糸賀寛

安部公房研究。映画・アニメの感想や自分の研究について書きます。よかったらスキとフォローをお願いします。 #映画 #アニメ #文学

糸賀寛

安部公房研究。映画・アニメの感想や自分の研究について書きます。よかったらスキとフォローをお願いします。 #映画 #アニメ #文学

マガジン

  • 2024年アニメ映画評

    自前の2024年アニメ映画感想文。

  • 批評まとめ

    色んな作品の自作批評集

最近の記事

  • 固定された記事

実写版「リトル・マーメイド」批評――溶け合う世界の物語――

拾うこと 「リトル・マーメイド」では、拾うことに意味が与えられている。アリエルの趣味は人間の落とし物を拾い集めることで、拾う行為は彼女の性格を端的に示す。彼女とエリックの邂逅も広く見れば拾う行為で、彼女が海に落ちたエリックを助ける=拾い上げることで二人は運命の出会いを果たす。トリトンが復活する契機は、アリエルがトライデントを拾い上げることだし、アリエルはマックスに代わって、エリックの投げた棒を拾う行為はアリエルとエリックが結ばれる前振りとして機能する。再会の時に彼女が着るのは

    • 2024年アニメ映画20・「トラペジウム」

       元乃木坂46・高山一実の同名小説の映画化。原作は読んでないので、改変箇所はよく分からないが、映画単品でみると普通の出来だった。6点。  アイドルを目指すのものの、オーディションに通らない東ゆうは美少女をかき集め、グループ・デビューを画策する。話題性のため西南北に由来のある美少女、大河くるみ・華鳥蘭子・亀井美嘉の三人と仲良くなり、メディアから注目を集めようとする。策謀は功を奏し、東西南北としてデビューを果たす。しかし、人気が長じるにつれ、他の三人と東との間に温度差ができ、遂に

      • 2024年アニメ映画評19・「ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP」

         「ブルーロック」に引き続いての総集編。元々はYouTube動画で、こちらを観ようと思ったら配信が終わっていたし、次の「新時代の扉」に繋がるようなことを言っていたから劇場で観ることに。  スコアは7点。ウマ娘アニメでは三番目によかった。なお、一番いいのはテレビシリーズの二期で、トウカイテイオーの有馬記念復活を、古馬路線のライバルと言われたメジロマックイーンの怪我と結びつけた点が巧みだった。二番目は「新時代の扉」だが、これは別の記事で。  本作は覇王・テイエムオペラオーの同期、

        • 2024年アニメ映画評18・「ブルーロック――EPISODE 凪――」

           5月最初の映画はサッカー・デスゲームアニメの総集編。あまり総集編は観ないことにしているんだけど(キリがないし、面倒だから)、この作品は凪の過去が描かれまっせ、みたいなタレコミだったので観てみた。6点。凪の過去描写、薄くないっすか?  絶賛テレビアニメ放映中の本作は、ブルーロックという変な名前のサッカー訓練施設に閉じ込められた主人公ら男子高校生が、最強のストライカーを目指して切磋琢磨するマガジン漫画。  冒頭でも述べたが、サッカー版デスゲームという中々新しい領野を切り開いた作

        • 固定された記事

        実写版「リトル・マーメイド」批評――溶け合う世界の物語――

        マガジン

        • 2024年アニメ映画評
          20本
        • 批評まとめ
          3本

        記事

          2024年アニメ映画評17・「リンダはチキンがたべたい!」

           4月ラストはフランスのコメディ。監督はキアラ・マルタとセバスチャン・ローデンバックの二人で、後者は「大人のためのグリム童話」をかつて作っていた。正直、「大人ための~」の方が本作より良かった。スコアは7点くらいか。  主人公は八歳の少女・リンダで、彼女の父親は幼き日に亡くなっており、現在は母・ポレットと二人暮らし。父との最大の思い出は彼が作ってくれたパプリカ・チキンだが、食べたのが一歳頃だったため記憶は薄れている。ある日、結婚指輪をなくしたと母に勘違いされてしまい、誤解の償い

