息をしている
掻き抱いてくれほむらの鳥よ わたしも船も青ざめた血も
たいていの出来事たちはまろく在り 帯びるほどには鋭さがない
まぐろ漬け保管容器にみちみちに 隙間ないようとろろ入れゆく
昨今は鼻血も出やる 廃液を見る すまない大理石に似た石で
海の辺に浸りて帰る 濡れたタオルと
いずれ着く歩いていけば人として何をせずとも停滞はなし