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税理士による「税理士がいらない」未来づくり。

私は現在41歳で50歳までには税理士を辞めたいと考えています。

その理由は私が最初に書いた記事『税理士を辞めて『変な人』に戻ろうと思う。』に集約しましたのでここでは割愛しますが、簡単に言うと『心と身体が元気なうちに、自分の好きなことがやりたい』からです。

ただ税理士を辞めるにあたって、顧問先に『私、税理士辞めます。ではサヨウナラ。』では社会人として最低です。
お客様あってのお仕事なので、恩を仇で返すようなことはしたくありません。

ではどのようにして、税理士を辞めようと考えているのか?

そのためにはまず、現在の顧問先の皆さんに『お金に関する知識』を深めて頂き、約10年後に私が税理士としての顧問契約を解除しても、顧問先が『将来のお金について不安がない状態』にもっていきます。

そしていざ私が税理士を辞めるとなった際に、『あの税理士さんがいなくても、とりあえず将来のお金についてはもう心配がないから大丈夫だ』と、安心して暮らしていけるような関係になってから税理士を辞めるのが理想です。

つまり、会計・資産運用・保険などの知識を余すことなく顧問先に教授し、10年後に私がいない状態でも資産がシッカリと確保できている状態に持っていくこと、それこそが私の今後10年の顧問先に対する責任と使命になります。


税理士を一生続けるのは本当に正義?


税理士業界は高齢化がとても進んでいて、80歳以上の超ベテラン税理士さんも数多くいます。税務署を引退されてから税理士になる人が多くいたり、試験が難しすぎて合格できたのが50代だったりすることがその理由です。

15年間この業界にいる私が多くの税理士を見ていて思うことは、税理士を死ぬまで続けることは、本当に顧問先のためになるのか?ということです。

もちろん税理士自身の生きがいとして、自分が元気なうちは最後まで仕事を続け、顧問先と長く信頼関係を持っていくことは良いことだと思います。
しかし最近この税理士業界にいてよく聞くのが、その税理士自身の生きがいに「巻き込まれて」、信頼していたはずの税理士が突然亡くなり、大混乱に陥る社長の話です。

果たしてそれは『責任をもって最後まで顧問先と接した』といえるのでしょうか?

独立開業の税理士は、主に中小企業の社長さんと顧問契約を結ぶ事が多いのですが、社長さんは商品を売る事は天才的でも、お金の管理は超苦手という方も多くいらっしゃいます。特に小規模の企業さんですと、経理をほぼ税理士にお願いしている社長さんも少なくありません。

そうなると税理士が突然健康を崩したり亡くなったりすると、社長はお金について何も分からず、大変な事になってしまいます。

そうならないために『税理士がいなくてはお金が管理できない会社』ではなく、『税理士がいなくてもお金についての不安がない会社』になって頂き、そのうえで顧問税理士を辞めることが、お互いにとって最良の形であると私は思っています。

私は残りの税理士業の時間で、顧問先の社長さんに『お金についての不安がない経営者』になって頂くことが、税理士を辞めるにあたっての大きな責任だと思っています。

なんと税理士の4分の1は70歳以上、全体の7割が50歳以上です

実際に税理士を一度辞めてみた話。


実は私、過去に一度、税理士を辞めたことがあるのです。
正確に言うと休業ですが、2013年に開業した後、2015年から2017年まで一度税理士業を休業しました。

休業した理由は、『世界一周旅行』をするためです。
顧問先からしたら、何とも自分勝手で無責任な理由です。

世界一周の旅に出る前は顧問先もそれなりにいて、貯金もそれなりにありました。しかし世界一周旅行に出るために、全ての顧問先に頭を下げて『御社との顧問契約を解除させてください!』とお願いにまわり、約1年ほどかけて後任の税理士へと引き継いでいったのです。

そんなことをしてまで私が世界一周旅行に出た理由は2つあります。

1つ目の理由は、当時お付き合いしていた彼女が『子供の頃からの夢であった世界一周旅行に行く!』と準備をし始めたことがキッカケでした。
最初は冗談かと思っていましたが、彼女の気持ちは”本気”で、当時勤めていた某有名企業をスッパリと辞めて、世界一周旅行に行く準備をし始めたのです。
私は彼女と『近い将来、結婚したい』と考えており、彼女の夢を一緒に叶えたいという気持ちから、私も税理士を休業して一緒に世界一周旅行に出る事に決めました。

