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「200字の書評」(331) 2022.11.25



こんにちは。お変わりありませんか。

小雪を迎えました。そろそろ雪が降る頃の意です。各地から初雪の便りが届き始めます。北の大地ではすでに天から白いものが落ち始めているところもあり、服装・タイヤ交換など本格的な冬ごもりの準備が進められているはずです。電気代、ガス代、灯油代の高騰は懐に響きます。ウクライナ戦争、記録的な円安、世界的な異常気象など、生活を直撃する要素は数々あります。人間の英知はそれを乗り越えられるでしょうか?

さて、今回の書評は校正について教えられた一書です。




牟田都子「文にあたる」亜紀書房 2022年

一冊の本が世に出るには、膨大な手間と多くの人の手を経ている。「読者にとっては人生で唯一の一冊になる」故に表現の一つひとつ、漢字の正誤、数字の正確さ、時代背景の適合などを徹底的に調べ尽くす。それこそ校正者の矜持であると、著者は己を叱咤する。読み手であり、時には書き物をする私達は、果たして校正の意味と奮闘ぶりを理解していただろうか。本を読み飛ばし、吟味しない文章を書いていることへの反省が迫られる。




【霜月雑感】


▼ 一通の封書が舞い込んできました。「マイナンバーカードを作りませんか」とのお上からのお達しです。今申請すると2万ポイント付与しますと、朱書してありました。即ゴミ箱行きです。この通知の発送数と経費はどのくらいかかっているのでしょう。想像するだけで呆然としてしまいます。国民の個人情報をすべて掌握しよとする邪悪な意図を感じます。報道によると内閣官房、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省が連名でマイナカードと身分証の一体化に反対する文書を提出しました。いずれも権力行使と不可分で身分秘匿を要する部署です。政府内部からさえ情報漏洩への備えの脆弱さを疑う声が出ているのです。私は作りません。


▼ 世界の人口は80億人を越えたそうです。国連によると今月15日に達し、2059年までには100億人に達するようです。生活環境や食料は足りるのか、地球は人口の圧力に耐えきれるのかが心配になります。高齢化の進行、気象変動,政治の強権化ど、様々な要素は必ずしも楽観を許しません。高齢化先進国の我が国は、世界のモデルになれるか、はなはだ心もとないものがあります。


▼ 防衛力整備に関する政府の有識者会議なる組織が、見解をまとめて政府に提出しました。いわゆる敵国攻撃の能力を整備すべきである。その経費は広く国民に負担を求める、法人税の増税は行わない。概ねそんな感じで受け取りました。GDPの2倍を超える借金を抱え、通貨コントロールはできず、モラルと無縁の政府に私達の運命を預けてよいのでしょうか。子や孫に何と言うべきか。


▼ 東京五輪を巡る醜悪さがまた一つ。スポンサー選定に関しての口利き汚職は、高橋某と二線級の摘発で終わり、巨悪である森喜朗や竹田恒和らには届かないのか。さらに電通は無傷なのかと検察の忖度に失望感がありました。それが突然入札談合疑惑が浮上。今回はどこまで行くのでしょう。商業オリンピックという利権の虚像にメスが入るのでしょうか。そのすべてを仕切ったスポーツビジネスの実力者であり自民党政権の宣伝戦略担当、ブラックホールのごとき電通を糾すことはできるのでしょうか。札幌五輪などは論外です。


▼ ウクライナ戦争先行きが見えません。ポーランドにロシア製ミサイルが着弾し死者が出たとの報道。もしかすると第三次世界大戦の可能性も、と驚きました。ポーランド当局、バイデン大統領も冷静な対応で一安心しましたが危険極まりありません。発射したのは誰か、二つの可能性を考えました。まずロシア側の誤射。次に考えたくはないのですが、ウクライナ側の意図的な行為。これはNATO加盟国のポーランドに打ち込んで、NATO対ロシアの構図をつくろうとしたのではないか。危うい賭けです。今のところ、ロシアのミサイルへの迎撃ミサイルが外れてポーランドに着弾したのが正解のようです。いずれにしても、ロシアの攻撃が無ければこんな事態は発生しません。侵略行為はすぐにやめるべきです。国際社会も停戦のために努力すべきです。厳寒期を迎えてのインフラ攻撃は、一般国民の生存を脅かす卑劣な行為です。平和を望んでいます。


▼ 非正規で働く公務員に雇い止めの危機。民間企業も同様に非正規の存在を前提にしています。安上がりの労働力は結果として購買力を落とし、経済の活性化を阻害し、働く者の生活の質を落として学ぶ力さえ低下させます。結局国力に響くのです。




<今週の本棚>


柳沢協二他「非戦の安全保障論 ウクライナ戦争以後の日本の戦略」集英社新書 2022年

雑感でも触れましたが、戦争放棄を明示した平和憲法が揺らいでいます。国家国民の安全保障とは如何にあるべきか、広く国民の合意を得て国防政策を確定すべきです。本書では政府の有識者会議には招聘されない4人の有識者による真摯な討論が展開されます。それぞれ説得力がありますが、平和構築の現場で活動してきた伊勢崎賢治氏の発言は注目です。現実的で受け入れやすい論議でした。


鈴木エイト「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」小学館 2022年

一貫して統一教会の傍若無人な実態を追究し、自民党との底無しの癒着を取材してきた成果です。宗教の仮面をかぶった、人権とは無縁な違法集金マシンであり、それを利用し利用されてきた自民党特にアベ一派の実体を白日の下にさらしています。反日カルトと右翼政治家の結合、どう考えても醜悪です。文科省はようやく重い腰を上げて、質問権行使をするとか。政府も救済法案を提案するとか。果たしてどの程度本気なのでしょう。弁護団からは役に立たないとの指摘がなされています。




★徘徊老人日誌★


11月某日 インフルエンザワクチン、かかりつけのI病院で接種。30分程待機の後、異常なく帰宅。坂戸市では老人は無料。


11月某日 年賀はがきを近くの店で購入。この店は仲良しの御婆さんが一人で切り盛りしている、子ども相手のいわゆる10円店。普段切手と葉書はここで買っていて、時々話し相手になっている。毎年年賀状はどうしようか迷っているものの、結局生存確認の意味で出してしまう。


11月某日 今度はコロナワクチン5回目接種。近所のAクリニックへ。比較的すいていて、予約が取りやすい。前回に懲りて靴を入れる袋を持参。4回目の時運動靴を間違えられた。同じメーカーの同色の運動靴が残っていて、やむなくそれを履いてきたが違和感があり、結局新品を買う羽目に。接種後15分待機、異常なく帰宅。


11月某日 いつもの散歩道、黄色の枯れ葉が舞う中で生け垣の赤い満天星が印象的。色彩が単調になりがちな冬季、山茶花が咲くまでは銀杏の黄色とともに貴重な彩り。


11月某日 ゴミ出しの朝、線路の架線越しに真っ白な富士山が大きく見える。見事に純白で何やら迫ってくるようだ。息子が小さいころ、雪をかぶった富士山を見て「まるで絵の具を流したようだ」と言ったのを思い出す。




朝晩は冷え込みきつく、日中は小春日和。コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されています。どうぞ体調管理に万全を期してください。  


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