半田孝行

いろいろ試して蓄積中です。

半田孝行

いろいろ試して蓄積中です。

最近の記事

  • 固定された記事

月から来た泥棒【短編】

「泥棒になって博物館からお宝を盗むってのはどう?」 「コナンじゃないんだから、リアリティなくない? ……まあ、でも、文化祭の出し物でそんなリアリティいらないか」  和美が出した意見をなんとなく採用してみた。先生が言うには、脚本を書かなきゃいけないらしい。なんで、ホームルームのときに立候補なんかしてしまったのか。演劇や小説に興味あったからなんだけど、早くも後悔しはじめている。  放課後の教室で、脚本づくりに和美と真理恵を付き合わせてから、もう1時間が経っている。あと1時間

    • 【小説】「よし、今日はいける」と思ってから、昼食で激落ち

       昨日のnote、睡眠薬を飲んでから書いたから、書いたこと記憶のない文章が出てきて大変楽しい。そして、誤字誤植も楽しい。健常なときなら細かく直すけど、もうほっとこう。で、今日も眠剤飲んでから書いてる。この書いてるときは楽しいが、それ以外は感情がプラスの方向にいくことがない。  今日は朝6時に起きれて散歩にいった。またなんかずっと頭の中はかんがえごとしてた。書きたい小説のことだったかな。とにかく、コンビニで肉まんを買ったことは覚えてる。1月下旬の空気の冷たさに、肉まんは最高だ

      • 完全に1月は潰れた。我ながら自信のない顔で歩いてるよ。【小説】

         あいかわらず頭と身体が重い。なんかゼリーみたいなものに全身がからめとられているような感覚で、すべての反応が鈍い。有楽町に煉瓦づくりのトンネルあるじゃん。グラフティだらけの。あそこをどしゃぶり雨の中、歩いてる気分だな。え? わからない?  こうなるとさ、周辺やネット上で一方的に知っている人たちの中でも、何人か心の不調を訴える人が目に付くんだよね。「ま、冬だからね。日光を浴びないパターンのやつもあるよね」と思いつつ、単にこっちが不調を意識しているからか、同じように具合の悪い人

        • 再発

           今朝、再び鬱なのかなんなのか知らないが、自分が絶不調だということを確信した。電車の中で。  まいった、まいった。再発である。頭の中がこんがらがって、どうにもならなくなるのだ。2019年に「これ、やばいな」と初めて自覚して精神科を受診したらADHDだと言われて、コンサータを飲んでいたが、確かに一般的なうつ病ではないだろうし、なんて人に説明していいかわからんのよね、この症状。最後のほうは双極性を疑われていたが、快方に向かったのでなんだかよくわからないままだ。    ADHDあ

        • 固定された記事

        月から来た泥棒【短編】

          「二酸化炭素を岩石に封じ込める実験が進行中」という希望

          『日経サイエンス』の2022年1月号の「太古のマントル岩石にCO2封印 中東オマーンで実験開始」という記事を読んで驚きました。なんと、かんらん石は二酸化炭素を鉱物化するんだそうです(正確には水と酸素、二酸化炭素がかんらん石と反応するとのこと)。  著作権の問題もありますので、ご興味のある方はぜひ当該の雑誌を見ていただきたいのですが、オマーンの企業「44.01」が現在、実験中とのこと。そして、なにより驚いたのは「同じような露頭がアラスカやカナダ、カリフォルニア、ニュージーラン

          「二酸化炭素を岩石に封じ込める実験が進行中」という希望

          「地球がもたない」ってことはないと思うんだ

           SDGsに反対する立場ではまったくなく、むしろ共感してやれることはやろうと思っている立場です。  ただ、「このままだと地球がもたない」という言葉にはいつも疑問符がつきます。あれは正確には「人類がもたない(可能性がある)」という話ではないでしょうか?  地球をナメちゃいけなくて、別に地球からすれば、温暖化しようが寒冷化しようが、火の玉だった時代もあるわけで、火星や金星のようになるだけの話です。  地球にとっちゃ、四季があろうがなかろうが、海があろうがなかろうが、知ったこ

          「地球がもたない」ってことはないと思うんだ

          コロナ禍で何もできなかったな、と思う

           ようやく日常が戻ってきた気がする今日このごろ。非常事態宣言も10月1日に解かれ、都内の感染者数も11か月ぶりに100人を下回りました。もちろん、飲食店の営業時間が21時までなど、まだまだ「コロナ以前の日常」には戻っていませんし、警戒を解いてはいけないのですが。  個人的にはワクチンをようやく2回打てたことは大きな変化です。「ワクチン摂取をターニングポイントにする」と昨年から決めていました。とにかく、ワクチンを打つまでは自粛、と決意して行動制限を自らに課したわけです(ワクチ

          コロナ禍で何もできなかったな、と思う

          工藤会総裁への死刑判決にモヤるのは当然か

           こんなに喝采を送るべきか、反対すべきかと迷う判決も珍しい。 暴力団「工藤会」トップに死刑判決、法廷で「こんな裁判があるか!」 https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4344177.html 指定暴力団のトップに全国初の死刑判決です。北九州市に拠点を置く、特定危険指定暴力団・工藤会のトップら2人が4つの市民殺傷事件に関与したとされる裁判で、福岡地裁は実行犯への指示などを全面的に認めました。  工藤会がやってきたこと、北九州市の

