マル秘のダイアリー
徐々に肌寒くなってくるこの季節が、正直あまり好きではない。
なんだか息苦しく感じるから、というより、本当は一年中ずっと息苦しいのだが、春から夏の間はその息苦しさを自分でも気付かないぐらいに誤魔化してしまえるほど感受性が鈍磨しているだけで、空気の冷たさが増していくと共に感覚はその無慈悲な鋭敏さを取り戻していく。
最近本当に労働がしんどくて、脳内でずっとアニメ『寄生獣 セイの格率』の挿入曲「NEXT TO YOU」が流れてる。
10年前頃にこのアニメを観た時からずっと、メランコリックな気分になると頭の中で自動的にこの曲が流れ出す(ちなみにいつもであればこの『寄生獣 セイの格率』の『セイ』というワードにフォーカスしてレイザーラモンHGを絡めた小ネタを挟むところだが、生憎そんなコンディションではないので今回は差し控えさせていただく)。
この曲は本当にストレスフリーに耳に馴染んでくれるというか、今自分はどんなメロディーが欲しいかという要求に寸分違わぬ精緻さで応えてくれるような安心感がある。
Ken Araiさんという方が作曲されており、なんかこの名前見たことあるなと思ったら筆者が夏クール観ていたドラマ『マル秘の密子さん』のサウンドトラックを担当されていた。
もうドラマ放送終了して1ヶ月ぐらい経つけど実は未だにロス状態から脱けてない。そのことも最近の心細さに拍車かけてんのよ。福原遥ちゃんの演技は勿論のこと、桜井日奈子ちゃんのコメディエンヌっぷりも素晴らしかったしサザエさん方式で毎週放送して欲しい。まあサスペンスみたいな話だからジャンル的に無理だけど。個人的な総括としては九条遥人というキャラが途中からハリー・ポッターのスネイプみたいなポジションになってる!と思ってなんか妙に入れ込んじゃって、わりと没入出来ましたね。
あと今ABEMAで配信されてるドラマの『透明なわたしたち』も滅茶苦茶面白い。こちらも福原遥ちゃん主演なのだが(そもそも筆者は基本的に福原遥ちゃんが出てるドラマしか観ません)、『マル秘の密子さん』とは打って変わってかなり暗鬱でシリアスな雰囲気の物語だ。
現在5話まで配信されていてあと1話で終了なのだが、かつての同級生が無差別刺傷事件を起こした犯人、という筋書きで全体的に結構重い。観終わった後に心を掻き乱されるけどそれだけ物語の質量、というか密度があるということで、ドラマではなく映画を観ているような気分になる。今ちょうど『令和元年のテロリズム』という本を読んでいるので、最終回が終わったらそれと絡めて詳しく感想を書きたいと思う。
なので今回はちょっと簡潔な感想だけ記すけど(書きたがり人間)、このドラマの主人公が今のところ全く好きになれない。福原遥ちゃんのことは大好きだけど、今回遥ちゃんが演じてる中川碧というキャラクターが全く好きになれない。なんでそんなことすんねん!ってツッコみたくなるような、こちら側に違和感を感じさせる行動ばかりする。
『マル秘の密子さん』で密子さんはダークヒロインということになっていたが、ある意味こっちのキャラクターの方がダークなんじゃないかとも思う。悪い意味で。なんというか視野が狭く、自分が正義だと信じていることのその表裏一体としての悪で周囲を傷つけまくっているみたいな。
多分この作品のテーマのひとつとして視野狭窄、想像力の欠如みたいなものがあって、それを伝えるためには必然的に主人公をああいうキャラクターとして描かざるを得なかったんだろう。
福原遥ちゃんに対する正の感情と、作中の中川碧というキャラクターに対する負の感情の乖離がありすぎて苦しいんだけど、この乖離の中にこのドラマが伝えたい根幹的なメッセージがある気がする。遥ちゃんもインタビューで「今回のキャラクターにはあまり共感出来なくて演じるの難しかった」って言ってたらしいし。それを知って少し安心した。
