2024年アニメ映画評18・「ブルーロック――EPISODE 凪――」
5月最初の映画はサッカー・デスゲームアニメの総集編。あまり総集編は観ないことにしているんだけど(キリがないし、面倒だから)、この作品は凪の過去が描かれまっせ、みたいなタレコミだったので観てみた。6点。凪の過去描写、薄くないっすか?
絶賛テレビアニメ放映中の本作は、ブルーロックという変な名前のサッカー訓練施設に閉じ込められた主人公ら男子高校生が、最強のストライカーを目指して切磋琢磨するマガジン漫画。
冒頭でも述べたが、サッカー版デスゲームという中々新しい領野を切り開いた作品。スポーツ+デスゲームというのは、「MAJOR」の海堂学園高校なり、「テニスの王子様」の青春学園なりに見られるようなレギュラー争奪戦に、即クビ要素を追加した範型と言える。そもそもスポーツはチームプレイながら個人間の絶え間ない競争を是とするから、他人を蹴落としつつも協力が求められるデスゲームと好相性。本作の新しさは、他作品がレギュラー争いでちょっとしか出さないチーム内抗争を物語の中心に持って来た点だろう。とはいえ、今後、世界で戦う云々となってくると間違いなくデスゲーム要素は薄まるが、その場合、先行するスポーツ作品とどう差別化するのか気になるところ。
本作は、ずっと試合をしているから飽きが来にくく、ジャンプの打ち切り回避テクをしっかり学んでいるのが分かる。練習シーンを減らした分、試合中に変化を描いている(絵心はやたらと実践主義である)ので、試合中にも拘らずキャラクターは異様に喋ったり、考察したりしてる。まあ、スポーツ物はそういうの多いけどね。潔とか、ダラダラ考えてる内にボール取られるだろ、とか思っちゃう。
「ブルーロック」は「アイシールド21」から影響を受けているんじゃないか、と思われる節がちょくちょくあって、チョロ松こと絵心甚八が目指すチームが、全員ストライカーの攻撃特化型なのは、泥門デビルバッツのコンセプトに非常に近い。10点取られたら11点取ればいいという絵心の台詞も、ヒルマの99点取られたら100点取るという台詞と重なる。まあただ、この台詞はスポーツでよく言われるものかもしれないが……。キャラクターに一芸職人が多いのも共通し、ブルーロックと泥門デビルバッツは、ある場面で輝ける選手の集合体で万能選手はほぼいない。
さて、映画の感想に入るが、相変わらず凪は超人じみてて面白く、トラップ・シーンは見返すと、かなりカッコいい。あと声優がドンピシャ。とはいえ、トラップ・テクは天稟で説明できるにしても、運動不足のゲーマーが半年そこらで、超高校生級と肩を並べる持久力を得られるとは思えない。それに、まともな健康管理をしてないのに、玲王に誘われる前からマッチョなのはなんでなんだ? シーンはおおよそテレビ版の踏襲だったと思う。VvsZは新規な気がしたなあ、結構よかった。
あと、凪の公式彼氏は玲王なのだが、映画の追加シーンで押しかけ嫁かと思うくらい凪に尽くしていたことがよく分かった。てか、普通に重くない? この男(内田雄馬)。