【読書感想文】『はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?』
(このNOTEは3分で読めます。約2,700文字)
先日、本屋さんに訪れたとき、入店してすぐ目の前にある本棚の中に『はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?』という書籍を見つけました。
ビジネス系の書籍が並ぶ中で、宇宙関連の本書は異彩を放っていました。ネットでの評価を見てみると、評価はまだ1つしかありませんでした。私が本書を手に取った当時は、出版されて間も無く、レビュー等は確認できませんでした。
・まだレビューがほとんどない状態であること
・宇宙関連の書籍であること
・本屋さんのメインの棚に陳列されていること
この3つに刺激され、早速購入して読んでみました。
このNOTEでは、津田雄一さんの『はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。
【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
【対象とされる読者層】
・予測できないことに対してどのように計画を立てたら良いか分からない方
読了までの時間を計ったところおよそ180分でした。約380ページほどです。文章量がやや多いと感じるかもしれません。
✅1、総評
1ー1、タイトルについての違和感
率直に、タイトル『はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?』と本書の内容が合っていないような気がします。
『計画を立てようにも、そもそも不確定要素が多すぎて計画を立てることができない。しかし、プロジェクトマネジャーとして計画を立てていかなければいけない。』という葛藤をどのように考えて乗り越えていったのかと言うことが本書のメインテーマのように感じました。
はやぶさ2のプロジェクトマネジャーである津田雄一さんは本書の他にも『はやぶさ2の宇宙大航海記』や『はやぶさ2 最強ミッションの真実』といったタイトルの書籍を出版しています。
おそらく、編集者の方はそれらの書籍と色分けをするためにあえて『はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?』というタイトルをつけたと推察しますが、「無駄」を大切にすることが本書のテーマかと言われると、読み終えた後に違和感がありました。
1-2、強くオススメする1冊
タイトルに違和感を感じつつも、本書は強くオススメしたい1冊です。
宇宙開発という、分からないことの方が多い分野でどのように確実性を求め、周りを説得していったのか、どのようにプロジェクトを進めていったのかが学べます。
380ページほどで通常のビジネス本よりはページ数が多いのですが、約2,200日間の記録をまとめたという意味では、『380ページによくまとめることができたな』と驚きます。おそらく、編集の中で削られた部分も相当量あったかと思います。
宇宙関連の書籍ですが、物理などの専門知識がなくても読み進めることができますのでどなたにも読んでいただける書籍です。プロジェクトがどのように進んでいったのかが具体的に描かれており、読みながら当時の場面を想像することができました。
✅2、印象に残った内容と感想
2-1、第4章 想定外を想定する力を養う「訓練」
はやぶさ2が目的地に着く直前でエンジントラブルによって、目的地に到着できない場合を想定して津田さんがはやぶさ2の軌道を若干修正するシーンがあります。
この考え方は目から鱗でした。今までの私の仕事のやり方はまさに『成功の手順』を考えるというものでした。目標を設定し、そこからアクションをブレイクダウンさせて考える、という一般的なやり方です。
失敗が命取りにならないようにするという視点はありませんでした。本当に参考になりました。
2-2、第5章 チームの総合力を引き出した「建設的な意思決定」
目的地である小惑星の姿を初めて捉えたときのシーンです。小惑星にどのように着陸するか、どのようにミッションをこなしていくか、復路はどうするのか、たくさんの課題が残っていました。そんな中、津田さんはこの場面を目一杯祝福しようとします。
この考え方は、自分がマネジャーになったときに絶対に大切にしようと思いました。もしかしたら、プロジェクト全体としては最終的に失敗に終わってしまうかもしれませんが、場面場面でそれまでの実績を正しく評価し、成功体験を作ることで組織の経験値を積み上げていくというやり方はとても参考になります。
✅3、書籍紹介
※冒頭部分に記載した内容を再掲します。
【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
【対象とされる読者層】
・予測できないことに対してどのように計画を立てたら良いか分からない方
読了までの時間を計ったところおよそ180分でした。約380ページほどです。文章量がやや多いと感じるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。