桃田享造

わたしは、昭和41年生まれ。仕事人生の大半を50~90年代映画の復刻に費やしました。日本で最初のビデオの廃盤復刻に始まり、埋もれた名作の発掘、未発売の50年代アメリカ映画・ヨーロッパ映画のDVD化に努めてきました。

桃田享造

わたしは、昭和41年生まれ。仕事人生の大半を50~90年代映画の復刻に費やしました。日本で最初のビデオの廃盤復刻に始まり、埋もれた名作の発掘、未発売の50年代アメリカ映画・ヨーロッパ映画のDVD化に努めてきました。

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映画ファンとともに発掘と復刻の日々

 映画は、映画館で観るのが一番素晴らしい体験。そして大好きな映画はカタチとしていつまでも持っておきたいですよね。  わたしは、長年DVDレンタル・セルビジネスに身を置き、1990年代の初め頃から映画の名画復刻と名作発掘の仕事をしてきました。これまでメーカー・配給会社の方々と埋もれた作品を数多くリリースしてきましたが、このまま埋もれさせたままではもったいないと考えました。そこでこれまで商品化を続けてきた50~90年代のお気に入り映画について、自分で書いたコラムや解説やエピソード

    • イタリアの艶笑譚詰め合わせ『もしお許し願えれば女について話しましょう』と『バンボーレ!』

       『もしお許し願えれば女について話しましょう』が9話、『バンボーレ!』が4話、合わせて13話のイタリア艶笑譚を紹介します。  まあ、この2本は復刻の「息抜き」みたいなもので、父のリクエストもあり、川本三郎先生と知り合うきっかけにもなった『激しい季節』でエレオノラ・ロッシ=ドラゴをもっと見たいと思い、フィルモグラフィの中から見つけ出したのが『もしお許し』です。監督は全編エットレ・スコーラ。わたしが大学時代はエットーレ・スコラと表記されていました。スコーラといえば若いころ観て印象

      • 『友情ある説得』ウィリアム・ワイラー監督の傑作ドラマ

        恥ずかしながら『友情ある説得』を観たのは復刻シネマライブラリーの仕事を始めた頃でした。ウィリアム・ワイラー監督と聞けば映画ファンはまずどの作品を想像するでしょうか。まず、映画ファンの8割はこの作品を挙げるでしょう。1953年の『ローマの休日』。傑作には違いありません。ダルトン・トランボの脚本がまず優れているし、映画のテーマも良い(未熟者の通過儀礼)。キャスティングも言うことなし。日本人の多くに愛された作品を監督したのがワイラーです。  では、その次は?ここで映画ファンは意見

        • アナトール・リトヴァク監督『さよならをもう一度』からバーグマンの『春の雨の中を』そして再び『想い出』

           一度気になると、どうしても観たくなる。それが映画の不思議なところで、最新映画よりも優先順位が高くなる、そんな経験をしたことがある方は映画ファンには多いと思います。  復刻シネマライブラリーの仕事をしていた頃、埋もれた50~60年代の名作映画の調べものをしていますと、わたしの浅い知識の外にあった、映画のあらすじやスタッフの情報に出くわすと、無性に見たくなってしまい、売れるかどうかのマーケティング根拠もないまま、「権利売りに出てないかな」「海外でブルーレイ発売済でHDマスターま

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          絵師レイノルド・ブラウンと、『妖怪巨大女』をティム・バートンがリメイクするという話

           以下は「映画.com」からの引用です。  米ワーナー・ブラザースが、1958年のSF映画「妖怪巨大女」をリメイクすることがわかった。米Deadlineによれば、新作はティム・バートンが監督、ギリアン・フリン(「ゴーン・ガール」「KIZU 傷」)が脚本を務める。  ネイザン・ハーツ監督、アリソン・ヘイズ主演の「妖怪巨大女」は、虐げられてきた裕福な人妻ナンシー(ヘイズ)が、地球外生命体により体を巨大化されたことをきっかけに、不倫している夫とその愛人を追いかけ復しゅうを果たすカ

