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あきやまなるみ
2020年9月19日 13:26
洗濯物自分のものではない洗濯物 を 干すとき「今 あなたは生きている」 ということよりも「昨日 あなたは生きていた」 という実感ばかり 強くなってなんとなく もの悲しい物干し竿に、衣類を干す そのことがあなたを 罪なく置き去りにしている ようで…
2020年9月22日 07:33
言葉を着ます。感性といった、裸に似せた衣装を。ときには共感といった、流行りに似合う言葉を。結局のところ顔が言葉から飛び出して意味への勘ぐりによって窒息します。
2020年9月15日 18:17
人間って不思議だなぁはしゃいで 騒いでも、寂しさや虚しさも健気についてくるんだものそして自分のかっこわるい姿を思い出してクスクス笑えるんだもの十分じゃないか と言い張るこころとなんか違うや と訝るこころで自分という人間をあやつる つもりがまたもや とんちんかん!そんな日もあればひっそりと こころが満ちていくときもある注いでも 注いでもあさっての方向を向きながら
2020年9月13日 08:33
その四肢は証明ではない。かぎりなく心臓に吸いつき私の黒目のように、余すことなく瞬きに飲みこまれてしまいそうなのだ。
2020年9月12日 05:16
くすくす わらけてくる布団からはみ出した足が、身体からはみ出した 飾りのない「思い」のよう で。しくしく 泣けてくる背中を丸めて ねむるとき、この身が なにより大事である と悲しくても 証明してしまう から。真っ暗闇、灯りは 胸のなかに あってそのひとつを 抱えるように とぼくと寝相が 友だちになる ために
2020年9月4日 19:02
水を弾いてみる水面に生じる波紋は特別だよというようにわたしを揺らし空も揺らしてくれたわたしは飽き足らず片っぽの靴底を浸して乾いた道に絵の具のように足あとを残す特別だよというように振り返ると、取るには足らない、小さな足あとが晴々とした空に静かに のぼっていった
2020年9月6日 14:33
慣れたふうに顔ぶれを眺めてたらみえたのだページを布団にして眠っている しおりが…ひょっとしたら食べこぼしやら 虫やらも紛れ込んでいるのかもしれない な本のなかに私の 不手際を少しばかり、覚ます存在のやさしさ で
2020年9月8日 23:51
反射的に放った「素敵ね!」という言葉にひとり照れたあと口の中を反芻する、あめ玉のようなもの。しばらくすれば溶けて なくなるけれどああ 「ひとこと」が季節らしい移ろいをみせて降る ふる渇いた喉元に 降る ふる
2020年9月10日 04:35
日本語が手に使え 足に使えと言ってる舌が 味をとらえ私は「生」にしがみつく