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第六章:マボはぐれる2 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-

まだ時刻はお昼前、暖かな日差しが木の上には届いています。迷い森でもこの辺りは木がわさわさしておらず、日差しが十分にさして、のどかに思える場所でした。木の上で豊かなひと時を楽しんでいる小鳥たちはさえずり歌い、素敵な一時を満喫しています。しかし、子供たちを見つけると、すっかり心配になり”ピイチク、ピイチク”といっせいに鳴きはじめました。

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最初は怖いとばかりに思っていた迷い森ですが、かわいい動物たちを見ていると気持ちが晴れやかになってきました。あれほど外遊びが嫌いで、森に入るのを嫌がっていたネネでさえ、楽しそうに鼻歌を歌い始めるほどでした。さらに進んでいくと、モモが道からそれた方向に立っている大きなブナを指さしました。そこには、鹿の親子がいるではありませんか!?
「ほら、マボ、ネネ、見るのよ。鹿がいるわ、しかも親子よ、かわいいわね!」
「あら、本当ね。私、鹿の子供なんて初めて見るわ、あんなにちっちゃいのね、かわいい!」
「本当にそうね、ちっちゃい坊や、ママとはぐれたら大変だから、気を付けるのよ!」
などと、モモとネネが楽しそうに話しています。こうなると、子供とは不思議なものです。森の奥深くに住むという魔女に会うことなどすっかり忘れて、森歩きがピクニックに来たように思えて楽しくさえなってきたのです。しかも、女の子というのはマボから見ると不思議に思えました。 

というのも、最初はあれだけ仲が悪かったモモとネネですが、いつの間にかすっかり仲良くなっていました。今ではマボに後ろを歩かせて、2人だけでシュールレの奥さんのことや、村の誰がしと誰がしが結婚するだとか、マボにはどうでもいいと思えることを話し始めたのです。二人はすっかり話に夢中です。マボは頭の後ろで手を組みながら、2人の後に続くしかありませんでした。

マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。

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