マガジンのカバー画像

歴史

128
西洋史
運営しているクリエイター

#文化

「ケルト神話」と鮭――主にアイルランドの伝承から

「ケルト神話」と鮭――主にアイルランドの伝承から

彼は詩人になるため、ボイン河に住まうフィンネーギャスに会いに行った。彼は七年間〈フェックの淀み〉の鮭を見ていた。その鮭を食べるとき、彼はこの世に知らないことが一つもない、との予言があったためである。ある時とうとう鮭が捕まり、デムネは鮭を調理するよう命じられた。彼は鮭を決して口にせぬよう言われ、その通りにしたが、調理の際親指が燃え、とっさに口にくわえてしまった。フィンネーギャスは彼に名前をたずねたが

もっとみる
アイルランド神話・伝説用語辞典

アイルランド神話・伝説用語辞典

どうもこんにちは。はじめましての方ははじめまして。

神話や伝説を読んでいて、詰まったり混乱したりすることは誰しもあると思います。私も何度もあります。今でこそ、アイルランドの神話や伝説に関して多少の知識がつきましたが、触り始めたころは「これ何?」と「なんで?」の連続でした。その疑問は、解消すれば快感へと変わるものですが、一方で伝承文学のとっつきづらさの原因でもあります。

しかし、そのせいでアイル

もっとみる
ケルト学のためのオンラインデータベース "CODECS" を使えばケルト神話について調べるのが5000兆倍楽になる

ケルト学のためのオンラインデータベース "CODECS" を使えばケルト神話について調べるのが5000兆倍楽になる

1.CODECSって何だ今回は便利なサービスの紹介記事です。有料サービスに誘導して裏で報酬をもらうとかはしないのでご安心ください。

ご紹介するのは、"CODECS" というデータベースです(注:英語です)。

これは、ケルト学のためのオンラインデータベースで、一次、二次問わないケルト学関係の膨大な量の文献が集積されています。私も普段お世話になっています。とても便利なので、皆さんにも知ってもらいた

もっとみる
アイルランド神話の装身具

アイルランド神話の装身具

ケルト人が極めて装飾好きであり、高い関心を払っていたことは、大陸側でも島嶼側でも同様で、彼らの美術はその非常に高いレベルのために有名です。今回は、そのなかでもアイルランド神話の中の装身具に注目してみました。ケルト人の美術については、『図説 ケルトの歴史―文化・美術・神話をよむ』(松村一男・鶴岡真弓)や『ケルトの美術と文明』(ロイド&ジェニファー・ラング著、鶴岡真弓訳)をご参照なさるとよいでしょう。

もっとみる
ローマ帝国とポルトガル(6)信仰

ローマ帝国とポルトガル(6)信仰

00.はじめに
ここでは、ポルトガルの歴史についてお話しした際のメモ書きを公開しています。今回はローマ時代を扱った部分です。なお、メモ書きは、アンソニー・ディズニー著『ポルトガルとポルトガル帝国の歴史』に基づいて作ってあります(ほぼ翻訳になってしまっていて、反省ですが)。関心のある方は、Anthony Disney, A History of Portugal and the Portuguese

もっとみる