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ぬか床の手入れ方法 -発酵の基本知識-㊻
ぬか漬けに不可欠であるぬか床は管理が難しいというイメージがつきまといますが、菌の特性とメカニズムを知ることで、管理がしやすくなります。
ぬか床には3種類の菌が共生してそれぞれが繁殖に快適なの場所で生育しています。
ぬか床を最適な状態に保つためには、それらの菌の繁殖バランスを維持する必要があります。
ぬか床に繁殖している菌の特性を知り、より最適なぬか床の状態を保つために役立てましょう。
ぬか床に繁殖する菌
産膜酵母
好気性菌で、ぬか床の上部に住んでいます。ぬか床の表面が白くカビが生えたようになり、ぬめりが出たような状態の時は、この産膜酵母が繁殖したことによる現象です。
独特な臭気成分をもち、繁殖しすぎた時は臭いが強く感じられます。
乳酸菌
通性嫌気性菌で、空気中、および野菜の常在菌からぬか床に移り繁殖した菌で、一般的には植物性乳酸菌と呼ばれます。ぬか床の中央あたりに生息し、微量の酸素で繁殖できます。ぬか床の爽やかな酸味と風味はこの乳酸菌の効果によるものです。
酪酸菌
偏性嫌気性菌で、酸素のないところで繁殖します。ぬか床の最下層部に生息し、繁殖が盛んになると蒸れたような独特な臭気を発します。
ぬか床を最適な状態に保つには
これらの菌を常に入れ替え、繁殖のバランスを適度に保つことでぬか床の環境を最適な状態に保つことができます。
「ぬか床をかき混ぜる」のは、この3つの菌の繁殖バランスを整える目的を持っています。
それぞれの菌は、快適な環境であればある程繁殖し、増殖していきます。増殖しすぎることでぬか床の環境はその菌が持つ特性に傾きすぎ、バランスが取れなくなります。
つまり、繁殖をさせすぎずにほどよい状態を保つ必要があるため、産膜酵母や酪酸菌の場所を入れ替えることで繁殖しすぎることを防ぎます。
「かき混ぜる」というようりも「入れ替える」という表現の方がふさわしいでしょう。
できれば1日1回、夏場は朝と夕の2回が理想的です。混ぜる回数が少なくなると乳酸菌が活発になりすぎて、酸味が強くなったり、臭いやカビの原因にもなります。
その他の手入れのポイント
水分が多くなってきた場合
最近の市販のぬか漬け用の容器には、水切りのための専用容器が付属しますが、ぬか床の水分には、乳酸菌やそのほかの微生物が含まれておりますのでできれば、捨てずに食材を漬けることで水分を取り除く方法がよいでしょう。
乾物を利用すれば、水分は乾物が吸収し、程良く漬かるので味も風味もそのまま味わうことができ、無駄がありません。
昆布、切干大根、干ししいたけなどを使えば、乾物のうまみ成分がぬかに足されますので積極的に利用しましょう。
ただし、水分が増え味が薄めに感じてきたら、足し糠をすることをおすすめします。
酸味を強く感じるようになってきた場合
乳酸菌の増殖による過剰発酵が考えられます。
塩を足し、塩分濃度を上げることで乳酸菌の活動が抑えられます。
冷蔵庫などに入れ、温度を下げることで乳酸菌の活動を抑えます。
足し糠をすることで、塩分濃度を下げることができます。
食用の重曹(アルカリ性)を加え、強くなった酸性を中和させます。
長期不在の場合
冷蔵庫に入れることで微生物「の活動を抑えます。
ぬか床の表面を粗塩で覆い空気を遮断します。
(再開時は表面の粗塩を取り除き、生糠を1カップ程足します。)冷凍庫で冷凍保存することで、微生物を休眠させます。
(再開時には自然解凍をします。その後足し糠をすることで、微生物が活動を再開します。)