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遥ナル
2023年6月30日 21:52
「やっぱり、そうだ、君は妖精の騎士なんだね!?」「ぼ、僕は…その…」さすがにマボはうそをつくわけにもいかないので、口をごにょごにょさせました。ですが、勘違いしたチャッピは大喜び、ぴょんぴょん飛び跳ねながら言いました。「僕たちはずっと妖精の騎士を探し回っていたんだ。君のような子供の妖精の騎士がいるなんて、ちっとも思わなかったよ!」5チャッピはすっかり安心して近づくと、マボを見上げて言い
2022年12月18日 17:02
「でも、マボは迷い森に今ひとりぼっちで歩いているのよね……私だったら、怖くって耐えられないわ。それに、本当のこと言うと、私もう、家に帰りたいの!」ネネはもうすっかり弱気になってしまい、今にも泣き出しそうでした。その不安は伝わり、モモは苛立ちながら言いました。2あれほど強気なモモでさえ、やはり今は不安で不安で仕方ありませんでした。ネネはついに目に手を当てて泣きはじめてしまいましたし、実のと
2022年9月11日 17:35
まだ時刻はお昼前、暖かな日差しが木の上には届いています。迷い森でもこの辺りは木がわさわさしておらず、日差しが十分にさして、のどかに思える場所でした。木の上で豊かなひと時を楽しんでいる小鳥たちはさえずり歌い、素敵な一時を満喫しています。しかし、子供たちを見つけると、すっかり心配になり”ピイチク、ピイチク”といっせいに鳴きはじめました。2最初は怖いとばかりに思っていた迷い森ですが、かわいい動物
2022年9月4日 19:51
「あのおじさん…いえ、お兄さんは、妖精や双頭の魔女を見たことがあるの?」こうたずねると男は酒を飲むのをやめ、袖からキセルを出して吸いながら言いました。「ああ、見たともさ。見ただけじゃないさ。悪い妖鬼なんかは、俺様の魔法でちょちょいのちょいでやっつけたさ」「魔法を使えるの!?」8マボは素直な子供ですので、男の言うことを信じてたずねました。「もちろんだとも、ゴブリンなんかは朝飯前さ
2022年9月2日 20:46
ばあちゃんが戸棚に大事にしまっている袋には、一握りの銀貨が入っているだけです。マボがへとへとになりながらガラクタ集めでもらえるのは、銅貨数枚でした。ですので、金貨など初めてお目にかかったのです。マボは太陽のかけらのようにまばゆく光る金貨から、なかなか目が離せませんでした。しかし、モモは言いました。6「ネネ、あなたはわかってないわね。私はお金なんてちっともほしくもないし、興味がないの! 私は
2022年8月13日 21:04
ですので、子供を送り出す大人たちも少しは安心していました。ニルバーニア様のお知り合いならば、とても確かな人に違いない、森の中も熟知して、魔法も使え、とても強くて聡明で、それはそれは子供思いの方だろう、そう思い込んでいたのです。3そして、その”偉大なるニルバーニア様のお知り合い”は森の中からいきなりぬっとあらわれたのです。その”お知り合い”を見ると、大人も3人の子供もぎょっとして、言葉を失い
2022年5月29日 19:38
ランプに照らされているニルバーニアは、まったくもってこの世の人とは思えませんでした。ランプの炎で彼女の影がゆらめき、世界のどこかに魔法の国があるならば、そこににいざなわれているかのように思われます。9ニルバーニアは取り出したシルクの布きれを床に敷き、その上に小袋の中身をまき散らしました。それは、星石と呼ばれるとても貴重で、世にも珍しいものでした。赤、青、紫、黄、緑など様々な色をしており、そ