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【SF短編小説】 石板 #毎週ショートショートnote 「チョコニート」

※本文410字です。「書庫」と対作品です。

 俺がチョコっとニートをしていた頃の作業が、子孫に影響した話。

 大学編入が大人の都合で、入学まで半年暇ができた。働かず、ブラッと過ごし、フッと湧いた名案。

『資料や研究のバックアップ用の書庫を作ろう!』

 自宅の納屋を改装することにして留学生のアイと作業にかかった。

 アイのドリルで、ダガートに住む友人から贈られた大理石の板に文字を刻む。

 一行掘ったところで彼女は首を傾げる。

「なにこれ?」
「信念。」

 アイは目を丸くする。

「紙に書いて額に入れて掛けたら?こんな面倒…」

 俺は首を振った。人の創造は天変地異に対して脆弱だ。羊皮紙や紙は腐食し溶ける。記録メディアだって水濡れ、破損、電源消失で長期保存は困難。

「岩が確実なの!直撃されなきゃ数百年はもつ。風雨にさらされなきゃ、千年単位だ。」

 四十年後…惑星規模の災害が起きた。

 さらに250年後、俺の子孫、アリシャがこの石板を手にする。

『原点を忘れるな…ファルーク・シャンドラン』


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こちらの企画に参加させていただきました。楽しい企画をありがとうございます。

この物語は、長編小説のサイドストーリーです。
もしもよろしければ本編もよろしくお願いします。

#毎週ショートショートnote
#チョコニート
#書庫冷凍

最後までお読みいただきありがとうございました。

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