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毒親育ちが自分本来の誇りを取り戻すために ⑳
甘さは調味料、優しさは主食。人間関係は料理みたいなものだ。
優しさというのは強さを伴うと、時として厳しく映ることもあるのかもしれない。
優しさと、甘さは似ているところもあるが、違うものだ。
甘さや辛さはほんの少量でいい。
たとえて言えば、調味料のようなもの。
素材の味をほんの少量の刺激で引き立てる時がある。
けれどもどっぷり浸けてしまうと素材そのものの味もダメになってしまう。
それに調味料だけでは満足感は得られない。
一方、優しさは主食みたいなものだ。
安定感がありつつもそのものの味自体は強くない。
中毒性を産むような刺激物でもない。
ほんのり、じんわり、ゆっくり、毎日継続的に取り入れて育んで、生きるエネルギーの源になる。
優しさはベースではあるけれども、優しさだけでは足りないし、優しさだけでは生きていけない。
肉や魚のような動物的力強さも必要だ。
そして力強さが暴走しすぎないように、野菜や果物や豆類や海藻などの力を借りて落ち着かせることも必要だ。
栄養素は、不足しすぎても、逆に摂取しすぎても、不具合を起こす。
身体を構成する上で、筋肉、骨、臓器、皮膚、血液、神経、水分量などのバランスを司る。
主要なエネルギー源となる主食に加え、肉、魚、野菜、豆類、海藻類、果物、などの様々な栄養素を摂ることは健康な身体を維持していく上で重要だ。
自然の恵みをバランスよく摂り入れていくことが健全な心身には欠かせない。
たとえば糖質が不足すると、エネルギー不足によって疲れやすくなったり集中力がなくなり、逆に摂りすぎが続くと肥満や生活習慣病の原因となる。
そしてその栄養素も自然の循環と同様に、いずれも全て単体で独立しているものではなく、相互に深く関わり合って身体を維持している。
たとえばカルシウムが十分であってもビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が悪くなるように。
糖質を効率よくエネルギーに変えるにはビタミンB群が必要であるように。
余分な糖を蓄えないためにも一緒に摂ることが大事なように。
人体の神秘も自然の摂理と同じ「循環」「相互補完」「バランス」の法則が大いなる力によって働いているのだろう。
冒頭の「甘さ」「優しさ」の話に戻ると、人の「心」には様々な機微がある。
優しさ、厳しさ、冷たさ、怖さ、甘さ、辛さ、酸っぱさ・・・などなど。
甘さだけではダメになるし、優しさだけでも生きられない。
厳しさだけでもダメになるし、冷たさだけでも生きられない。
何事も「加減」が大事ということだろう。
エネルギーのベースとなる主食には「優しさ」が欲しい。
優しさはベースだが、いつもそれに縛られて固定しなくてもいいじゃないか。
その時々で色々な食材や味変を楽しめることは豊かなことだ。
暑い夏には冷たいかき氷、寒い冬には温かいお茶が身に染みるように。
自然界の生き物だと考えたらそっちの方が自然で無理がない生き方だ。
恐縮している人には少しの甘さを。
舐めている人には少しの厳しさを。
料理の匙加減みたいに、ちょうどいい塩梅を調整して相互を活かし合えればいいのだろう。
料理って、自由な発想が出来るほど様々な角度からの発見も多くなるし、大胆な決断ができることで意外な組み合わせもより楽しめることが上手くなる。
もちろんその陰には失敗だって沢山あるものだけれど。
でも失敗したって何だって、自分の舌を信じるほどに、オリジナルのお気に入りレパートリーは強化されていく。
それはおそらく人間関係も同じなんじゃないかと思う。
人は自然の生き物であり、お天気のように多面体だ。
絶対的な性格というものがあるわけではなく、その時の環境や相手との相性により様々な顔を持つ。
相性の悪い調味料や食べ物があるように、お互いにいいものを引き出しあえる相性もあれば、不味い食べ物が出来上がってしまうような相性もある。
たとえ「血が繋がっていようと、なかろうと」基本は「人と人」だ。
調味料や栄養素のように、都度加減や味見の感想を持ちながら
その時々で臨機応変に、バランスを取るように。
健全な心身を維持するために、人付き合いも同じように考えるといくらか気楽だ。
バリエーションは組み合わせにより無限大。
シンプル、こってり、さっぱり、あっさり、ピリ辛、ちょい甘・・。
薄い、濃い。美味しい、不味い・・。
不味いを通り越して刺激に感覚が麻痺してしまったり、身体がSOSを出すような毒気を感じるのなら、潔く「NO」を突き付ける判断も健全な心身維持のためには大事なこと。
優しさをベースに、様々な調整をしながらアレンジを試行錯誤して楽しんでいけたらいい。
食卓をより豊かなものにするために様々な彩りをするように。
続く