          工藤会総裁への死刑判決にモヤるのは当然か

          ド文系が「量子コンピュータってそういうことか」とわかった動画の個人的メモ

           中2で数学を断念した文系人間が、量子力学に興味をもって1年。結局、数学がわからんと理解できないんだよな、と決定的に理解した動画に至るまでの個人的メモ。  まず、この動画で「量子もつれ」=「量子エンタングルメント」を感覚的に理解。「シュレディンガーの猫」などの「不確定性原理」をおぼろげに理解していたので、ようやく腑に落ちた。 この世界を支配する“もつれ”  で、アインシュタインとボーアの論争などは知っていたが、「うん、とにかく観察で量子テレポーテーションが確認されたのね

          ド文系が「量子コンピュータってそういうことか」とわかった動画の個人的メモ

          『居残り佐平次殺人事件』構想断念事件【オチなし】

          「んー。あー、そうか。方言じゃないのか。まいったな」  柏木先生が調べ物をしながら、ぶつぶつ言ってる。 「何がです?」 「よったり」 「酒か車に酔いましたか?」 「いえ、四人を表す言葉です。『よったり』」 「聞いたことねえな」 「落語で『居残り佐平次』というのがあるんですが、遊び人の佐平次が、四人連れの男に声をかけるときに『よったり』って言うんですよ。談志のでは聞いたことあって、志ん朝の音源を聞いたらお店の若いのも『よったり』って言ってるんだよな、まいったな」

          『居残り佐平次殺人事件』構想断念事件【オチなし】

          エンドレス寿限無【短編】

          「どうも私には『答えのない疑問』ばかりを考えるくせがあるんですよね」  柏木先生がまた何か言い出した。 「なんですか。『答えのない疑問』って」 「『人間はどこから来て、どこへ行くのか』ということをつらつらと考えるんですよ」 「ゴーギャンですか? 『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』ってね」 「うーん。私の場合、その真ん中の『我々は何者か』があまり命題ではないんですがね」 「そこが一番大事でしょうに」 「私は無宗教ですからね。いろいろと本

          エンドレス寿限無【短編】

          最後のひきこもり【短編】

          「ついに恐れていた事態が来たのに、なんだかもうすっかり心が動きませんな。不思議な感覚です」  1日あたりの感染者数が2万人を超え、東京がまたしても過去最多の5773人を記録した夜、柏木先生とzoomで飲んだ。 「先生、ワクチン打ったんですっけ?」 「まだです。ようやく9月に予約ができました。もっと早く打てると思っていたんですが、例の自治体のワクチン不足の影響を受けていますよ」 「僕はもう会社のほうで打ちました。職域摂取ってヤツですね」 「それはうらやましい。しかし、

          最後のひきこもり【短編】

          お遊び

          俺は行きたい所に行くよ。 俺は行きたい。とコロに。行くよ。 お、れはいき。たいと。ころ。にいく。よ。 おれはい。きた。いとこ。ろに。いくよ。 オレハイ。来た。従兄弟。炉に。幾夜。 俺、廃棄。断。従兄弟、炉に、幾夜。 俺は、生きた従兄弟、炉に、幾夜。 俺は生きたい、と。殺。に行くよ。

          1万円札、燃えた【短編】

          「なあ、1万円札を燃やしてみたら、どんな気分になるだろうな」  大学のカビ臭い部室で3人、ダラダラとポーカーをしているときに、タカシが唐突に言い出した。 「……そりゃ、もったいないと思うんじゃない?」と俺が答えると、サブカル野郎のマコトがいつもの早口でマシンガントークを始めそうになった。 「それって『ダークナイト』のジョーカーみたいだな。天井まで積み上がった札束にガソリンかけて、火をつけたジッポーを落とすんだよな。かっけー。ヒース・レジャーのジョーカー、最高だよな。あ、

          1万円札、燃えた【短編】

          持続可能な社会【断片】

          「すごい大きい話をするとさ、人間なんて大宇宙の中ではちっぽけな存在なんだ、本当に」 「だから何?」 「どデカイスケールで考えると、だ。『持続可能な社会』なんてことを言っていたけど、あれは人間にとっての話で、地球にとっちゃ気温が何度上がろうが、下がろうが、二酸化炭素濃度がどうなろうが、知ったこっちゃない。だって、生まれたばかりの頃の地球なんて火の玉みたいなもんだったし。縄文時代だって気温は高かった。気候変動なんて何回、寒くなったり、暑くなったりしてきたと思ってる?」 「そ

          持続可能な社会【断片】

          確率50%の恋【短編】

          「50%、2分の1が一番相手を夢中にするらしいよ」  教室で弁当を食べながら、恵美子はクズな父親が昨晩言い出したという珍説を披露していた。 「パチンコにリーチっていうのがあるんだけど、魚群リーチっていうのが人気なんだって。これが出ると2分の1の確率で大当たり。で、この2分の1ってのがミソで、当たるか当たらないか絶妙に人を夢中にさせる確率らしくって大人気なんだって」  香にはまったく興味がわかない話だ。「ふーん」と言いながら、恵美子は何を言いたいのだろうと思いながら聞いて

          確率50%の恋【短編】