雅なお時間 ~お花~
テラス。
シェードアンブレラの下に、
優雅な振る舞いの女性二人。
「西園寺さん」
「何です、十文字さん?」
「ご存知かしら?」
「何かしら?」
「お花を摘みに行ってきますわ、
という言い回し…ご存知かしら?」
「それはおトイレに行くことの、
言い換えかしら?」
「でもそんな方、
実際おられるのかしら?
「摘みに行った方は存じ上げませんけど、
その方を探しに屋敷の庭に行かれた方は、
知ってますわ」
「その方は大丈夫かしら?」
「どうだったかしら?」
「……」
「……」
「バラを摘みに行ってきますわ、
という言い回し…ご存知かしら?」
「それも先程と同じ、
おトイレのことかしら?」
「では、
菊を摘みに行ってきますわ…は、
ご存知かしら?」
「そのお屋敷では、
殺人事件でも起きたのかしら?」
「では、
御札を返しに参りますは、
ご存知かしら?」
「探偵が登場したにも関わらず、
犠牲者が増え続ける最悪の事態…
ということかしら?」
「それはどうかしら?」
「どうなのかしら?」
「……」
「……」
「お礼参りに行ってくる…は、
ご存知かしら?」
「その方は、元ヤンキーかしら?」
「それはどうかしら?」
「どうなのかしら?」
「……」
「……」
「では西園寺さん。
お茶にしましょう。
今日は話題のあの生を、
ご用意いたしましたわ」
「嬉しい。
生と言えば、
生カヌレ…いえ、もうそれは古いですわ。
だとすれば生ドーナッツ?
生フレンチクルーラーかしら?」
「西園寺さん、どうぞ。
生レバーです」
「カンピロバクターー!!」
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お疲れ様でした。