初期の野田作品のなかで、私がとっても好きなのが『小指の思い出』です。故意に車に当たって金を強請る「当たり屋」と、中世の魔女狩りの季節、妄想のストーブの薪を絶やさないようにしている三人の少年。野田さんが、黒のドレスを着て、スカートを翻して登場したのも鮮烈でした。
「弱者でも強者を倒せる。」 と野村克也氏(先日の『あの人に会いたい』)。「野球は意外性のスポーツ」が理由だが、それより何より伊東ゆかりと交際していた柴田勲の打席で「あなたが噛んだ小指が痛い♪」と彼女の曲を歌ったというエピソードは笑った。こんな事をする捕手が今いるのだろうか。