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砂肝とクジラベーコン

マスコミといってもそう儲かる仕事ばかりではありません。
出るものが多く、またあちこちに出張ばかりなので
母は幼い私とまだ生まれたばかりの弟を抱えて
毎日が大変だったようです。

夕方になると母は私と弟を自転車に乗せて
駅前のマーケットに買い物に行きました。
私はまだショッピングというものに全く興味がなかったので
母が買い物をしている間
たい焼きを作る機械をじっと見ながら待っていました。

夜ご飯にはよく砂肝が出ました。
あとはキンカンと呼ばれる鶏の部分。

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今だから言いますが私はあまりその2つが好きではありませんでした。
でも、母なりに節約していたのでしょう。
鶏のモモなどの部分より砂肝やキンカンは
今でいうモツなのできっと安かったのだと思います。
母の実家は1番上のお姉様(母とは8歳離れています)が
祖父母の面倒を見ながら自分で起業をして家を守っていました。
ですから母は決して実家の世話にはなりたくなかったようです。

ただ、駅前マーケットの中で私の好きなお店がありました。
父の好物の鱈の干物が売っているお店です。
そこにある鯨のベーコンが私は大好きでした。

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それは当時から高級食材でした。
家計のやりくりで大変なハズなのに
母はいつも「お姉ちゃん、クジラベーコン買おうね?」
と言ってくれました。

私の娘は父親(主人)に似てお酒が強く
モツ系の食べ物も大好きでいわゆる飲んべえさんなのですが
ある日2人で横浜の野毛にある娘の行きつけのお店に行った時
「私、砂肝頼んでいい?」と聞くので
「いいけど、食べたことあるの?」
何故なら我が家では一度も出したことがなかったからです。
「うん、大好きだよ😍」と言われ、ふと母のことを思い出しました。

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それまで節約のために砂肝やキンカンを出していたなんて
気が付かなかった…自分が大人になって物の価値が分かるようになり
やっと当時の母の苦労がわかりました。

実は父は好き嫌いの多い人で
鶏肉全般が嫌い、青魚が嫌い等…。
母は「お父さんがいると鶏が食べられないでしょう?」と言っていました。
でも鶏の唐揚げも大好物(太るものばっかりww)だったので
時々作ってくれました。
母の唐揚げは世界一美味しかったです。

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砂肝と鯨のベーコン、そして鶏の唐揚げ。

私の子どもの頃の思い出の食べ物です。
今はあまり食べないですが(歳のせいであまり食べられない😂)。

時々ふと
「お姉ちゃん、車出してケンタッキーに連れてってくれる?
今日お父さんご飯要らないんだって。
○○(娘の名前)ちゃんもいたら一緒に❣️」
と母から電話がかかってきたのを思い出します。

唐揚げは娘も大好きなので
今度帰省した時には久しぶりにたくさん揚げてみようかな?
ついでに初めて砂肝料理に挑戦してみようかしら?
母が私にしてくれたように!!!

来月は母の命日です。

今日も読んでいただきありがとうございました。


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