にしても5話の濡れ場はフィクションとはいえ遥ちゃんのファンとしては結構キツかった。そのシーンだけ巻き戻して2回観ちゃったけど(キツいのはお前だよ)。
筆者は福原遥ちゃんと生で会ったこともないし話したこともないので、勿論わかったような気になって語るのは笑止千万と言われても仕方ないのだが、でもやっぱり遥ちゃんには画面越しでも精神が疲弊しきった人間を癒やせるだけのパワーがあると思う。とにかく邪気を感じないんですよね。これに尽きる。
社会を見渡すと、全身に邪気を纏った人間ばかりで本当に辟易する。職場でも空気中に常に邪気と怨念が渦巻いているような気がして落ち着かない。
職場の人間を病ませる理由ナンバーワンとして名が挙がるのは人間関係の不和だが、これが本当に酷い。
人間関係不和の発生に至るまでの過程はものすごくバラエティに富んでいて、多分一本の広葉樹が持つ葉脈の数ぐらいルートが存在する。
一番シンプルなのは、最初からわかりやすくパワハラをしてくる嫌な上司などが居る場合。それが社内で悪い噂の絶えない厄介者であったとしたら、敵は一人ということになり、味方と結託して何とかやり過ごすことが出来るので対策を打つのは簡単だ。
難儀なのは、最初は一見全員いい人に思えた場合。はじめの方は平穏な日々がただ過ぎていくだけに思える。しかしある日たまたま何らかの理由で欠員が出て、その人の陰口を誰かが言い始める。すると陰口は自然と敷衍していき、その人に対する負のイメージがその組織内にうっすら定着する。最初はあんなに優しかったはずの人間が、どことなく棘のある言葉を吐くようになっていく。当の裏で陰口を言われていた本人は、繊細な感性の持ち主であった場合に(しかし残念なことに最初は一見全員いい人に思える、ということは大体の場合そこに鈍感な感受性の持ち主は存在していないということの証左だ)その空気をなんとなく感じ取り、疑心暗鬼に満ちた空間が形成される。そしてそうした空間では、人間はその醜く黒い裏面を続々と露呈させていく……。
ああ、ここは陰口を言って良い場所なんだな、でもこれは陰口じゃなくて自身の精神衛生を守るための愚痴だから、それだったら言っていいよね、という暗黙の了解が交わされる。
そんな光景を見ると、いや『人間オセロ』やってんのか!とツッコみたくなる。白優勢でゲームを開始したはずなのに、気付いたら盤面が真っ黒になっている。もう真っ黒い盤面と対峙するのは疲れた。それがここ最近、労働がしんどい理由だ。
この真っ黒な盤面を白く染められる手段があるとしたら、それは福原遥ちゃんの『粉雪』を聴くことしかないんです(『粉雪』の歌詞とシンクロさせたの我ながら上手すぎて椅子から転げ落ちた。私はこの特上のエクスタシーを味わうために文章を書いています)。
もう大号泣ですわ。聴く羊水やんこんなん。
当アカウントは福原遥ちゃんが金の盾を貰えるように全力で応援してるので、ここまで読んでいただいた方はチャンネル登録をしていただけると非常にありがたいですね。
今年の4月にリニューアルして非公開になっちゃった動画もたくさんあるんだけど、このYouTubeチャンネルの何が良いってほぼ毎回動画の冒頭で遥ちゃんが「皆さんこんにちは~」って軽くお辞儀してくれるのが良い。それが個人的にめっちゃ好っきゃねん。これだけで全身全霊を賭けて応援する理由になり得んねん。遥ちゃんがペコッてしてくれる度にこっちも画面の前で正座して毎回ゆっくり深く頭下げてる。もう遥ちゃんのYouTube視聴するときの心持ち茶道なのよ。結論出たね、福原遥ちゃんのYouTubeチャンネルは茶道(※違います)。
