図書館員が答えていい質問か?
こんにちは、ハシモト トショカンです。
本日も数ある記事の中からこの記事を閲覧していただき、ありがとうございます!
今日は日中ポカポカ陽気で、春を感じられる、とっても気持ちの良い一日でしたね♪
この時期になると、別にそこまで特別な出来事だった訳でもないのに、なぜか印象深くて、毎年思い出してしまうことがあります。
それは、ある大学の図書館で受付カウンターに入っていた時のことです。
…あ、ちなみに、「大学図書館は基本的にその大学に通っている学生さんとか教職員しか利用ができない」ということは以前も書いたのですが、他大学の方とか、あと、業者の方が図書館にいらした時には、一旦受付カウンターで紹介状だったり身分の確認を行って、OKだったら入館していただく、という感じになります。
で、その受付カウンターには、上記以外にも実に様々な方がいらっしゃるんですけど、結構よくあるのが、学食の利用とかキャンパス内のお散歩をするために大学に来た、赤ちゃん連れのママさんだったり年配のご夫婦が、
「あの~、この中って、見学できたりします~?」
って感じで、ダメ元で質問に来るんです。
その際には、毎回丁重にお断りをさせていただくんですけど、ある時、80代くらいと思われるおじいちゃんが図書館の中に入って来て、
(あ、見学のご希望かな?)
と思っていたら、
「あの、すみません、ちょっとお尋ねしたいんですけどね、今散歩でこちらの大学さんの中を歩かせてもらってましてね、ほら、そこの、窓から桜が見えるでしょ?あれ、綺麗だな~って思いましてね、ええ…」
(ん?なんだ?これはどのジャンルの質問なんだ??)
と思いつつ、続きの言葉を待っていると、おじいちゃん、ズボンのポケットからゴソゴソと携帯電話(ガラケー)を出して私に見せ、
「それでね、家内にも見せてあげたいと思ってね、写真を撮りたいと思ったんですよ」
(ふむふむ、つまり…)
「それでね、今の携帯電話って、みんなカメラが付いてるでしょ?だけどね、私、お恥ずかしいんだけど、写真の撮り方が分からなくてね、写真の撮り方を教えてほしいんですよ」
んー!!!!!
なるほど!!
そう来たか!!!
どうしよう!!!!
…これはちょっと迷いました。もし仮に、このおじいちゃんに道端で同じことを聞かれたなら、「いいですよ~」って言って(時と場合にもよるけど)、ささっと教えてあげて、なんなら「桜と一緒のショット撮ってあげますよ!」なんてサービスまでお付けしてあげちゃう所なんですけど、ここは図書館。
図書館員は、基本的には図書館に関する質問以外には答えてはいけなくて、今回のには当たらないけど、「図書館員が答えてはいけない質問」なんてものもあったりして、例えば
人生相談
法律相談
健康相談
学校の宿題
クイズ(懸賞)
鑑定
…などは絶対に答えちゃダメで、他にも、例えば「この漢字って何て読むんだっけ?」と聞かれて、仮に答えられたとしても自分の知識や経験から回答をせずに漢和辞典を案内しなければいけませんし(それで「バカにしてるのか!」とお叱りを受けることもある)、図書館以外の事で何か質問を受けた時って、回答に本当に気を遣うんですよね。
…そこで、このおじいちゃん。
うーん、これって答えていい質問なのかな?
いや、でも、どうなんだろう?
グレー?
アウト?
答えても良さそうな気はするけど…
と、頭の中でぐるぐる考えていたら、いつの間にかおじいちゃんにガラケーを持たされていて、
(えーい、ダメだったら後で怒られればいいや)
と、覚悟を決めてそのガラケーを見ると…
ん?
あれ??
このケータイ、
レンズが…無い?
おかしいなと思いつつ、ケータイの外側も内側も、何回も確認したけどレンズが無く、ガラケーをお返しして、メニューみたいなところを開いて見てもらったけど、「カメラ」の文字はなく、画像を保存するためのフォルダもなく、どうやらおじいちゃんが持っていたガラケーにはカメラ機能が付いていなかったようです。
その事実を告げると、
「え、カメラ付いてないんですか!そうでしたか、写真を撮って家内にも見せてあげたいと思ったのですが…」
(お役に立てずにごめんなさい!)
「あの…なんとかなりませんか?」
「なんとか」とは?!
いやいやいや、おじいちゃん、私だってなんとかしてあげたい気持ちは山盛りてんこ盛りであるんですけどね、今、この場で、カメラ機能の付いていないケータイで写真を撮るには、もはや人知を超えた能力が必要となるんですのよ!!
がっかりしてトボトボと図書館から出て行くおじいちゃんの後ろ姿、今でも不思議なくらい覚えていて、思い出すとちょっぴり切なくなるんですよね~…
本日も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!