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本の虫12か月 1月
(じぶん用。去年は面倒になって、九月くらいで途絶えてしまったので、ことしはひと月ごとに区切って、写真で上げてみる。)
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面白く読んだ。
遠い先祖、保科氏や井深氏のこととか。
武田が滅んだあとの、
甲斐信濃仕分け。
北条、上杉、徳川が取り合う。
そこに喉にささった骨のような真田とか、
ちいさな国衆たち。
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すてきな女性として、
文鎮のように置いているひと、
片山廣子さん。
借りて読んだ本を、
ついに買っちゃった。
短歌にばかり惹かれていたけれど、
次はエッセイを読んでみたい。
と思ったら、
二月にエッセイ集が、
ちくま文庫から出るそうですよ!
Amazonで予約しときました!
ちくま文庫さん、ありがとう!
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お餞別としていただいた本。
わたしが刺し子の布を贈ったのを、
とても喜んでくれて、
「チャペックは、山椒魚戦争と園芸家と
イギリス紀行は読んだけど、ロボットはまだ」
と言ったのを、
覚えていてくれたのだ。
チェコの小説……と考えて、
「あ! 存在の耐えられない軽さを読んだよ!」
とかいうはなしをして、仲良くなったMさん。
帰国してしまって、さみしい。
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彼女がその死のまえに、
ほんとうに書きたかったのは
こんなことじゃなかった、と言った言葉を、
かしら石のようにして、考えている。
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そういえばむかし、プリモレーヴィの本を
読んだのであった。一瞬親戚かしら、と調べた。
レーヴィというのはレビというだけの、
ありふれたユダヤ系の名前で、
べつに親戚ではなかった。
この本は、こんなくだらないことで、
お茶を濁す本じゃないと分かっているからこそ、
こんなくだらないことしか書けない。
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同時期に読み漁っている須賀敦子さんも、
ヴェイユと言っていた。
道が交差するみたいに。
神学的に、どうこう言う気はない。
ただ、このひとも同じ真理を感じていて、
そしてこのひとはそれに、
イエスキリストという
名前を見つけていたらしいこと。
道の辿り着く先の、近さと遠さを思う。
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カトリック左派的な雰囲気がただよっていたので、なつかしいかんじがする。
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借りてきた。
アメリカ兵が、硫黄島の日本兵の頭蓋骨を
お土産に持っていった、
というところで、唖然としている。
硫黄島に核が配備されていた、
なんて知らなんだ。
あと、船だと小笠原諸島まで
一日かかるけど、
飛行機だと一時間なのねえ。
だとか、どうでもいいことを。
この著者の、
硫黄島への熱意には
頭の下がる思いである。
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少女趣味すぎて、
わたしはもうちょっと……
甘ったるすぎる。
モンゴメリのエミリー三部作に似ている。
ことばとイメージはとても美しい。
でも読んでいてときどき食傷しちゃう。
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さあ、次だ…。
さいごの大審問員のところは、
もういちど読み返さなくては。
神がかり行人について、
戦争と平和のおかげで理解できて、
うれしかった。
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彼女は戦争末期、幼児だった頃に、
赤軍からの逃避行を経験したという、
ドイツ人である。
サンテックスが空のうえから見ていた、
避難民のはなし。
いつも、根っこを心なかに、
心のなかのキリストのうちに持って、
どこにでも行けるような、
生き方が出来なくてはならない、
というふうに、
遠いことにも思えない
(それは戦争だけでなく、
災害でも起こりうるのだ)、
根こそぎにされたひとたちの話を
読みながら。
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案内人兼翻訳者にして、
イタリアの詩を読む。
なんという贅沢な小旅行。
サバ詩集を、借りてきたいなあ、
と思っていたけど、
貸し出し中だったのかな。
次はそれを読む。
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ローマカトリック教会の醜さ。
ギンズブルグ以降、
イタリアのユダヤ人や、
イタリアの近代史に興味がある。
メシアニックジュー
というひとたちがいる。
イエスをメシアとして
受け入れたユダヤ人のこと。
しかし彼らは、
このようにカトリックに
強制的に改宗させられた
中世的な存在ではない。
使徒パウロが言っている、
福音はユダヤ人に帰っていくのだと。
それは福音であって、
宗教ではない。
生きたキリストであって、
時がくれば、
彼らは自然に目の鱗がおちて、
みずからの同胞である
キリストを受け入れる、と。
われわれ異邦人への
恵みの時が、
尽きたときに。
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家事をしながら、コテンラジオを聴いている。
第一次大戦、フランス革命、日露戦争、
アメリカ開拓史などをきいて、
いまユダヤ人迫害を。
歴史の、大きな見方をする語りかた。
「学問」ではない、学びかた。