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          一方通行の愛の結末『旅』とアナトール・リトヴァク監督の『想い出』

           恋愛映画というジャンルがあるとしたら、さらにそれを「純愛」とか「失恋」とか「不倫」とかいう風にテーマに分けて分類して、より詳しく自分の好みを説明するのって楽しいですね。わたしは相思相愛の二人が狂ったように愛におぼれていくというのも好きですが、純愛の変化球とでもいいましょうか、相手が自分を愛している気持ちは分かるけどそれは相手の一方通行である、というような話が好きです。簡単に言えば片思い。  『フォレスト・ガンプ』のガンプから幼馴染のジェニーへ。『仕立て屋の恋』の仕立て屋イー

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          新しい家族『肉体の遺産』とヴィンセント・ミネリの『蜘蛛の巣』

           『ロバート・ミッチャム、ジョージ・ペパード、ジョージ・ハミルトン、エリノア・パーカーが共演したヴィンセント・ミネリ監督の『肉体の遺産』に出会ったのは、本格的に復刻シネマライブラリーで西部劇のみならず広くドラマ作品や、巨匠たちの埋没した作品を掘り起こそうと考えてから間もない頃でした。若い時には興味が湧かなかったエリア・カザンやジョージ・シートン、ダグラス・サークのような監督作品を見ずして死ねるか、と、どうやら映画ファンとしてのわたしは、その頃一つ皮がむけたようでした。  ヴィ

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          父と息子の映画・スチュワート・グレンジャーの『連発銃は知っている』と、ジェームズ・キャグニーの『追われる男』

           この、どちらかというとあまり有名ではない西部劇をご存じの方は、相当のファンの方だと思います。どの映画史の本にも載っていませんし、誰も話題にしません。しかしながら私にとっては復刻した作品の中で思い出深い2本です。  しかし、ここでマニアックなお話を展開したいのではなく、この2本にまつわる「父と息子」のこと、そしてジャケットのキーアートのことについて最後に少し書いてみたいと思います。  『連発銃は知っている』は、1957年の作品で、監督は私の好きな『渡るべき多くの河』や『悪徳警

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          復刻できなかったクロード・ルルーシュの『パリのめぐり逢い』と『あの愛をふたたび』

           前回検討はしたものの復刻しなかった『愛のために死す』と『愛の亡霊』について書きましたが、今回はクロード・ルルーシュ作品についてです。わたし自身、クロード・ルルーシュ監督の映画とは古い付き合いです。  まだ幼稚園の頃に『男と女』が大ヒットし、我が家ではフランシス・レイのサントラ(EP)をよくかけていました。  他にもこの時代、ルルーシュとフランス・レイ、ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランの全盛期ですから、こうした音楽に浸かりながらわたしは育ちました。  高校の時に『愛と哀し

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          復刻出来なかった幻の2本『愛のために死す』と『愛の亡霊』

           シャルル・アズナブールが歌った「愛のために死す」。これは元々アニー・ジラルド主演の映画『愛のために死す』に感激したアズナブールが、映画にインスパイアされて書いた曲です。  わたしはレイモン・ルフェーブル・オーケストラの演奏で知りました。このアレンジは本当に重厚で素晴らしい。もう50年近く聴いているのに飽きません。  ピアノのイントロからストリングスへ、そしてサビで再びピアノが盛り上げ、情感が感極まり、そこから転調して、、という、ルフェーブル作品の中でも一二を争う名演です。

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          エリノア・パーカーと愛し合うために必要な『渡るべき多くの河』

