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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~180


『痩せたい』・・・ほんの少しだけ、あと2~3キロ程度の、現実的な数字ならまだしも、度が過ぎれば、あるいは私のように『昨日より痩せたい』などと考え始めたら、その裏側には予想もしなかった落とし穴が待っている。それも、一度落ちたら(堕ちたら)二度と這い上がれないような、深い深い穴が。仮に、あともう少しで這い上がれる、というところまで辿り着いたとしても、そこから先は掴んでも掴んでも這い上がれない蟻地獄のような世界が待っている。そんな、果てしない苦しみから抜け出すには、途方もない時間と労力が必要だった・・・

何事も、華やかで、キラキラした『表側』と、見ようとしなければ見ることの出来ない、隠された壮絶な『裏側』がある・・・摂食障害になってしまった私は、そのことを嫌というほど経験してきた。街を歩いているみんなは、そんな大切なことを忘れかけていた私に、そのことを思い出させてくれた、そんな気がした。

「そう、何事も、目に見える表面的な部分と、そこに隠されたさまざまな事情や、心の葛藤、そこに至る想像を絶するような経緯とか、人それぞれの物語がある。みんな、そういった『裏側』で藻掻き、苦しみながら、それでも何とかして乗り越えて、やっとのことで笑顔でいられたり、キラキラ輝いて見えたりしているのかもしれない」

今の私の『痩せたい』だって、過食嘔吐という苦悩の末にギリギリ成り立っているかに見える、ただの『幻想』。決して『裏側』で藻掻き、苦しみながら、それでも何とかして乗り越えて手に入れた『痩せたい』ではないし、言葉にすると同じ『痩せたい』だけど、中身は全くの『別物』。摂食障害を克服することと『痩せたい』を完全に手放すことは、必ずしもイコールではないのかもしれない。だとしても、少なくとも『痩せたい』を手放せないのであれば、その先は、笑顔でいられる私、キラキラ輝いて見える私でいたいし、そうであってほしい。

「今の私は、決して笑顔でもないし、キラキラ輝いてもいないし、楽しくもないし、幸せでもない。苦しみと、辛さと、果てしない絶望感と、そんなもので埋め尽くされている。今私が拘っている『痩せたい』は、私を笑顔にはしてくれないし、キラキラ輝かせてもくれないし、楽しい気分にもさせてくれないし、幸せにもなれない・・・」


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kei
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