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【読書感想文】『多様性の科学』
(このnoteは4分で読めます。約3,000文字)
前職の同期に『最近読んで面白かった本ある?』と聞いたところ、『『多様性の科学』って本が面白かったよ。』と教えてくれました。調べてみると、以前読んだ『失敗の科学』と同一の著者でした。『失敗の科学』は読んで面白かったので、『多様性の科学』に対する期待値も上がりました。
※いつまで続くかは分かりませんが、2022年7月30日現在、『失敗の科学』はkindle unlimitedに追加されているため、kindle unlimitedに加入している方は無料で読めます。絶好のタイミングだと思いますので、ぜひ『失敗の科学』も読んでみてください。
このnoteでは、マシュー・サイド氏の『多様性の科学』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。
【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
【対象とされる読者層】
・社会人全般
・女性管理職の推進等ダイバーシティに関する仕事をされている方
・自己啓発系などの本ではなく科学的根拠がある内容で仕事に活かせる本を探している方
・組織作りに悩まれている方
本書の帯には『映画のように面白い!』と書かれていました。さすがに、映画っぽくはないですが、内容は興味深く、どんどん読み進めることができる本だと思います。
✅1、総評
1-1、科学的根拠がある
ビジネス書籍の中には著者の思考が色濃く反映されている本が多いです。思考の内容自体は論理的ではありますが、『本当にそうなのかなぁ。科学的検証結果とかあったらいいな。』と思うものもあります。
『多様性の科学』では、タイトルに『科学』とあるように、掲載されている内容には論文が引用されており、根拠が示されています。その意味で、一定程度信頼性をもって読むことができる本です。
1-2、うわべだけのダイバーシティではなくその本質に迫る
多くの企業で『ダイバーシティ』という言葉が、ある種流行語的に取り上げられていると思います。しかし、『ダイバーシティって結局何なんだろう。』『ダイバーシティがないとどうしていけないのだろう。』『皆、ダイバーシティを本当に理解しているのだろうか。』と疑問に思うことが多々ありました。
社内研修で『ダイバーシティ』について取り上げられることは多いのですが、いまいちその内容は腹落ちしていませんでした。『多様性の科学』を読むことによって、『ダイバーシティが必要なのか』など『ダイバーシティ』の本質を理解することができると思います。
1-3、前作『失敗の科学』と同様に面白い
前作の『失敗の科学』も面白かったのですが、『多様性の科学』も同様に面白い読み物でした。内容自体の面白さもあると思うのですが、記憶に残るキーワードの出し方が絶妙なのだと思います。
『クローン集団』『前提逆転発想法』『アイデアのセッ○ス』『陰の理事会』など、印象的なキーワードがちりばめられていることが面白さにつながっているのでしょう。
✅2、印象に残った内容と感想
2-1、第1章 画一的集団の「死角」
本書は、CIAにおいて9.11を防ぐことができなかった原因を『多様性』という観点から分析することから始まります。
原因が『多様性』の欠如だけだったとは思いませんが、当時のCIAがいかに『多様性』を欠いていたかということが分かります。
2-2、第2章 クローン対反逆者
図を用いて『多様性』を欠いた集団がなぜ問題なのかということが説明されます。
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どれだけ優秀な個人が集まっていたとしても、思考傾向やバックグラウンドが同じクローン集団では、解くことができない問題が存在することについて言及されています。
2-3、第3章 不均衡なコミュニケーション
組織における支配型ヒエラルキーがいかに『多様性』を欠如させる結果になっているかが語られます。
フライトシミュレーターを使った実験が出てきますが、『副操縦士らは機長に意見するより、死ぬことを選んだ。』という結果については驚きでした。詳細な実験内容については、ぜひ本書を読んでみてください。
2-4、第4章 イノベーション
イノベーションを生むために『集団脳』が欠かせないということが書かれています。また、『クールなテクノロジーを発明したいなら、頭が切れるより社交的になったがいい』という記載は印象的でした。
個人のスキルを高めることももちろん重要ですが、仲間集めができる能力も同じように重要だと思える内容でした。
2-5、第5章 エコーチェンバー現象
この章のキーワードは『エコーチェンバー現象』と『フィルターバブル』です。恥ずかしながら、本書を読んで初めてこの2つの言葉を知りました。この2つの言葉を理解できただけでも、読んだ価値がありました。
『エコーチェンバー現象』とは、同じ意見の者同士でコミュニケーションを繰り返し、特定の信念が強化される現象です。『フィルターバブル』とは、インターネットにおいてはGoogleなどの検索サイトのアルゴリズム(つまり特定のフィルター)が利用者の好みに合わせて検索結果をふるいにかけることで、利用者が好む情報ばかり表示されてまるで泡(バブル)の中に閉じ込められるように、多様な意見や視点へのアクセスが制限させる現象です。
これらのことが、白人至上主義だったアメリカ人の男性を例にとり説明されます。
2-6、第6章 平均値の落とし穴
空軍の飛行機事故の内容から、平均値に頼ることの恐ろしさが説明されます。平均値が有効になる場合とそうでない場合があるということを知ることができます。
『Amazonの機械学習部門の責任者ニール・ローレンスは言う。「平均値が適切に利用されれば、複数人の視点や意見を活かせる。しかし不適切な場合は、複数の人々に平均的な答えを押し付けることにしかならない」』という記載が印象的でした。
✅3、書籍紹介
※冒頭部分に記載した内容を再掲します。
【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
【対象とされる読者層】
・社会人全般
・女性管理職の推進等ダイバーシティに関する仕事をされている方
・自己啓発系などの本ではなく科学的根拠がある内容で仕事に活かせる本を探している方
・組織作りに悩まれている方
本書の帯には『映画のように面白い!』と書かれていました。さすがに、映画っぽくはないですが、内容は興味深く、どんどん読み進めることができる本だと思います。
過去の読書感想文はマガジンでまとめております。ぜひ読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
✅おまけ。今後読む予定の本。
『存在しない女たち』
『多様性の科学』の中で引用されていた本。
『そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。』
盛岡で働く知人の紹介。
『リーダーの仮面』
盛岡で働く知人の紹介。
『本日はお日柄もよく』
盛岡で働く知人の紹介。
『Z世代マーケティング』
最近、マーケティングちっくな仕事をし出したので、勉強のために読みたい本。
皆さんもおすすめの本がありましたら、ぜひ、コメント欄で教えてください。
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