国を滅ぼそうとする人
入社初日。
オフィス。
「佐藤さん、
今日からよろしくお願いします。
ところで佐藤さんは、
LINEしてます?」
「あっ、はい。
あまり使ってませんが一応、
アプリは入ってます」
「アドレス交換してもらっていい?」
「はい…いいですよ」
「うちの課の人の、
グループLINEもあるから、
あとで招待するね」
「あっ、ありがとうございます」
(……
私は苦手だ…
でも、また断れなかった。
仕事の人と家に帰ってからまで、
何を話すの?
仕事の話なら、
仕事場ですればいいじゃない。
まだよく分からない人物が、
私のアドレスに登録された。
…ビンゴボンゴって、誰?)
LINE♪
【ビンゴボンゴこと田中で~す
よろしく~】
(こういうのが嫌…。
現実とネットを切り離せない人。
距離感がバグってる人。
まだ挨拶だけで会話もしてないのに…。
私もSNSは使ってるけど、
あまり日常的には開かない…。
なぜなら…鬱陶しいから。
不特定多数のメッセージが、
頼んでもいないのに流れてくる…。
読む側の気も知らず…。
タイムラインだのストーリーだの…。
どうでもいいことばっかり…。
あ~タイムラインをミュートにしたい。
でもたまに、見た?とか、
聞いてくる人いるんだよね…。
ウザいわ…。
ほら…もう早速…)
【あ~やる気でない
人生が嫌になる~
平気。ごめん。イタかった?】
(超ウザい。
これ同じ課の人だ…。
うわ~地雷系だわ。
完全な、かまってちゃんだし)
【誰もわかってくれない…
誰か助けて~
でも、こっちに来ちゃダメ~
みんな逃げて~】
(どっちよ!
何なのこの人、大丈夫?)
【ごめんなさい、ご飯まだなんです。
みんな…どうしてるかしら?】
(いちいち私生活を報告しない!
そして誰の心配してるの?)
【なぜ?
そうしろって…言ったのに。
神様!
もう信じられない!】
(意味わからん。
何がしたいの、この人)
【私を怒らせると、国が滅びるわよ!】
(ちょっと怖い!)
【バルス!!】
(……
……
取り敢えず、
このラピュタ女はミュート。
心のブラックリストに登録っと…)