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それってあなたの感想ですよね?事実と感想の切れ目ってどこ?

それってあなたの感想ですよね?

今やディベート界隈ではキラーワードになりつつあるこのフレーズ。
小学生が先生に怒られた時に、みんなこれを言うんだとか。

相対する先生のうち、どれくらいが「いいえ、事実に基づいて言っています」と自信をもって言い返せるでしょうか。

今回は事実と感想(≒意見)の境界について、具体例を交えながら解説していきたいと思います。

「それってあなたの感想ですよね?」と言われても、おどおどしないことを目指しましょう。
これが、議論で負けない、もしくは論破されそうになっている周りの人を助ける第一歩になります。


クリティカルシンキングのおさらい

別記事で解説しましたが、クリティカルシンキング(=批判的思考)の定義は、
「何事も無批判に信じ込んでしまうのではなく、問題点を探し出して批評し、判断すること」です。

しかしながら、クリティカルシンキングは、あらさがしや人を責めることを目的としている訳ではありません。

どちらかというと、「他人やものごとをきちんと正確に理解する」することを目的にしています。

詳しくはこちらの記事をお読みください。


クリティカルではない思考

以下のようなことは、クリティカルシンキングとは逆の思考であり、そこには感想が多分に含まれている可能性が高いといえます。

・じっくり考えず、「こうに違いない」と決めつけてしまう思考
・ものごとを一面的・部分的にしか見ない思考
・十分に情報や根拠を探さず、すぐに結論を出してしまおうとする思考
・客観的事実ではなく、感情や主観で決めてしまおうとする思考
・一度決めると、考え方を中々変えることができない思考
・疑わず、他人・ニュース・有識者などが言ってることにすぐに同調してしまう思考

これにあてはまる方は、既に「それってあなたの感想ですよね~」と言われるリスクがあります。

もしくは、上司からの指摘が多かったり、データ分析に納得感がなかったり。。

事実と感想の境界線~なぜ事実をありのままうけいれられないの?~

では、どこまでが事実で、どこまでが感想なのでしょうか。
答えとして、基本的には「事実をありのまま受けいれている状態のもの」以外は全て感想・意見となる可能性があります。

そんなの当たり前じゃないか!
と思うかもしれませんが、人は結構事実を捻じ曲げて解釈しています。

解釈するパターンとして、以下3つに大別されます。
①誇張
②単純化
③つじつま合わせ・補強

それぞれ解説していきます。

①誇張

話し手や聞き手が関心を持っている部分が誇張され、尾ひれがついてしまうことです。

後輩が数年前、京都の山を登っている際に道に迷い、遭難したことがありました。
この時、消防隊により救出され、テレビにも報道されたようです。

事実はその日の夜に救助されたのですが、私が聞いた時には、「1週間くらい遭難した」「何日も野宿し、野生動物や野草を食べて飢えをしのいだ」というような噂になっていました。

このように、ただの遭難では面白くない、あるいは消防隊に救助されたのだから大変なことに違いないという思い込みから、遭難の程度がかなり誇張されました。

②単純化

話が単純で分かりやすくなるように、難しい部分や関心が薄い部分は省略され、二分化する(白黒はっきりさせる)ことです。

例えば、このブログも時々難しい話をすることがあります。
時々考えることや理解することを辞めてしまうこともあると思います。

そういう時に、「クリティカルシンキングとは、批判的思考である」
という文字面だけ切り取り、
「クリティカルシンキングは、論破するもの」
というように、事実を単純化しすぎてしまうのです。

クリティカルシンキングは実際にはそんな単純なものではなく、前述の通り、批判することだけのために作られたものではありません。

③つじつま合わせ・補強

話し手や聞き手のもつ先入観や話の流れに沿うように、事実が歪められる。あるいは、実際にはなかった情報が加えられ、「いかにもありそうな話」が付け加えられることを言います。

高校時代の野球部の監督が、数年前に懲戒免職になりました。

大阪府のサイトでは、「学校貸与のipadを、私用に使ったこと」としか書かれていませんでした。

しかしながら、野球部OBの間では、「学校貸与のipadで、毎日アダルトサイトを見ていた」という噂が一気に広まりました。

・懲戒になったこと
・学校貸与のipadを私的に使ったこと
この2点については、事実として相違ありません。

一方で、監督が「アダルトサイトを見た」という事実はどこからも分かりません。
我々が関心をもっていたのは、監督が懲戒を受けた事実ではなく、「なぜ懲戒を受けたか」であり、これを脚本を付けて面白おかしく誇張したいということです。

結局、アダルトサイトを見た監督というのは、ほぼ事実のように扱われているのですが、
誰も本人に確認を取っていないため、これは推測の域を出ず、恐らくそうだろうという、誰かの感想になっていると言えます。

この3種類に該当する思考をしていないか、常に胸に手を当てて考えることが重要と言えるでしょう。

(ちなみに、私は「アダルトサイトを見た」と思っています。だって当時から性欲強そうなおじさんだったんですもの…)



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