2つ目の理由は、『お金持ちになってやりたい事をするために税理士になった』はずなのに、
このまま何十年もかけてお金を貯めても、やりたい事ができるのは税理士を引退した60歳ぐらいからか・・・と考えた時に、『もっと元気で健康なうちに世界を見てみたい!』と思ったからです。

お金のために税理士を目指したのではない、将来やりたいことを好きなだけやるために税理士を目指したのだ』と、そのとき思い出したのです。

世界一周旅行から戻ると、顧問先は0件、貯金もほぼ0円の状態になりましたが、世界一周の旅に出たことは私の人生で最大の思い出であり、一緒に旅をした彼女とはその後無事に『結婚』する事ができました。

南米ボリビア/ウユニ塩湖にて

『普通の税理士』から『変な税理士』へ。

世界一周の旅から帰った後は、旅に出る前にお世話になった顧問先に『無事に日本に戻って来ました。その節は大変ご迷惑をおかけしました。』という報告だけはさせて頂きました。

それは税理士として再び顧問契約をさせて頂きたいといった厚かましいお願いではなく、単純にお詫びと、帰国の報告を連絡させて頂くためでした。

すると、多くの旧顧問先の皆様から、『実際に会って世界一周の話を聞かせて欲しい』という連絡を頂き、お会いすることになりました。

すると多くの社長さんは、私が途中で顧問契約を身勝手に解除したことを怒るでもなく、世界一周旅行の話を『面白い!』と言ってニコニコしながら聞いてくれるのです。
そして、『また一緒に仕事がしたいなぁ』とか『知り合いが税理士を探しているから紹介させてよ!』と言ってくれるのです。

その時は気付けませんでしたが、改めて考えると社長さんというのは良い意味で『変わった人』が多く、面白そうなことや面白そうな人間が大好物なのです。
税理士には『お堅いイメージ』がある人が多いと聞きますが、税理士を休業して世界一周をしてきたおかげで、私は普通の税理士から『変な税理士』へと変化を遂げた事で、意図せず他とは違う税理士になっていました。

こうして今も私を税理士として頼ってくださり、『面白い奴』として接してくださる顧問先の皆様と一緒にお仕事をさせて頂いております。


税理士がいらない未来づくり。

そして今、私は再び10年かけて税理士を辞めようとしています。

前途でも述べた通り、私は税理士を責任をもって辞めるために、私を慕ってくれる顧問先に10年をかけて『お金に関する知識』をつけて頂く所存です。

そして顧問先に『税理士がいなくてもお金に関する不安がない状態』になって頂くことが、税理士を辞める私のこれからの使命であり、責任だと思っています。

どんな仕事だろうと、必ず仕事を辞めるときには何らかの形で誰かに迷惑をかけることになると私は思います。それはたとえ自分が死ぬまで責任をもって仕事を全うしたとしても、です。
だからこそ『自分が元気なうちに、相手にしっかり準備をしてもらった上で、仕事を辞める。』

今の税理士業界を見ていると、これが顧問先に責任をもって接する最大の方法なのではないかと、私は思っています。

世界一周旅行と同じで予定通り行かないことだらけだと思いますが、それも楽しみつつ新しい挑戦を続けていきたいと思います。

なお、今後『お金に関する知識』についてはこのnoteに公開していく予定なので、引き続きフォロー頂けると嬉しく思います。


追伸

今から約3年前になりますが、ロバートハリスさんがパーソナリティを務める人気ラジオ番組『アレクサンドリア』にゲスト出演をさせて頂きました。

このラジオ出演に至った経緯も、私が顧問をしていた社長さんに番組を紹介されゲスト出演に至りました。

私が普通の税理士だったら、まずラジオのゲストに呼ばれるなんてことはなかったと思いますので、人と違うことをすると、面白い出会いがありますね。

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