でも筆者の浅学な知識によれば茶道ってもともと清いものを改めて清めるという趣旨があるらしいからあながち間違ってない気もするんだよな。明日からまた労働によって精神を濁され、『粉雪』聴いて精神清めて、の無限サイクルが始まるのだ。一回濁ってしまったらそれはもう茶道ではなくただの浄化な気もするが。
ああやだやだ。とにかく労働したくない。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
もしこのnoteを読んでいる方で就職活動中の方がいたら新卒入社する会社は真剣に見極めた方がいい、とアドバイスしたい。鋼鉄のメンタルを持っている人は大丈夫だが、そうでないと会社の様態によっては蟻地獄のように一回入ってしまったらなかなか脱出できないという事態が発生しかねない。特にHSP気質の方は。自分がそうだからわかる。
筆者は就職活動が難航している最中に『エロマンガ先生』という深夜アニメを観ており(真面目に就活しろ)、そのオープニングテーマである『ヒトリゴト』の「♪ヒトリゴトだよ 恥ずかしいこと聞かないでよね ヒトリゴトだよ でもその先は言わないけどね」というサビを「♪無内定だよ 恥ずかしいこと聞かないでよね 無内定だよ でもこの先はわからないけどね」という歌詞に替え歌してずっと脳内で再生していた。真面目に就活しろよ。
今思い起こせば当然の帰結というか因果応報でしかない。真面目に就活しなかったツケが回ってきているのだ。企業説明会とかで「弊社が求めているのは自主性、主体性を持った人間で~」とか言われると「よっしゃ、じゃあ遺憾なく自主性と主体性を発揮してやんよ!」と息巻いて説明会と説明会の合間の昼飯時にめちゃくちゃ美味いナポリタンを探す旅を自主的そして主体的に開始させ、その結果のちに控えていた説明会に遅刻するという、ここまで来るともうただの救いようのない馬鹿である。
当時は企業面接で新宿に行くこともよくあったのだが、その帰り道に見かけたバ○ラトラックから「バー○ラ☆バ○ラ☆バ○ラ求人♪ 就活☆失敗☆低収入~!!」という幻聴も聞こえてくる始末で(どうでもいいけどApple Musicに公式でこのバ○ラの曲入ってんの未だにジワジワくる)、なんでバ○ラトラックに煽られなきゃいけないんだよと思ったのもよく覚えている。
と、いうことでまあ色々と筆者の恥ずかしい経歴みたいなものを開示してしまった回でしたが、『マル秘の密子さん』繋がりで設定した「マル秘のダイアリー」というタイトルに引っ張られすぎて開示する必要のない経歴も開示してしまったような気がする。
今回の記事で明らかになったマル秘事項をまとめてみよう。
・筆者は冬と『人間オセロ』が嫌いだということ
・筆者の正体は珍妙な文章を書くことによってエクスタシーを感じる『奇文師』だったこと
・福原遥ちゃんのYouTubeチャンネルは茶道だったこと
・自主性と主体性を発揮し、自らの足で辿り着いた店で食べるナポリタンは美味いと言うこと
・Apple Musicに公式で『バ○ラのテーマ』が入っていること
・筆者はここまで読んでくれた方々や、いつも記事にスキをしてくれたりコメントをしてくれたりする読者のみんなが心の底から大好きだということ。
荒唐無稽で支離滅裂な珍文奇文を理解(許容)するための、寛容かつ高度な読解テクニックが必要とされる『奇文師』活動に毎回付き合っていただき、本当にありがとうございます。
それじゃ以上、門外不出の機密事項ってことで。
※最後の方に死亡フラグを暗示するような言葉を書いてしまいましたが、僕は福原遥ちゃんが結婚するまでは死にません。絶対にだ。
おわり
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