          2024年アニメ映画評17・「リンダはチキンがたべたい!」

          2024年アニメ映画評16・「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」

           毎年恒例となったちびっこ探偵映画の新作。今回の舞台は北海道函館で、前作と違い、実在する場所が舞台だ。「コナン」映画で函館が舞台になったのは二回目で、一度目は「銀翼の奇術師」だが、舞台と言っても飛行機事故で函館に不時着しただけでなので函館の景観はほぼ出てこない。そういう過去があるからリベンジ(何の?)のために本作を作ったのかも。  剣道大会に参加する服部平次と、その応援のコナン・蘭・和葉・小五郎が函館を訪れる一方、同所の斧江財閥宛てに日本刀を奪うという予告状がキッドから届く。

          2024年アニメ映画評16・「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」

          雑記18・コナンの決めゼリフについて

           アニメ「名探偵コナン」のキャッチフレーズに「見た目は子供、頭脳は大人、その名は名探偵コナン」というのがあるが、テレビシリーズの初期では使われていなかった。いつから使われ始めたのかというと、第1期31話「テレビ局殺人事件」からである。それ以前の1〜30話で使われていたのは「小さくなっても頭脳は同じ、迷宮なしの名探偵」「真実はいつも一つ」で、どちらのセリフもアニメ冒頭に登場する。テレビアニメの「コナン」は本篇が始まる前に、作品の内容がダイジェストされるか、前話の内容がお浚いされ

          雑記18・コナンの決めゼリフについて

          2024年アニメ映画評15・「ソウルフルワールド」

           「私ときどきレッサーパンダ」「あの夏のルカ」同様、コロナ禍で上映中止となったピクサー映画。本来なら2020年に公開されるはずだった。本作でピクサーの特別上映三作品コンプリートである。振り返って見ると、ピクサーは現代のディズニー作品に比べて安定感があり、着想も中々独創的だった。ただ、どうにも爆発力がなく、あまり感動しなかった。その点では、当たり外れが大きいものの、ディズニーの方が当たりの時の感銘が大きい。スコアは6点くらい。特別上映三作の中では本作が一番微妙。  冒頭、ジャズ

          2024年アニメ映画評15・「ソウルフルワールド」

          2024年アニメ映画評14・「あの夏のルカ」

           最初に見た四月の映画は、2021年公開予定だったが、コロナのためされなかったピクサー作品。「私ときどきレッサーパンダ」同様、本年に日本の劇場で上映された。何だか長井龍雪みたいなタイトルで、本作も略すなら「あの夏」だろうから、微妙に「あの夏で待ってる」を意識しているかもしれないし、そうでないかもしれない。  7点くらいの出来。率直に言って「レッサーパンダ」の方が良かったと思うが、何だかこっちの方が涙腺に来た。もう年かね。テーマは未知との邂逅および異種族の和解というありふれたも

          2024年アニメ映画評14・「あの夏のルカ」

          2024年アニメ映画評13・「映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ」

           3月最後は子供向け推理アニメの映画化。二幕物で、前半は「なんでも解決倶楽部VSかいとうU」というショートムービーである。テレビアニメはシーズン8までNHKで放送され、中々の長寿アニメだ。本作は「東映まんがまつり」の短編三本を含むと、五作目の映画にあたり、長編としては二作目。2025年にも新作長編をやるらしく、人気なんだなあと思う。まあ、小学校低学年くらいまではケツとかオナラがすごい好きだしね。ミステリーとは言っても対象年齢が低いので、半分パズルみたいなものである。悪辣で惨た

