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一次創作小説倉庫(灰音ハル)

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小説置場です。140字関連、掌編、短編、長編とジャンルばらばら。お好きにお読みください。
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#小説

【短編】赤い月

【短編】赤い月

 なんとなく悪いことをしたくなって、貴方の残したオレンジの皮をゴミ箱に捨てることにした。
 残しておいても意味がない。何でも残したがる私のことを、貴方は「面白みがない」と小馬鹿にしていたけれど、もう今更何を言っても詮のないことなのだ。
 貴方は最低な男だったと思う。浮気もしたし、ギャンブルもした。ロクでもない男というのは貴方のような男をいうのだろう。だけど、私が泣くといつもしみじみと「ごめんね」と

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あたし、金持ちになったら高校生と付き合う

あたし、金持ちになったら高校生と付き合う

 あたし、金持ちになったら高校生と付き合う。
 なんて言ってた同級生のこと、顔も思い出せない。だっさいなぁ、いけてんなぁ。どっちも感じなかった。あ、そうなんだ……ぐらいだった。でも、それから十数年経ったあたしには、いい感じに聞こえる。いいね、あたしもお金持ちになったらさ……でも、昔に比べたら今のあたしでも、じゅうぶんお金持ちかも。そしたら、あたしが、もっともっとお金持ちになったら。そんな妄想をした

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【小説】魂の少年カガミ3

【小説】魂の少年カガミ3

GWも終わってしまいますね。つづいています。

 一話
 二話

 僕とギルバートは、リタリスにバレないように静かに彼の家をまわった。そもそも、そこまで大きな家ではなかった。だから、時間はかからなかったように思う。そして、後はリタリスが眠っている筈の寝室しかなくなったとき、ギルバートは言った。
「外に倉庫があった。そこを見よう」と。
 その言葉通り、僕とギルバートは静かに家を出て、改めてリタリスの

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【小説】魂の少年カガミ2

【小説】魂の少年カガミ2

つづきました。

 一話

「兎に角、俺が覚えているのは、自分が魂だけの存在になって、びぃ玉に取り付いていたことぐらいだ。そして、恐らくはお前が俺をびぃ玉から取り出した」
「まさか、僕はびぃ玉の中に人がいるだなんて思ってもいなかったし」
「偶然だとしても、そうとしか思えない。それに、お前は虚影の家族なんだろう? 虚影と似たことができたとしても驚かない」
「……」
 確かに、虚影が過去に彼――ギルバ

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【小説】魂の少年カガミ

【小説】魂の少年カガミ

 なんか書きたくなったので。

 ある日、僕は火を見た。密やかで慎ましい火だった。その火が風に揺られると、たちまち一面が火の海になった。直ぐ目の前、僕の鼻先まで近づいた火は、だけども僕を燃やしはしなかった。ゆらゆらと揺らめく炎は、僕を中心にして、放射線状に広がっていく。それを、僕は宙から眺めていた。おかしいな、僕はあの炎の中心にいた筈なのに。ふと、僕の手に何かが触れる。それは、青く透き通った丸い粒

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【短篇】カルデネに捧ぐ・上

【短篇】カルデネに捧ぐ・上

  何か書けたので、上下編。

 数百年前、突然に魔族が現れました。魔族は人間を嫌い、人間を襲ういきものでした。人間よりも身体が大きく強い力を持つ魔族に、普通の人間は、到底太刀打ちできませんでした。そうして人間は長い間、魔族を恐れ怯え隠れながら暮らすことになったのです。その中で、また突如として現れたのが勇者でした。勇者は誰よりも勇敢で、誰よりも強い人間でした。勇者は仲間の数人を引き連れ魔族に立ち向

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【なぞ】加湿器

【なぞ】加湿器

ボーナスで買った加湿器 冬のボーナスで加湿器を買った。黒色の、そこまで大きくないやつ。友人が加湿器を買ってからとても良いと言っていたから、何となく買った。給与明細に記載されたボーナスの金額が思ったよりも多かったのもあるかもしれない。とにもかくにも、私は加湿器を買った。毎日、水を入れるのが日課になった。実際効いているかなんかはわからないけれど、加湿器を持っている自分が少しだけ誇らしくて、気持ちは明る

