「ここにいたのか」 工房の片隅、小柄な乙女像の前で落ち込むオグマ。 そこへ、ひとりの戦乙女が。 「オルルーンか」 お互い、気心の知れた間柄なのか。 「完敗じゃよ。今のワルハラで、あの巨人は作れん」 「酒を持ってきた。お前の活躍に乾杯だ」 彼女は、ワルハラの酒職人。
「戦乙女は、戦死者の魂から読み取った情報で勇者を復元する」 ドヴェルグの工房。ロキがオグマに、新たな神器をリクエスト。 「同じように戦死者の記憶から、巨人を再現できないかな?」 「無茶を言うな」 結局、開発中の巨人と模擬戦をさせる条件で。 オグマは要望を叶える神器を作った。
「だいじょ〜ぶ、エルルちゃんが来た!」 不意に、柔らかいものが。 覗き込んでくる、つぶらな瞳。距離が近い。 「お主は!?」 オルルーンに似た、誰か。 でも彼女は、いきなりハグなどしない。 「彼女は、オルルーンに落ちた流れ星の化身なんだ」 ロキの説明に、呆然とするオグマ。
パパさんたちが、オグマの工房を訪れると。 何か様子が変だ。物陰に隠れて、見守る一同。 「オルルーンは当分、戻って来れん。お前だけが…」 工房の片隅に飾られた、乙女の石像。 背丈が低いので、ドワーフだろうか? オグマは、乙女像に赤い宝石の首飾りをかけていた。 「む、誰じゃ?」
ワルハラ宮殿の大宴会場は、巨人の件でお祭り騒ぎ。 皆の注目を集めるロキ。 「今回一番のお手柄はオグマだよ。フレイア、労ってあげて」 巨人を小さくする神器を作ったドヴェルグ、オグマ。 なぜか、表情が暗い。 「屈辱じゃあぁぁ!」 彼は涙目になると、宴会場を飛び出してしまった。