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(連載38)白シャツの衿に付着した「汚れの首輪」で作品制作:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1999-2000年
前回のあらすじをまとめますと。
洋服で作品を作っても、発表の機会が少なく、いろいろと悶々として、もしかしたら、表現方法を、[絵]にしたら? うまくいくような?気がしてきて。
そして努力した。、、、、あの、自分なりにですけど。汗
他人からみたら、チャラチャラ、ナイトクラブで踊って、「何が努力よ?」と言われるかもしれませんが。(当時の私のディフォルトは、店番のバイトと週一程度の踊り子)
しかし、この生活の時間の合間にエネルギーを集中して、絵を描いてみて、それがギャラリーを通して売れたのだ!
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つまり、イコール 。。。。 =画家になれた!
全く知らない人に絵が売れたというのは、本当に嬉しかったです!!!
絵のサイズはこんなかんじ。
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そして、これからもガンバって、絵を描き続けよう。そして、いつか人間国宝にでも、なろう。。。。。(なれたら。。。)
沈黙
余白
余白
余白
余白
当然ですが。
そんな、真っ当なものとは縁遠い、わたしの人生であった。。。。。
ついでの余白。
当然ですが、絵をかくのは、時間がかかります。
スリフトで、題材の白シャツが目にとまり、いい感じの汚れ(しっかりついているシミ)があったら、すぐ買っちゃう!だって、100円とかだしー。笑
その時に、買わないと今度、いつ、そんな素晴らしいシミがついたシャツに出会えるかわかりません。で、また、買っちゃう。
そんな繰り返しで、意外とない?、、、と思ってたシミのついたシャツが、結構、簡単に見つかる事に気がついた。爆笑
しかし、その時はもう、遅し。
絵を一枚描いてる間につい、10枚くらい集めちゃって。
そのまた次の絵を描いてる間に、また10枚くらい、買っちゃって。
というのを繰り返していたら、もう50枚くらいにすぐなって。
前回も申しましたが、一つ一つをファンシーな箱をつくって、箱詰めにして、これをフリマとかで売ろうか?と思いました。マルセル・デュシャンも同じような事をやっていたので、ネタとしても面白いかなって。苦笑
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そしたら、それはそれで、箱を作るのがものすごい時間かかっちゃって。笑
一個、箱を作ってる間に、また、つい10枚くらい、買っちゃって、って。
そして調子にのって、どんどん、メンズの白シャツを集めて出し、
気がついたら、自分の仕事部屋が古着の白シャツだらけになっていた。
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夫もトッシュも、「こんな、集めて、どうするの? これが全部、僕のものだって思われるのは、いやだな〜と。」言い出した。
その通りです。
私って、いつも、なんでこうなるのかなー?
なんかに夢中になって、気がついたら、とんでもない事になっている。
よくアメリカの漫画で、全力で走って足がグルグル回りながら、まっすぐに猛スピードで進んでいるうちに、追っかけてたものも通り越して、岸壁も通りこして、
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下をみたら、何も無くなってて、
あれ〜〜?って。
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真っ逆さまに落ちるっていうの、ありますよね?
私はマサにあれ。
ひゅ〜〜〜〜〜!!!!
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どっし〜〜〜〜〜〜ん!!!
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なんで、こうたくさん、集めてしまったのですか?
その理由を冷静に考えようと、その頃の直近の自分の行動を分析してみた。
そして、わかった!!
一口で言えば、
「汚れの首輪」が、
ものすご〜く、気に入ってるって事だった。
どう考えても、このテーマは深い。面白い。集めれば集めるほど、面白さが増大する!!
まず、その形状。
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パターンが独特で、立体と平面が合致して、美しい!!!!
はあ〜〜!!(感激のため息です)
建築家のリチャード・セラみたいだ!
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そして、メンズの白シャツというのは、社会のユニフォーム。
男性社会のシンボルで、しかも、進化した?人間のシンボルでもある。(ちなみに国のトップ(大統領とか首相とか)のほとんどの男性は白シャツを着ている=民族衣装をまとっている人もいますが、白シャツの方が断然多い。)
なぜ、このデザイン???誰かが決めたわけでもないのに、歴史の中で切磋タクマされ、残ってきた、、、衿にまとわりついているこの半分立体の半分平面の白いふしぎな布。
そして、同じデザインなのにひとつひとつみんな違う。大量生産された社会のユニフォームなのに、ファッション・ビジネスの中で、消費されてゆき、消えてゆく。
そして、そこに付着した、労働の印として、確実に残されている黄色い、シミ。
ブランド品であろうが、安物のシャツであろうが、同じようにシミがつく。
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そして、アメリカでも洗剤の会社が 『Ring Around The Collar』 と、名付けた事により、コレは社会的な位置を獲得しました。
また、同じ頃、日本でも「汚れの首輪」というニックネームを獲得した。
そして、「洗濯カルチャー」で特異なポジションとなり、悪キャラとして、有名になっていった。
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衿が汚れている人は=仕事もできない。社会から振り落とされた人と判断されることとなり、、、、。
いわゆる主婦は夫の衿の汚れを消すのに、苦労した。
衿の汚れを消すために妻たちは、
戦ったに違いない!
