「生成的な協調」の対話を増やすためのスキル『何のためのテスト?』第9章(読書会記録)
社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。
第10回は第9章。最終章として、最後は教育システム全体について述べられていました。
ひょっとして、最初に第9章を読んだら、全体のダイジェストとして分かりやすかったのか?!とも一瞬思いましたが、きっと1章ずつ読み上げてきたからこそ理解できる部分もあるんだろうなという感じです。
生成的な協調のスキル
特に第2章で書かれていた「生成的関係」とは、Yes or Noではなく、+αの創造的な会話をしていくようなこと。例えば、先生から指摘をうけたとき、Yes(ごめんなさい)、No(反発)ではなく、助けて欲しいと答えるようなイメージです。
この生成的な協調の対話にはさまざまなスキルがあるということが書かれています。例えば、
問う技術
「正しい答えは?」「あなたたちは、どうやりたい?」という勝敗がつく問いではなく、「みんなでどれだけたくさん思いつくか?」といった「私たち」の感覚を強めるような問いかけ
聴く技術
相手の価値観や視点を認められるような、相手の意見をフラットに「聴く」こと。例えば円になって話すといった空間配置の工夫なども含まれる
価値を認める技術
うなづき・笑顔・同意の言葉などの肯定的なフィードバックは、相手の価値を認める行為。例えば、感謝を伝えるような振り返り機会を作ることなども有効
教育の新たな物語に向けて
私自身は教育者ではなく、イチ保護者の観点でこの本を読み進めてきましたが、本書の一番最後の言葉が素敵だったので、引用を載せておきます。
多くの実践が広がっていくことで、いつか自分の子どもたちの教育へもつながってくることがあるといいなという思いとともに、もしこのnoteを見つけてくれた教育関係者の方がいたら、ぜひ本編を読んでみていただきたいなと願っています。
読書会での意見交換
スポーツは相手がいるからこそ成り立つもの。議論も同じで、より良いものを作ろうと思ったら、相手を尊重して話していかないといけないのに、つい自分の考えに固執してしまう人が多い
議論の場で異論を出すと「では代案を出せ」という風潮。本当は、異論(感じた違和感)を話せるだけでもいいと思うし、相手もその異論の意図を聴いたら対話が深まるのに……
話すことは訓練されてるけど、「聴くこと」って訓練されてないのかも
点数で評価されることって骨身に染み渡ってて、嫌だなーと思うけどやっぱり嬉しい。それって、評価が嬉しいのではなく、肯定されていると言う関係が嬉しいのでは
📖読書会記録
序章 ガーゲンの新作「何のためのテスト?」
第1章 テストで正確な「評価」はできない?
第2章 先生・生徒の新たな関係パターンとは?
第3章 「価値」を先生と子どもが共同探求で決めていく
第4章 小学校で「関係」に基づく評価を行うヒント
第5章 中学・高校で「関係」に基づく評価を行うヒント
第6章 教師1人が学びの責任を持たない、包括的なアプローチとは
第7章 学校自体も、多軸で評価をしていく
第8章 変化のスピードが早い今、知識習得より、楽しく学び続けられる力が大事
📖ガーゲンの前作「関係からはじまる」読書会まとめはこちら
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