一行怪談まとめ(1~17)

久しぶりに実家に帰りアルバムを開いてみると、私の顔だけ黒く塗り潰されていた。

私の妹が生まれる直前に亡くなってから毎年あの子の誕生日になるはずだった日になると玄関に孵化する寸前の雛の死骸が置かれている

卵を割ったら親指大の赤ん坊の死体が出てきた

姉が好きな人に渡すチョコに細かくした自分の髪の毛や爪、さらには唾液まで入れているところを見て、私はチョコが食べれなくなった

毎年、何かに食いちぎられたような死体が打ち上がる近所の浜辺は、今日も穏やかに見える

自分の子供に嫌なことは先に終わらせなさいと言ったら、死ぬのが嫌だと言って窓から飛び降りた

妹が猫の鳴き声がすると言って玄関に駆けて行ったが自分にはしゃがれた老婆の笑い声にしか聞こえなかったので、慌てて追いかけた

今、我が家で母として振る舞っている人はどうみても母ではないのに、他の誰もそのことに疑問を持たない

子供が眠っているベッドの下から「お母さん、助けて」と子供の声が聞こえる

寝たきりの祖父の部屋で毎晩何かが這いずりまわる音が聞こえる

幽霊を見かけたら念仏を唱えたりお祈りをするというのならわかるが、この地域の人々はどうして拍手をしながらおめでとうと言うのだろう

毎晩、カーテンに隠れながらから隣の奥さんを覗いている父をドアの隙間からじっと見つめている母を廊下の奥から見守っている私

新しく住み始めたアパートは夜中になると毎晩排水口から女性の泣く声が聞こえること以外は何の問題もない

父の家系はみんな優秀なのだが、それは単純に優秀ではない子はよそのうちの子になるからだと知ったのは見知らぬ家へ養子に出された時だった

とある女性の悲惨な末路というタイトルで投稿されている動画には、どういうわけか自分の写真が使われていた

真面目で厳格だった父が知り合いに金をだまし取られてからというもの、畳に頬をこすりつけて縫い目の数を数えてばかりの毎日を送っている

母が亡くなったと聞いた時は嬉し泣きをするほど喜んだが、翌日には父が「新しいお母さんだよ」といって若い女を連れてきたので私はもう一度泣くことになった


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