「汚れの首輪」は、
主婦の戦いの歴史でもあるのだ!!
ああ、、、「汚れの首輪」君たちよ!
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私は決して白シャツフェチではありません。
でも。このテーマそのもの、つまり、
「この深い汚れの歴史を背負った表面たち」
に、魅了されたのでした。
そして、絵をかいてるだけでは、おさまりきれないこのテーマの存在感に、強烈にノックアウトさた!!!
ちょっと前まで、画家になったら、すべてがスムーズにうまくいくような気がしてた。
画家も続けたい。でも。。。。。
ゴッホがひまわりを描いてるうちに、家の中がひまわりだらけになるでしょうか? = ならん。
モネが睡蓮を描いてて、睡蓮を栽培するでしょうか? = せん。
ドガがバレリーナの絵ばかり描いてますが、自分もバレエを踊るでしょうか? = 踊らん。
何かが違う。。。。
普通は、(普通というものがあるとすれば)芸術家は、自分の作品に情熱を注ぐ、画家は絵に。彫刻家は彫刻に。
なのに、いったい私はどうなっちゃったんだろ?
そのテーマ、題材、サブジェクトの方に自分のエネルギーの
すべてもっていかれてしまったのでした。。。。。
もう、「汚れの首輪」で、何かできるんだったら、なんでもいい!!
となってしまった。。。
絵画だけではなく、立体、空間、時間と、すべてを巻き込んで何かやりたい!!
考えれば考えるほど興奮してきて。
そして、次のフェーズに、自分で勝手に、はいったのであった!!!
以下、自分で訊いて、自分で答えてます。
「汚れの首輪のスペクタクルな世界」を作ったら、面白いのでは?
おお〜!!!
「汚れの首輪」だけを切り取って、服を再構成するっていうのは?
おおおお〜!!
そして、絵と平行して、この服のブランド(ライン)も作って?
おおおおおお〜!!
これで作ったコレクションをファッション・ショーにしたら???
おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
これはまさに、道場破りや!!!!!
もともとファッションショー自体は、服を売るためのコマーシャルのイベントです。
だが、私はそれをアート・パフォーマンスの一つとして、表現の方法として利用しようと決めてた。(連載20)
しかも、今回は、着用物自体が、パッとみたら、ふつうの服であります。
しかし、よーくみると、うっすら、シミがついとる!
今まで、シミでファッション・ショーした人が
おりましたか?
おりません。
私が歴史上、初めてです!!
そして多分、最後。ププ〜〜!!!
わ〜!!す、すごい、どんどん、広がる!!エキサイトするっーーー!!
以前に、悩んでいた事柄、自分の作品をファッションとアートの間に位置するというのを説明するのが、面倒クサイとか、言語化が云々とか、
しかし、今となったら、いろいろ考えてた、あれはなんだったんだろう?
自分の中のマグマが突然噴火して、頭から爆発して、ドロドロと吹き出して流れ出し、そんな疑問のすべてを流し去った〜〜〜!!!
もーーーーー!!これしかない。
そう思うと、もう、いてもたってもられなくなった。
そう決まったら、話は早い。ともかく白シャツを!!
もっとシャツを!!もっと汚れの首輪を!!
そして、スリフトストアだけでは、物足りなくなって、店番をしていた、古着屋のコネでのおろし問屋にも、いれてもらって、、、、、、。
これは古着屋さんが仕入れをする、いろいろなところから古着が集まってくる場所です。
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こんな風に束にして積んであって、ほどいてもらって、その中から古着のバイヤーは自分に必要な服を選びます。
ただ、すでに分類してあって、白シャツだけが、むちゃくちゃデカいコンテナに、ゴミのように、ほおりこんである時もあって。つまり中にはいると、もう白シャツの蟻地獄。苦笑
その中にまで、入る人なんていないのですが、私は、白シャツだったら、なんでも言い訳ではない私は、蟻地獄の中にはいり、一点ずつ確認するという作業。
そのために自分ではしごを持っていった。
古着を買い付けるのに、ハシゴを持って行く人は、いません。苦笑
そうやって、買ってるうちに、、、、、、もう、気がついたら走りだしていて、それはどんどん進んでいった。シャツは、あっと言う間に
すでに500枚以上になった。。。
もう、後戻りはできない、まだ、始まってないのに、もう終わったような状態にになった。。。。
そして、この時は、まさかこのプロジェクトが、、、、、、
これから20年も続くなんて、考えてもいなかった。。。。
次回に続く。
L*