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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~346
でも、もしかしたらそうやって不安がることで、余計に『食べること』に拘って、囚われて、追い詰められていたのかもしれない。人と食べることに不安があったとしても、そのことを正直に話して、この前の陽子の時のように一緒の時間を過ごしても良かったのかもしれない。今の私なら、そんなことも出来るんじゃないか……そんな気がしていた。
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陽子に会ったことで、少し気持ちが楽になったような気がしたし、ほんの少しずつだけど普段の生活にも変化が訪れていた。そして『摂食障害になってしまったのだから、普通の人が普通に出来ることが出来なくて、むしろ当然』ということを『食べること』以外にも当てはめて考えることが出来るようになっていた。
例えば仕事では、思い通りに進められなかったり、ミスをしたりしても『今の私のレベルはこんなものなんだから仕方がない』と考えることが出来る場面が増えたような気がした。
今までは、仕事がうまくいかなかったり、ミスをしたりすると出来ない自分にイライラしてしまい、そのストレスが大量の買い物や、過食嘔吐に繋がっていたけど、『仕方がない』と思えるようになると、夕方になってもいつものように『ソワソワ』とした落ち着かない状態を強く感じることが少なくなっていた。
かといって、仕事帰りのコンビニのはしごと過食嘔吐がなくなった訳ではないけれど、『摂食障害なのだから仕方がない』と割り切ることが出来るようにもなっていた。
同じことをしていたとしても『やめたいのにやめられない。あぁ、今日もやめられなかった』と自分を責めるのと、今は『摂食障害なのだから仕方がない』と割り切って考えるのとでは、気分の落ち込み方や一日を何とかやり過ごすためのモチベーションの維持に、明らかに差があった。
「自分に期待しない、自分に期待しない。出来なくて当然なのだから」
陽子に会ってからというもの、そう自分に言い聞かせることが口癖のようになっていた。
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