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2020年9月の記事一覧

「その詩は・・」(“心に傘を”三部作・第三章)

「その詩は・・」(“心に傘を”三部作・第三章)

破いたノートの一枚に
書きなぐった即興の詩

汚い文字で記されたその詩は
見た目は悪いが思いの込った出来上がり

君のために書いたもの・・・

贈ったこちらは忘れもしないが
もらってくれた君が
捨てずにいてくれた事に驚いた

あの詩は、僕が
本当に誰かを意識して書いた
初めての詩だった
それが今も・・・
傘はいらないと言った
君の手の中にある事に感謝

その詩が僕の大切な詩
「心に傘を」・・・・

「あの日の傘・・」(“心に傘を”三部作・第二章)

「あの日の傘・・」(“心に傘を”三部作・第二章)

心に傘をさしかけたその人は
少し大人になりました

自分で殻を突き破り
独り歩きを始めました

僕のそばから離れ
自分の道を進みます

でも僕が、
さしかけた傘の事は覚えていました

けれどもう、傘は必要ないみたい

もっと優しく大きな傘を
さしかけてくれる人を
見つけたから・・・

その時僕は、あの日の傘を
自分の心にさしかけた・・・

「心に傘を」(“心に傘を”三部作・第一章)

「心に傘を」(“心に傘を”三部作・第一章)

雨が
君の心を濡らす

落ち込んだ君に
追い打ちをかけるように

その冷たさから
身を守るため
君は縮こまり
更に殻に閉じこもろうとする

それが良くない事を知りながら
君を助け出してあげる力は無い

だから
せめて傘をさしかけてあげよう
冷たい雨が
これ以上
君の心を濡らさないように・・・

「悲しき電車」

「悲しき電車」

単線の線路は
何処までも伸びる

未だ多く残る緑を貫く

古びた電車は健気に走る
けして弱音など吐かず
ひた走る

運ぶのは人々の願いか
あるいは哀愁か
それとも憧れか

車輪は悲しみを
絞り出すかのように軋む
それに呼応し
人々は大きなため息

人々は知っていた
寂しい電車が
都会を目指す事が無い事を・・・

「虚空」

「虚空」

煙草の煙夜に漂う

闇に溶け込む君の後姿

時間のネジを巻き戻し

少し前の君の暖かさ

ポケットに大事に仕舞い込む

大きな溜息仰ぎ見る夜空

君を見送った後の虚空

踏み出す足は現実回帰

独りの世界へ逆戻り

「路面電車」

「路面電車」

電車に揺られてゆく街は
景色さえがゆったり流れ

ガタゴト車輪の噛む音が
ただ賑わいを振りまいて

乗り合う人の少なさに
絡む視線の照れ臭さ

目のやり場さえ困り果て
ただ意味もなく外眺め

電車に揺られてゆく街の
流れる時間の大人しさ

目的地まではまだまだで
得をするのか損なのか

路面電車はマイペース
己のスタイル貫いて

焦る人々たしなめて
ゆったり気分で進みます

電車に揺られてゆく街は

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