          2024年アニメ映画評13・「映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ」

          2024年アニメ映画評12・「私ときどきレッサーパンダ」

           コロナのため劇場公開されなかったピクサー作品。厳密には新作ではないが、劇場初公開ということで感想文を書くことにする。コロナで流れた他の二作品も今年劇場公開された。本作の予告は微妙だったが、観てみたら意外と面白かった。7点くらい。  ピクサーなのでCGのクオリティは言うまでもないが、特にレッサーパンダの毛並みが本物みたいにフワフワでよかった。人間は少しフィギュアっぽいが、ピクサーやディズニーのCGはそういう芸風なのであまり気にならない。伝承を語るシーンは凝った絵だったが、手描

          2024年アニメ映画評12・「私ときどきレッサーパンダ」

          2024年アニメ映画評11・「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章」

           浅野にいお原作のアニメ映画化。前後二篇構成で前篇は3月公開で、後篇は4月に上映予定だったが、5月に延びた。前章を観た段階では原作未読、正確には部分的にしか読んだことがなかった。アニメのスコアは7点くらいかなあ、といった感じ。  絵はかなりキレイで、特にCGの宇宙船は見応えがある。パッと見、手描きにしか見えないのでは? Production I.Gってすごい。あと、これは前篇を観終わってから原作を読んで気づいたけれど、アニメのショットは漫画のコマを再現したものがかなり多かった

          2024年アニメ映画評11・「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章」

          2024年アニメ映画評10・「FLY!/フライ!」

           イルミネーションの新作。この会社は夏に「怪盗グルー」シリーズを公開予定で、稼働しているなあ、という印象。有名作と言えば、「怪盗グルー」「ミニオン」の他に「ペット」「SING」があるが、この二作は日本だとそれほど跳ねていない気がする。「スーパーマリオ」は大ヒットだったがね。  通俗に振り切った滑稽作品を作るスタジオで、作品は全般に楽しい。これと比べると、同じ3DCGスタジオのディズニーやピクサーは、何らか重みを作品へ加えていて、ある程度の文学性を感じる。どっちがいいというので

          2024年アニメ映画評10・「FLY!/フライ!」

          2024アニメ映画評9・「映画しまじろう ミラクルじまのなないろカーネーション」

           ベネッセのイメージ・キャラクターのアニメ映画。同じ看板キャラのコラショとは待遇が雲泥で、TVアニメ化されている分、この虎はかなり優遇されている。コラショにも一応アニメ映画があるが、一作だけだし、知名度では、しまじろうの足元にも及ばない。ランドセルの擬人化がダメなのかなあ。あるいは対象年齢がミソなのか?   スコアは5点くらいだが、これは大人が見るとしんどいというだけで、幼児が見るなら7点はあるのでは? ただ、同じ幼児向けだと「アンパンマン」が格段に面白いので、そっちでいいと

          2024アニメ映画評9・「映画しまじろう ミラクルじまのなないろカーネーション」

          2024アニメ映画評8・「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」

           3月最初の映画は老舗アニメの劇場版で、恒例作の一つ。現在、毎年上映されるアニメ映画は、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」「プリキュア」「アンパンマン」くらいで、「きかんしゃトーマス」や「パウパトロール」も最近は毎年やっている気がするけれど、観てないから少し自信がない。それはともかく「ドラえもん」映画は近年不調で、そんなに面白くない。子供の評価は分からないが、大人が見るに堪えないものになりつつある。今回も微妙でスコアは5点。つまらない寄りの普通。前作があまり

          2024アニメ映画評8・「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」

          2024アニメ映画評7・「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」

           ゼロ年代に人気を博した「機動戦士ガンダムSEED」・「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の続篇。完結から20年ぶりの新作で、映画化までこんなに間が空いたアニメは他にないんじゃないか? スコアは7点くらい。「ハイキュー」と同じく予習必須で、一見さんお断りとなっている。「SEED」は設定や話の流れがファーストガンダムによく似ているが、「DESTINY」がゼータに似てるかは知らない。  映画はTV版と比べてやたら絵がキレイなものの、ショット毎にキャラの顔が別人みたいになる

          2024アニメ映画評7・「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」