           まず、わたしの書いた物語のあらすじから。  風来坊で毛皮猟師のブッシュロッド(ロバート・テイラー)はやさ男で女にモテモテ。しかし彼は北西部の安住地を求めてさすらい歩く根無し草の身で、結婚して身を固めて定住する気など毛頭ない。今日も先住民のショーニー族に襲われた娘を救ったものの、彼女の恋人と揉め事になって退散した。 ところがそのショーニー族に追撃され、あわやこれまでかと思ったその時、メアリー(エリノア・パーカー)という娘に間一髪のところで救われた。メアリーは7人家族で、気の

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          『男性の好きなスポーツ』スタンリー・ドーネンみたいなハワード・ホークス

           『男性の好きなスポーツ』スタンリー・ドーネンのようなハワード・ホークスのスラップスティック・コメディ  <このnoteは、復刻シネマライブラリーで発売したBlu-rayの特典として封入したブックレットにわたしが書き下ろした解説です。ハワード・ホークスといえばジョン・ウェインとのコンビで、数多くの西部劇の傑作を生みだした巨匠ですが、その他にもわたし達を楽しませてくれるチャーミングな作品を遺してくれました。『男性の好きなスポーツ』は、その道の専門家でもなんでもない主人公が、そ

          ¥110

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          『決闘者』 無法時代の終焉を背景に人間の本性や不安を浮かび上がらせていく秀作西部劇

          決闘者 無法時代の終焉を背景に人間の本性や不安を浮かび上がらせていく秀作西部劇  <このnoteは、復刻シネマライブラリーで発売したBlu-rayの特典として封入したブックレットにわたしが書き下ろした解説です。主演のジョック・マホニーは、かつてターザン俳優として知られていましたが『テキサス平原児』『ネヴァダの男』など西部劇にも出演しました。元女優のマーガレット・フィールドと結婚しましたが、その時の連れ子が後のサリー・フィールド。マホニーは彼女の義父です。マホニーの出演した『

          ¥110

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          『生れながらの無宿者』 西部劇×捜索ミステリーの妙味

          生れながらの無宿者 西部劇×捜索ミステリーの妙味  <このnoteは、復刻シネマライブラリーで発売したBlu-rayの特典として封入したブックレットにわたしが書き下ろした解説です。主演のジョック・マホニーは、かつてターザン俳優として知られていましたが『テキサス平原児』『ネヴァダの男』など西部劇にも出演しました。元女優のマーガレット・フィールドと結婚しましたが、その時の連れ子が後のサリー・フィールドです。マホニーの出演した『生れながらの無宿者』はニヒルなマホニーの魅力と、謎め

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          『生れながらの無宿者』 西部劇×捜索ミステリーの妙味

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          マーロン・ブランドの『ゴッドファーザー』以外の仕事『シェラマドレの決斗』

           TSUTAYAプレミアムでU-NEXTが観られるようになり、さっそく手続をして念願の『ゴッドファーザー』制作秘話にあたるTVドラマ『ジ・オファー』を鑑賞しました。大変興味深く、楽しめました。このドラマは制作のアルバート・S・ラディを主人公として描いているので、俳優たちはわき役なのですが、マーロン・ブランド役の俳優がいい感じを出していました。  復刻シネマライブラリーでは、マーロン・ブランド出演作品を1作品復刻できました。他にも調査はしましたが、リリースに至らなかった作品がい

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          『原始人100万年』伝説の八頭身

           ラクエル・ウェルチときたら『恐竜100万年』(1966年)。  ビキニ姿の原始人を演じて「20世紀最高のグラマー」と絶賛されましたね。『恐竜100万年』はイギリスのハマー・フィルムが手掛けた特撮映画で、もともとは1940年の『紀元前百万年』という石器時代を舞台にしたヴィクター・マチュア主演の恐竜映画でした。 この時の特撮はタダのトカゲ類にちょっとメイクするなどして、ズームアップして撮影し、それを背景スクリーンと合成、トカゲに猛獣の鳴き声などをオーバーダビングして、人々が

          『原始人100万年』伝説の八頭身