【一行怪談】 深夜にだけ稼働する自販機があるそうなのだが、 発色の良い赤と濃い赤紫の液体が入ったボトルを売っているらしい。
【一行怪談】 花嫁衣裳の女が夜の高速道路を横切ろうとしているし、よく見れば頭が見当たらない
アメリカのダウンタウンで、忽然と人が居なくなる神隠し的な現象が多発しているらしいが、未だ解決していない事から 【ギュスターヴの首運び】 と呼ばれているらしい。
隣の家から野太い男性の声で 「ぎゃっ!!」 と聞こえた翌日の朝から、玄関先に大量の盛り塩と噛み千切った風の爪が散乱している。
首をほんの少し下に傾けたまま微動だにせず、交差点の真ん中に立つ男がいるが、車はおろか自分以外の誰もその男が見えていないようだ。
「うーん、やっぱりこっちの方が収まりがいいわね」 と言い、母はアクリルの衣装ケースの中でギチギチに縮こまり眠りについた
蛍光灯を外して替えようとしたところ 「はい」 と渡され素直に受け取ったのだが、後ろには誰もいなかった
ある10階建てマンションの05と付く部屋の明かりが、9時を過ぎた辺りで上階から順に1回だけ明滅する
「誕生日おめでとう!」と渡されたクッキーから、どうにも鉄の味がする
信号で止まる斜め前のデリバリーピザのカゴから、容量を遥かに超える黒い虫が溢れ出している
本を読む時に頭の中で声がするというが、健康診断でレントゲンを撮った際、口の様な物が映り込んでいた
近所のおばさん達から頻りに 「あそこの子供は本当にしつけがなってないわよね」 と聞かされるのだが、この数年間1度も姿を見た事がない
夜な夜な自分を罵倒する声が聞こえるのだが、その出処がハムスターのいるケージからだと信じたくはない
【1行怪談】ステンドグラス 曾祖母の家に飾ってあるステンドグラスに描かれている女神は、年に数回血の涙を流すので、都度拭かねばならない。
この国では身分が高いもの程高いヒールを履かねばならないのだが、国王に謁見するにはヘリを使わねばならない。
割れそうな痛みが走る頭を割ると、痛みが無くなりすっきりとした気持ちになった。
あるアパートの一室に毎日の様に郵便物を届けているが、毎度差出人の名前と住所が違うし、毎度宛名が違っている。
「下着……歯ブラシ、充電器……よし、全部入れたかな……あ、違う違う、これ忘れてた」 と、修学旅行の準備をしていた娘が徐ろに、刃渡り30cmくらいの菜切包丁を旅行バッグに詰め込んだ。
人面瘡を出したくなければ、閏年に山に入ってはいけない。
呪いのCDかどうかは、裏面が逆再生出来るかで分かると言う噂
道端に転がる動物の死骸を覗いてみると、開かれた腹の内には単三電池が整然と並んでいた。
公園で遊んでいる子供のひとりに「つぎはあなたが鬼」と言われた瞬間、みるみる肌が変色し額から骨のようなものが生えてきた。
今日はどのテレビ番組をみても、演者の一人に全身が焼け焦げたように真っ黒のマネキンらしきものが紛れ込んでいる。
不注意で落とした赤べこの首が折れ、むきだしになった胴体のなかから同じ顔をした小さな首がわらわらと這い出してくる。