2024アニメ映画評9・「映画しまじろう ミラクルじまのなないろカーネーション」
ベネッセのイメージ・キャラクターのアニメ映画。同じ看板キャラのコラショとは待遇が雲泥で、TVアニメ化されている分、この虎はかなり優遇されている。コラショにも一応アニメ映画があるが、一作だけだし、知名度では、しまじろうの足元にも及ばない。ランドセルの擬人化がダメなのかなあ。あるいは対象年齢がミソなのか?
スコアは5点くらいだが、これは大人が見るとしんどいというだけで、幼児が見るなら7点はあるのでは? ただ、同じ幼児向けだと「アンパンマン」が格段に面白いので、そっちでいいと思ってしまうが。
久々のしまじろう映画だったから、上映中に中休みがあるのをすっかり忘れており、10分休憩が始まって驚いてしまった。そうなんですよ。しまじろう映画には休憩があるんです。「七人の侍」みたいだ。
風の噂でラムリンが解雇されたと聞いていたが、事実、代わりにネコのニャッキが加入していた。このキャラは相当影が薄く、どういう性格だったかまるで思い出せない。一方、激烈な印象を残したのが発明家ライオン・ガオガオさんである。明らかにワクワクさんのパクりで、これってNHKだっけ、と二度見してしまった。この人は秘密道具を作る存在で、ドラえもん同様バランスブレイカーだから早々にしまじろうと別行動をとっていた。
ゲストキャラ・プリンの声を、ずっと聞いたことあるなあ、水瀬いのりかなあ、と思ってたら花澤香菜で、自分の記憶力にショックを受けた。この二人ってそんなに似てないのに。
作品は全編CGだったが、それなりにキレイで時代の進歩を感じる。見やすさを重視したカット割といった様子で、正直ハッとさせられるショットはなかった。
しまじろう一行が母の日のプレゼントを求めて、鏡の中にある魔法の国を冒険するのが大枠。ミラー含めゲストの服はかなり装飾的だが、しまじろう達はやたらと地味である。特にみみりんはヒドイもので、もうちょっとオシャレにならなかったのか、と憐れんでしまった。
プロットはシンプルで、ラスボスの正体は大人ならすぐ気付くレベルだから驚きはない。が、子供を飽きさせないよう突然ダンスやクイズが始まるなど、色々ぶっ飛んでいて意外と楽しい。ありがとうって言い続けると花の色が変わるという、少しスピった答えのクイズがあって、そこは、へえ? と首を傾げたが、思い返したら作中で伏線は張ってあった。
さっきも述べたが、ワクワクさんガオガオさんは何でもありの万能キャラなので、あれこれと理由をつけて冒険には殆ど同行せず、鏡の国へ行くための起点役とラストのお助け役に終始する脚本になってていた。このやり方は割とうまく、というのも発明家キャラがいると、あの道具で全部終わるやん、となってドラマが発生しないのだ。五条悟やワンパンマンには制限が必要なのである。ガオガオさんのリミッターはポンコツさだが、そのせいで、悲しい中年になっているのは否めない。
ドラえもんも同人をややポンコツにすることで、似た問題を回避していることが多い。特に映画では、ポケットを修理中にしたり、道具が全然整理できてないからどこに何があるか分からないとしたりすることで、道具の選択が制限されている。それでも、映画中に出した道具を忘れるのはどうかと思うが。今年は、万能願望機「あらかじめ日記」に限定条件がなかったので変な風になっていた。