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今週の読書録
こんばんは。
いつの間にか梅雨が明けたものの、スッキリしない天気の週末は読書日和です。
宙ごはん
町田そのこさんの『宙ごはん』は、タイトルから想像したようなほんわか飯テロ小説ではありませんでした。
泣ける小説と言われる作品は多数あるものの、肩透かしもまた多数。
前評判をあまりあてにしていなかったものの、私は本当に涙がこぼれてきました。(ついでに鼻も)
家族という言葉でなにか思うところのある方には、お家で読むことをおすすめします。
ラストで泣けるとかではなく、何度か涙と鼻でティッシュを取りに行く羽目になりました💦
もちろん人によって感じ方に差はあると思いますが、私にはささりました。
家族といっても多様な形があり、親とはいっても一人の人間で子どもよりも必ずしも精神的に成熟しているとは限らない。
普通の母親とは何かは難しいものの、家族のつながりや距離感で思うところのある方にとっては、こみ上げてくるものがあるかもしれません。
SNSのようにブロックして簡単に終わらない家族という関係性。
血は水より濃い。
簡単に切り離せない関係だからこそ、悩みを抱える人が多いかもしれませんが、この本の中にも社会問題といわれる親子関係が多数登場します。
後半で主人公・宙の同級生が家族をテーマにした小説を選んで読む理由にも考えるものが。
家族について抱えていたモヤモヤの答えを探すように本を選んでいた宙と、せめてフィクションの中では幸せな結末であることを求める同級生。
どんな状況でも、最後には救いが用意されている。(中略)たいてい、神様の見えざる手がちゃんと掬い上げてくれてる。そんな感じがさ、いいよ。それにさ、結局みんな、大事にすべきものを見つけるじゃない?夢に希望、愛に、大切な存在なんかを。
幸せの疑似体験のためにする読書。
そういえば私自身もかつて本の中ではせめてハッピーエンドであって欲しいと書いていた記憶が蘇りました。
読み終えた日、若くして亡くなった兄弟が夢に出てきました。
幼い頃の姿でしたが、私が作った料理を並べた食卓を囲む家族。
何年も思い出すことのなかった過ぎ去りし日の姿を本に触発されたのか夢に見るとは不思議な気分です。
また、本屋大賞受賞後の作品ということもあるのか、特撮サイトのプロモーションや装丁にも力が入っています。
扉部分はこのように2ページ分重ねるとまた異なる表情を見せる仕立てになっています。
カバーの裏にもちょっとした仕掛けがあるので、電子書籍よりも紙の書籍を手に取ってみてはいかがでしょうか。
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巨人のシチューハウス
『宙ごはん』を読むと温かいスープが恋しくなります。
この日訪れたのは、戸越銀座商店街の端にある「巨人のシチューハウス」です。
アイルランドの家庭料理が味わえるお店として密かに人気のお店。
この日は、看板メニューのアイリッシュラムシチューとアイスティーセット、宙お気に入りのパンケーキはありませんが、私の大好きなキャロットケーキがあったので追加でオーダー。
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ほろほろになるまで煮こまれたラム肉と野菜が食べ応え抜群で、小ぶりに見えるもののお腹が満たされるメニュー。
クーラーで冷えた身体を中から温めてくれる気がします。
また、キャロットケーキは他ではお目にかかれないような、むっちりとした食感。
かすかに香るスパイス、甘くない生クリームに、チーズクリームの塩気と酸味が調和したバランスのとれた風味です。
やや割高に感じたものの、追加して満足度が上がりました。
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