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【短篇】36

【短篇】36

 こういう感じの話を急に書きたくなったので。

36 蓮比良 赤根、高校一年生。春、夏、秋、とトントン拍子に進み、気づけば冬になっていた。入学式の日の写真もすっかり思い出になった。黒い前髪は眉毛の辺りで切り揃えられている。入学式の前日に、慌てて美容院に行ったのだ。元々髪が伸びるのは遅い方だったけど「どうせ直ぐに伸びるから」という母親の勧めで、ザックリ切った。前髪が長いと、目が悪くなる。ついでに、目

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【短篇】ロスト

【短篇】ロスト

昔に書いた短編。

【短編】ロスト 正直なところ、僕はどうやって生きていけば良いかなんてわからないのです。
 日々を無駄に消化している。胸を掻き毟るような衝動が湧いては消えていく。明日になれば、全て忘れている。僕達はアルコールを消化するだけのいきものに成り果てている。それで良いじゃあないか、なんて君は言うけれど、僕はそれは間違いなんじゃあないかと思っている。ただ、そう思うだけで何をするわけでもない

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【短篇】せかいおわりの七日間

【短篇】せかいおわりの七日間

 軽率に世界を終わらせたくなったので。

 せかいおわりの七日間

 朝起きたら、世界は終わっていた。というより、自分以外の人間が消えていた。そのとき、僕は漠然と「ああ、世界は終わったんだな」と思った。何となく、その予兆はあった。随分前から、この世界で生きるのに向いていないと感じていたんだ。だけど、僕という人間が死ぬまでは、この世界は未だ受け入れたままでいてくれるんじゃないか。いきなり僕を追い出す

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バカンス de GOGO!1

バカンス de GOGO!1

ちょっと前に書いた作品。完結させたいので掲載。長いのとBL風味。

バカンス de GOGO!1

 ここは不思議な町。
 まるで普通の町・ウォルデンド。
 ウォルデンドの住人は、皆思い思いの生活を送っている。甘くて酸っぱい学生生活。涙の卒業式を乗り越えて、いざ社会人に。アルバイト、自営業、公務員、サラリーマン。その誰もが、就業後にはバーに駆け込む。家が隣の幼馴染と恋に、時には名も知らぬ旅人と恋に

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【短編】あいのなのもとに

【短編】あいのなのもとに

 短編です。

あいのなのもとに

 ねぇ、愛は止められない。愛は止められないの。どうにもこうにも、止まらないし止められない。だから、こうして人は傷つけあうんだろうなって、あたし、思うのね。

 好きになったら仕方ないって、名言よね。本当に、いつでもあたしを救ってくれる。だって、あたしがすることは全て愛の名の下に当たり前のことなんだから。あなたのことが好き。大好き! だから、これは当たり前のことな

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【短編】知能症BOKUに演技して

【短編】知能症BOKUに演技して

 さっくり一人称短編が書きたくなったので。

 知能症BOKUに演技して
 尖った言葉を使うと、自分が傷ついた人みたいな気分になれて心地が良かった。被害者面すれば、誰かを傷つけても許されるってことを知ってから、ずっとそうしている。頑張ったふりをして、苦しいふりをして、慰められる度に顔面の裏側のよくわからないところ、ぐちゃぐちゃした筋肉で笑っている。自分のことは自分で思い通りにできるんだ。だから、何

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物語作成の備忘録~世界観~

こんばんわ、灰音ハルです。

 仕事忙しすぎワロタwww
 とか言ってる場合ではないんですが、とりあえず何か壮大な話を書いてみたくなったので、世界観とか考えてみようと思う。途中で力尽きるかもしれないけど、こうやって考えてるんだなぁという備忘録の意味も含めて。

ざっくり妄想する
 何を書こうかな~とぼんやり考えて、以下の感じで書こうと思いました。

・魔法的なのが普通にある世界
・多種多様な人種(

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