わたしは来る日も来る日もシャワーに入れない。わたしにとってシャワーは非日常だ。年に何回かだけの「体調の普通の日」をシャワーに充ててきた。わたしには体調のいい日などない。お湯が体に当たることは、こわい刺激である。痛いし、湯温は変化する。絶えず流動する液体を見るのは落ち着かない。
シャワーに入ろうと、ルーティーンでプロテインバーを食べた。上半身が重くて支度できない。横になった。頭がぼんやりする。どうしていいかわからない。おなかもすいてきた。疲れて動けない。どうしよう。嫌だなぁ、嫌だなぁ。困ったなぁ。どうしよう。困ったなぁ。どうすればいいんだろう。嫌だなぁ。
体がだるくてだるくて、シャワーに入れぬ。他の家事と違って、途中で休憩に帰れんけん。ごはんを食べるとおなかがすく。低血糖症じゃけん。くらくらする。ごはんを食べないと空腹で目が回る。皮ふがかゆくて耐えられん。洗髪が最大の悩みであり、生きる障壁。剃髪まで考える。ひんぱんな手入れが要る。
壮絶な吐き気が去ったときの幸福感と言ったらない。それは何物にも代えがたい喜びである。しかし、その好調は長続きしない。空腹なのに食べることが難しい。わたしには低血糖という敵もいる。これらとの戦いに毎日を捧げ、人生を奪われ、生死の境をさまよう。今日もシャワーに入れそうにない。悲しや。
胴体がだるくて、重くて、シャワーに入れない。準備を始めて9時間半。疲れた。人間になんか生まれるんじゃなかった。嫌な嫌な気持ち。いずれ死ぬのに、生きたくない。疲れが取れない。関節も下腹も痛い。悲しい気持ち。嫌だなぁ、嫌だなぁ。むなしい。夕ごはんもキャンセルかもしれない。疲れた。
夕ごはんを作るとシャワーに入れない。夕ごはんを作らないと食品が腐る。食品を買わなければ、できあいを食べねばならない。できあいはやわらかく味が濃い。許せないことだ。シャワーに入らないで衣服を替えるのは気持ち悪い。シャワーに入らないのも体がべたべたでかゆくてつらい。苦しい。むなしい。
シャワーに入る日、わたしは夕ごはん作りも外出もできない。この制約のせいで不自由。回数も限られる。シャワーが一生なければ苦悩せずに済むのに。このことがわたしの3番目の悩み。とはいえ生活にもっとも直結しているから、支配力は最大に感じられる。皮ふがかゆくてふるえる。じりじりと痛い。
悲しくてシャワーに入れない。おなかがすいてかなわない。シャワーに入るには衣服を脱がにゃならん。どうせまた着るのに。一生であと何回入るんだろう。いずれ死ぬのに。くらくらして力が入らない。食べ物がまずくて多く食べられぬ。困ったなぁ。皮ふがじりじりと痛がゆい。シャワーに入るべきだなぁ。
・あしたは夕ごはん作りをボイコットしたろうと思うが、週に一度の野菜の宅配日なのだった。消費期限が早いのでうかうかしていられない。 ・胴体がだるくてだるくてシャワーに入れない。困ったなぁ。 ・吐き気の中をがんばって食べた夕ごはん。胃がぞわぞわしてむかむか。空腹。嫌だなぁ、嫌だなぁ。
だるくてだるくて、シャワー前の支度を中断した。くらくらする。吐き気もある。わたしの洗髪は、立ちっぱなしで1時間の「重労働」なので今の体にはきつい。疲れた。朝ごはんを食べたらもうしんどい。しかも眠い。シャワーに入らないこともできる。おとといからのプレッシャーとストレスがむだになる。
今日は起きたのが1時で、1日がすぐ過ぎた。きのう仕込んだ漬け物がいやに甘い。なんと小さじと大さじを間違えるというミスにて。シャワーで消耗し、段ボールごみをまとめることができなかった。わたしのシャワーは準備30分、浴室1時間、出てから1時間半かかるもの。寝ても疲れが取れぬ。ふゥ。
おなかがすいてシャワーに入れない。ごはんを食べればいいじゃない。食後30分で空腹に舞い戻る。横になって休まねばならない。シャワー前の準備に30分、浴室で1時間、出てからのケアに2時間。浴室に何か持ちこんで食べることもある。途中でくらくらしても、中断して布団に帰ることはできぬ。
シャワーに入る準備中、だるくて衣服を脱げなくなった。シャワーは途中で布団に帰れない。2時間は横になれない。どうしよう、おまけに眠い。食後低血糖症が起きてしまった。空腹。疲れた。おなかがすいた、目が回る、おなかがすいた、苦しい、目が回る。疲れた、だるい、疲れた、シャワーに入れない。
今日のわたしは何の料理もできなかった。仕事も趣味もなく、食べ物を用意する以外にすることがないのに。わたしは自分にうんざりしている。生きるのに飽きた。体がだるくてシャワーに入れない。途中で休みたくなっても、布団に戻って横になれんじゃろ。それがきつい。とてつもない長丁場だし。
困った、困った。シャワーに入った日に夕ごはんを作れない。順番を変えてもだめ。なんとかせにゃならん。シャワーの頻度を上げたいし、食料品と作り置きもたまっている。シャワーに入った日には、テイクアウトのごはんを買ってきてもらわねばならない、という謎のルールがある。なぜこうなった。
シャワーに入れないことを、もう3日も前から悩む。くだらない。シャワーをあきらめれば済むことなのに。シャワーが年に1回か2回なら、死ぬ気でがんばる。複数の出張介護会社を調べた。約3,500円で自宅での洗髪サービスを受けられる。潔癖症じゃなけりゃ呼べた。かゆみがなきゃ人に任せられた。
シャワーに入ろうとして準備を始めた。めんどくさいというより、体力に自信がない。シャワーだけは途中で布団に戻って休憩することができないから。どうしよう。だるい、だるい、眠い。どうしよう。差し迫っているとは思えない。シャワーに入ったら夕ごはんを作れない。今日は夕ごはんのいらない日。