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メンタル不調は深刻な現代病

今回は、アンデシュ・ハンセン氏の著書、「運動脳」という
本の内容を紹介します。
著者のアンデシュ・ハンセンさんは、2021年に一番売れた本である
「スマホ脳」の著者であり、世界最高峰の研究機関である
カロリンスカ研究所で医学研究の最前線で研究を重ね、これまで
2,000件以上の医学記事を発表した世界的な研究者です。

そんな著者が、カロリンスカ研究所の最新知見を
実践的にアップデートして、その情報を余すことなく詰め込んだのが
今回紹介する一冊、「運動脳」です。

生物学的には、私たちの脳と体は今もサバンナにいる狩猟採取民の時と
殆ど変わっていないので、現代人が悩まされていることの解決策は、
12,000年前の人を参考にすれば良いそうです。

今回の内容を通して、現代に生きる私たちが健やかに生活する
ヒントを学びましょう。





脳と体は今でも原始人と同じ

まずは本書の大前提となる重要なことを知っていただくために、
皆さんには12,000年前の原始時代にタイムスリップして
いただきたいと思います。

原始時代に行くと、獣の皮を着た人間たちがいますが、獲物を追いかけて
走り回っている人たちを目の当たりにして、皆さんは最初に
何を感じるでしょうか?



おそらく多くの人が、彼らと自分たちは全くの別物だと考えているのでは
ないかと思いますが、実は私たち現代人は見た目に多少の違いが
あるだけで、中身はほぼ原始人と変わっていません。

生物学的には、私たちの脳と体は今もサバンナにいる狩猟採取民ですから、
体の機能は原始時代と同じで、認知機能や感情もそっくり同じものが
備わっていて、私たち人類は12,000年前から殆ど変わっていないと
いうことが判明しています。

ここがポイントで、現代の私たちは原始人から変わっていないと
理解することが、これからのカギとなります。



これを踏まえて、今の私たちの生活を見てみましょう。
私たちの生活習慣は、ここ100年だけを見ても大きく変化していて、
ましてや12,000年前と比べれば信じられないほどの変わりようですから、
原始人が現代に来たら世界が変わってしまったと感じるでしょう。

現代に生きる私たちは、あらゆる便利なものに囲まれて
快適な暮らしをしているので、昔からは想像もできないような
テクノロジーを駆使した道具を使っています。
社会環境もまるで違いますから、おそらく彼らが一生かけて
出会う数の人間に、たった1週間で出会っている筈です。

一方で、原始時代は濃密な人間関係で成り立っていました。
彼らは共同体を作って暮らしていましたが、その中に
見知らぬ人は存在せず、少数の人間が助け合って暮らしています。
ですから、関係の薄い大量の人間と出会う現代とは
真逆の暮らしと言えるでしょう。

さらに私たちは、彼らが一生かけて取得する情報を、ベッドに
寝転がりながら、たった1日程度で取得します。
働き方も、かつての狩猟採取の生活から、エアコンで温度が管理された
部屋でのデスクワークへと変わっています。

生活環境は、原始時代のジャングルから高層ビルが立ち並ぶ
街並みへと変化し、自然が大きく失われてしまったというのが
大きく異なる点です。



私たちは、自然に触れることによって・・・

・メンタルが整う
・自律神経が整う
・健康になれる

などの、様々な恩恵を得ることができます。

それは、私たちの本能に埋め込まれている、自然を求める気持ちが
満たされるからです。
原始時代から始まる人類の歴史は長い間自然とともにあったため、
自然を求めるという本能が、現代人にも埋め込まれているのです。





心と環境のアンバランスと現代病

今もサバンナにいる私たちの脳と体にとって、現在暮らしている世界は
非常に異質なものです。
ですから、人間の進化の結果と、私たちを取り巻く環境が合って
いないため、現代人の脳と心に様々な問題を発生させているのですが、
それらは現代病などと言われたりしています。

私たちは長い歴史の時間軸を意識するのが難しく、
自分が生きている時代しか認識できませんが、地球上に人類が
現れてから99.9%の時間を、人類は狩猟と採取で暮らしてきました。

その結果、私たちの脳や体は今でも当時の生活様式に最適化されています。
それにも関わらず、環境が激変してしまった現代に脳や体が適応できず、
様々な不調を引き起こしているという訳です。
とはいえ、今さらこの便利な生活を手放すことはできないし、
スマホやパソコンを使わない時代に戻れと言っても無理な話です。

ではどうすればいいのでしょうか?

・・・・・・

一つはやはり、自然に触れる頻度をもっと増やすことだと思います。
現代の環境、特に都会に住んでいる人は、あまりにも自然が少ないので、
もっと自然に触れて、自然を求める本能を満たしてあげれば、
私たちは健康に近づけるでしょう。

そして、もう一つの方法が運動です。

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