映画『正欲』は、もはや観るまでもなかったまである
2023年11月13日(月)朝の6:00になりました。
ほっといてもらえれば、勝手に生きるので。
どうも、高倉大希です。
岸善幸監督の映画『正欲』を、観に行ってきました。
原作は、朝井リョウさんの小説です。
改めてこの人は、世間の気持ちの悪さを描くのがほんとうに上手です。
世間を気持ち悪く思う人たちの気持ち悪さまでが、作品に落とし込まれています。
だから、迂闊に共感することができません。
共感している状態すら、気持ちが悪いと言われてしまうような気がするからです。
今作もそんな朝井リョウ節が、炸裂しておりました。
あまりにも朝井リョウすぎて、もはや観るまでもなかったまであります。
相変わらず気持ちの悪さに敏感で、相変わらず迂闊に共感できない作品でした。
作中では、特殊な趣向を抱える者どうしが邂逅することで安心を得ます。
ところが、そんな安心している状態すら不穏な描かれ方をします。
奇跡の出会いにつながる未来が、必ずしも明るいとは限りません。
「〇〇が好きだ」と言える時点で、似ている人を探すことができるじゃないか。
これが、映画を観終わったときの率直な感想でした。
マイノリティである所以が明確なら、難しくとも探しようはあります。
問題は、マイノリティである所以に明確な名前をつけられないときです。
本作のように、仲間と出会うという奇跡すらほど遠くなってしまいます。
奇跡の出会いに期待しながら生きていくことほど、辛いことはありません。
映画を観ながら連想したのは、押見修造先生の『惡の華』でした。
この作品でも特殊な趣向を抱えた人が、世間を相手に苦しみます。
苦しみ抜いた末に、その人物は穏やかに生きている姿を見せてくれます。
『正欲』のように、運よく仲間に出会えることを期待してはなりません。
二度とくるなよ、ふつうにんげん。
孤独は、前提です。
この記事が参加している募集
サポートしたあなたには幸せが訪れます。