#SF
人新世を知るSF傑作選『シリコンバレーのドローン海賊』感想
人新世、人類の活動が地球環境に顕著な影響を及ぼす時代のこと―
人新世という言葉はこの本で初めて見聞きしましたが、その概念はうっすらと感じていたテーマだったので、取っつきやすくて良かったです
このテーマとして上がりそうな内容というと、まずは環境の保護活動などを想像していましたが、地球環境の変化から発生する災害が深刻化している話だったり、経済格差の問題を扱う話もあったりして、なにより“その中で人はど
『血を分けた子ども』 オクテイヴィア・E・バトラー 感想
序文
noteとは別媒体の読書アカウントで、おすすめを受けて読んでみた初読みの作家さんの作品です
とても好ましく感じる話揃いの短編集でした
ジャンルとしてはややSF、という加減のSFで、その濃度はそれほど高くありませんが、書かれている内容はかなり濃厚で骨太です
各短編ごとの終わりにあとがきが付いていて、その作品を書くに至った逸話なども解説してくれるし、エッセイも併せて収録されている、ちょっと
『渚にて』 ネヴィル・シュート 作 佐藤龍雄 訳 感想
1960年代の、オーストラリアのメルボルンを主な舞台とした群像劇
些細な軍事的な小競り合いから始まってしまった、核保有国同士の止まらない報復行為の果てに、北半球の大半の都市も国家も高濃度の放射能に汚染された死の区域と化してしまい、またその汚染は刻一刻と南半球の地にも迫っている
メルボルンも北半球の都市と同じく、生命の生存が不可能になる、まさに“その日”までの出来事を、様々な人物の視点から克明に描い
豪速球のSF短編集『なめらかな世界と、その敵』 伴名練 感想
あまりにも面白い、すごい短編集だった
こういうSF好きだなあとか
情緒の揺さぶり方が容赦ねえなあとか
萌えこころを的確に満たしてくれるし、むしろこの作品きっかけで(何かに)覚醒する人もいるよなあとか! ムズムズバタバタしてしまう短編集でした
読んでいて興奮で動悸が上がったり、面白さが過ぎる場面で発情期のどうぶつのようにウロウロ歩き回ったりするくらい、身体に訴えかける剛力な面白さが凄い短編集でした
猫SF傑作選『猫は宇宙で丸くなる』感想
猫が登場する名作のSFと言えば、ハインラインの『夏への扉』が挙げられる事が多いですが、決してこの作品が嫌いなわけではないけど、本編の内容で猫がきちんと活躍するわけではないことと、執筆時の時代がなにぶん古いので、今の時代の飼育のモラルからタブーの役満をやらかしていることにモヤモヤしてしまう(避妊去勢手術を行わない、人の飲食物を与える、屋外への出入りを自由にする)ことがどうしてもあり、ずっと、じんわり
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