あきやまなるみ

詩人 夫と娘と猫と暮らす

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詩「私の名前は」

私の名前は 母 妻 娘 妹 そうして 涙の絵の具にまみれて 思いがけず 虹がかかるとき その真下に ひとりの私がいるの

    • 詩「きみが指差すものは」

      そら ねこ とり はっぱ きみが指差すものは どれも名付けられたものだと そんな 当たり前みたいなことに 今さら 気がついて まだ 名付けられていない  −たとえば 感情 の、瑞々しさをおもう どんなひとにも 正しく 降り注ぐ 「いま」 そのまんなかに 向かおうとする心の うつくしさ どうか きみだけの 悲しみでありますように 喜びでありますように

      • 詩「詩人の出番」

        詩という名の 訪問者は 先ず その人の勝手口から りんかくだけ すがたを現します 気配に気付いたら 今度は詩人の出番です 磨りガラスを隔てたような訪問者に ジッと目を凝らし 一歩 二歩 三歩  近付いては 離れてを繰り返します そうして  ご対面のとき 詩という名の訪問者は 最後に瞬いて わたしの内に 還っていくのです

        • 詩「母と子」

          かつて 私が母に抱いた気持ちを 娘も大方味わうのだろう そう思うと 母と子は いつも すれ違い 掛け違い 思い違い 双方の真実は 木葉のように 舞って 交わるのは ほんの一瞬 そう思うと 母と子の 答え合わせは いつになるのやら だから だから そばにいよう 見逃さないように 風に委ねて ほんの一瞬の出来事を いっぱい 喜ぼう いっぱい 祝おう __________ 私の母はとても不器用な人でした。 言葉足らずで、自分のことをめったに語らない。こうしなさい、ああしな

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        • 32本
        • 子育ての詩
          6本

        記事

          詩「ゆめ」

          きみが ねむるまえ うれしいきもち たのしいきもち じゆうなきもち を サンタクロースみたいに ふくろいっぱいにして ゆめのなかで とりだしていたら いいな いいな

          詩「こたえ」

          寝癖の差すほうへ きっと そういうところに こたえは 落ちてる のかもしれない 晴れ間 木の実 まばらに飛ぶ鳥 言葉の切れ端 それらに わたしは ゆだねよう

          詩「朝」

          体を のせていく。 心を のせていく。 いつの間にか 体に のっている。 心に のっている。 風が入ってくる おはよう。

          詩「ちょうちょ」

          ちょうちょ ちいさな かがみを せなかに のせて ひらひら きらきら くすぐったい やさしい ひかり

          詩「ちょうちょ」

          詩「ねむり」

          小舟を漕ぐように わたしの内へと おりていく すこしのあいだの はるかはるかのむかし わたしが わたしと出会う前へ

          詩「はじめから」

          はじめから 決まっていたみたい に 寄り道も 本心も 猫も 私も 今に つつまれて

          詩「はじめから」

          詩「生後十ヶ月」

          生後十ヶ月 拍手をおぼえた おむつのときも ごはんのときも 泣いてるあいまも 両手を合わせて パチパチ うれしくって たまらないかのように その不意打ちの「賞賛」は さっきまで 怒っていた わたしの心に 投げ込まれて ほんのちょっとだけ 母としての わたしを 讃えたくなるような 一輪のお花みたいで

          詩「生後十ヶ月」

          日記「ずっと残ってる言葉」

          「自分の人生から逃避して、自意識をこねくり回したような独り善がりな作品よりも、たとえそれがどんなに繊細だろうが表現力が巧みだろうが、 自分の人生の課題から逃げずに、向き合っている人の作品のほうが、たとえ内容が拙くても俺は見たいし読みたい。」 いつだったか、私が「育児で自分の時間がないから絵も詩もかけない!」と不貞腐れてたときに、夫が淡々と放った言葉。 その言葉が、ずーっと心に残っている。確かにそうだよな、と思う。 私だって、自分自身の課題と正面から向き合い続けている人の

          日記「ずっと残ってる言葉」

          詩「日常」

          娘がうまれた 母親になった私の 真っ白な落書き帳に きみは 色をのせていく 力強い大粒なみだ みずいろ 弾けてくわらい声 きいろ 全身で示す不服! あかいろ にんまりほっぺ ピンクいろ 真っ白だと思っていた 私の落書き帳に これでもかってくらい きみは 色を重ねてくる 私は オロオロと まるで ぎこちない餅つきみたいに応える ぐちゃぐちゃで とっ散らかった 「日常」 それは タ焼けより 鮮明で 突然の土砂降りより 強烈で 雪の下の草木より 心許なくて 冬の木海れ日

          詩「あそぶ」

          あそぶ ひろって おとして たたんで ひろげて かさねて たおして のぼって ぶつけて りんりん ちりりん りりん ちいさな 手から やわらかな 足から まあるい 背中から きこえてくる 鈴のような 生命の おと

          詩「赤ちゃん」

          あかちゃん わらう カラフルの ふうせん パチン! と われる みたいに あかちゃん なく いのち いっぱい! ひびかせて じょうずに お空を およいで すやすや ねがおの ひとやすみ あかちゃん この ちきゅうの おかあさん

          詩「赤ちゃん」

          詩「ほんとうのことば」

          ほんとうのことばを いつもみんな 交わし合ってるとは 限らないから ほんとうのことばと  ほんとうのことばが であうと たまらなく うれしい ひっそりと うれしい ほんとうのことばは きっと 多くなくていい それだけで 十分なんだ

          詩「ほんとうのことば」