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詩「私の名前は」

詩「私の名前は」

私の名前は






そうして
涙の絵の具にまみれて

思いがけず
虹がかかるとき

その真下に
ひとりの私がいるの

詩「詩人」

詩「詩人」

視覚とは別にある
もうひとつの目は
いつも押し黙っている

わたしよりも
よっぽどわたしであるように
真ん中に腰掛けて

舞台に立たされた
私たちの芝居を
じっとみている

芝居せざるを得なくなった
私たちの物語を
じっと

視覚とは別にある
もうひとつの目は
私たちの(無意識)を
不意に照らす

詩人はその光を
拾い、
うたっている

詩「ほんとうのことば」

詩「ほんとうのことば」

ほんとうのことばを
いつもみんな
交わし合ってるとは 限らないから

ほんとうのことばと 
ほんとうのことばが であうと

たまらなく うれしい
ひっそりと うれしい

ほんとうのことばは
きっと 多くなくていい

それだけで 十分なんだ

詩「ちょうちょ」

詩「ちょうちょ」

ちょうちょ

ちいさな かがみを
せなかに のせて
ひらひら きらきら
くすぐったい
やさしい ひかり

詩「靴」

詩「靴」

玄関にいる
出番のない靴は
さみしくって
歩き出したり
しない の?

詩「しずかな心」

詩「しずかな心」

しずかな心は
とても しずかなので

大きな音に
掻き消されてしまいます

忙しない振る舞いに
埋もれてしまいます

しずかな心は
とても しずかなので

問い質す程に しずかです

悲しみが充満しようとも
力に屈しようとも

わたしは思うのです
しずかな心は
微笑みに似ている と

いつも
あなたの内にいて
あなたに向けられている

詩「うたをうたうときのように」

詩「うたをうたうときのように」

うたをうたうときのように
裸であったらいいとおもう
生命を背負うでもなく
生命を語るでもなく
うたをうたうときのように
過ぎ去る風であったらいいと

詩「はじめから」

詩「はじめから」

はじめから
決まっていたみたい

寄り道も
本心も
猫も
私も
今に
つつまれて

詩「今をとらえていたい」

詩「今をとらえていたい」

あるもの
ないもの
数えるより

勝つか
負けるか
決めるより

嘘か
本当か
証明するより

今を
とらえていたい

今というページに
記されている
伏線を
とらえていたい

そうして
結末で待ち合わせて
皆それぞれ
答え合わせをして

なるほどなぁ

笑い合っていたい

詩「草をむしる」

詩「草をむしる」

草をむしる

娘の献立を
おもいながら

詩人の八木重吉を
おもいながら

草をむしる

浮かび上がった
日常から

飼い慣らしていない
素顔が現れてくる

詩「正体」

詩「正体」

力なく
為す術なく
自分
意志をも
放ったら
光を
祈るだけ
それだけ
になり
この身の正体

と知る

詩「旅人」

詩「旅人」

何気なく
開いた詩
私の内界を照らして
私はかつての舞台に立ち返った

遠い遠い
故郷のようだった

私が私であると
気付くもっと前から
私の奥で
流れている何か

それは
内なる産声だったか

孤独を背負った
旅人の背中が
途端に
見えてくる

詩「答え」

詩「答え」

ある程度の
理想はあるが
正しい答えは
持ち合わせていない

むしろ
正しい答えがあれば
うたは
しばられる

ひとは
勇気と共に
うたう

祈るように