高校時代、自分の好きや得意を堂々と話すことができなかった
“ときめき“まとめ
私には、日々更新する“ときめき“まとめがある。
Instagram、YouTube、本、雑誌、歩いて見つけたもの。
最近は人と被らないけど上品でカジュアルな古着、
カラフルな雑貨にハマっていて、
本はエッセイが好きで、
雑誌はginza magazine、POPEYE、FUDGE、OZ magazineが好き。
こんな風に自分の好きが分かってきたのは、
“ときめき“まとめをするようになってからだ。
直感で好きだと思ったものを写真に残してフォルダに入れておく。
これが私の“ときめき“まとめ。
最近はやりたいことリスト100も書き出してみた。
大学1年生までは自分が何に興味があるかなんて分からなかった、というか気にもしたことがなく、周りにどう思われているかの方が気になっていた。
しかし、今はかけがえのない友人となっている彼女をきっかけに変わることになる。
他己紹介
コミュニケーションデザインについて学ぶ授業の初回で「他己紹介」というものを行った。
それは、隣の席の人にインタビューをして、それをもとに自分のことのように隣の人のことを紹介するというものだった。
ちらりと、横を見る。
ショートカットでベージュっぽい服を着ている優しそうな女の子だった。
ちょっと安心する。
まずは配られた紙にある項目を埋めてインタビューを受ける準備をするらしい。
1. 好きなこと 2.得意なこと 3.得意になりたいことを書く。
正直なかなか書き出せず、手が止まってしまう。教室の大半もそうだったようで、
「自己評価はネガティブになりがちです。今回はポジティブに書いてみましょう。ちょっとしかできないって思うものでも、私できます!って感じで」
との先生からの声掛けがあった。
そうか、まあ、授業の中だけだからいいかと思い、ちょっと憧れていることを書いたりしてみる。
特に3の項目(得意になりたいこと)には、
YouTubeで動画作りする、
イラレでデザインをする、
のような自分ではできそうもないけど、
できたらいいのになっていうことを書いてみた。
「はじめまして。」
「はじめまして。
どっちが先にやろうか?じゃんけんする?」
私からインタビューを受けることになった。
彼女は優しそうだし、先生もああ言ってるし、ここではいいでしょう、と自分に言い聞かせながらも、自分の好きや得意を話すのはかなり緊張した。
正直3(得意になりたいこと)の部分は憧れて書いてしまったので、早口で、目を合わせずに棒読みしてしまった。
それにもかかわらず、彼女は毎度反応してくれて、ああやっぱり優しい人だなと思った。
次は彼女の番だ。
「私は音楽が好きで、結構バンドの曲を聴く。実はこれバンドTシャツで。」
いいな、そういえば私もバンドのマカロニえんぴつが気になっていた、だけどさっきの紙には書けなかった。
好きというにはまだ足りてない気がして。
「得意なのは…数学!結構昔から好きなんだよね。」
数学!!?
驚いて彼女をはっと見ると、彼女はちょっと嬉しそうに、嫌味のない可愛いどや顔をした。
堂々と得意だ、と言っている彼女がそのときとてもキラキラして見えた。
しかも私が一番苦手な数学だなんて。
昔の記憶がよぎる。
中学の頃、クラスメイトと自分の好きなものの話をすることになり、私は読書が好きだと答えた。
すると
「へえ、」
と小さな声でつぶやき一瞬嫌な顔をされて
「頭良さそうだね!」
と作り笑顔で言われた。
それからその子からは頭が良さそうな人、として壁が作られるようになった。
それがトラウマで、それ以降自分のことはあまり話せなくなった。
数学を得意なんて言ってしまうなんて。
彼女は人にどう思われるか気にならないのだろうか。
そんな私を分かっているかのように
「私、中学の頃にすごくいい数学の先生に出会ってさ、それ以来ハマってて。」
と楽しそうに続けてくれた。
自分の好きと得意を、どう思われるかなんて気にせず堂々と話す彼女はすごくかっこよかった。それに強く憧れた。
同時に、自分の好きと得意を持っていない自分に悲しくなった。変わりたい、彼女のようになりたい、と素直に思った。
“ときめき“まとめを更新したり、やってみたいことリスト100を眺めたりしながら、自身の変化を考える。
私の今の「周波数」はどうだろうか。