【読書】 『みなそこにて』 (2巻) 冬虫カイコ著
『みなそこにて』 (2巻) 冬虫カイコ著
あらすじ
「でも平気だよ わたし人間たべないよ」
“人喰い人魚”の古い民話が残る田舎町で、永遠の孤独を生きる人魚“千年さん”。彼女にも、かつては人間の親友がいた。この世界で2人だけは分かり合えると思っていたのに――。生ぬるい泥濘のような町で、生きづらさを抱えた人々を描く【孤独な人魚×少女たち】のミステリアス異類譚。
タイトル︙『みなそこにて』
著者︙冬虫カイコ
発売日︙2022.08.18
定価︙792円 (本体720円)
判型︙B6判
ISBN︙9784575440232
『みなそこにて』2巻。
この物語を読み進めていくうちに、ふと、難病の魚鱗癬を題材した物語のように思えてきた。専門家ではないので、詳細はわからないが、魚鱗癬は血族結婚を繰り返した場合に発症する遺伝性の難病と聞いたことがある。
本作『みなそこにて』は、閉ざされた集落が舞台。
2巻目では、集落から大学進学で東京に上京する者や家族を“外に行った、裏切り者”と揶揄されている。
さらに、閉ざされた集落内での婚姻を推奨するような表現もされいる。
つまり、集落内の婚姻が血族結婚を意味し、この物語の舞台である集落特有の病として難病の魚鱗癬を発症させやすい環境にあると示唆していると読みとれる。
1巻目では、よくある人魚の物語と思っていたが、実は難病を題材とした深い物語だった...というのは、考えすぎだろうか。