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日常の練習

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日々の日常の練習についてまとめました。
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ゲネプロ(通し練習)

 ゲネプロ(GP)はドイツ語のGeneralprobeの略でゲーペーと発音する。舞台用語であり、演劇の世界でも使用される用語である。オーケストラの練習には下の様な形態の練習がある。 ・ゲネプロ:本番と同じように途中で止めずに行う練習 ・初見会:その曲を初めてみんなで合わせる合奏の練習  ・ステージリハーサル:本番当日にステージ上で行われる練習    オーケストラでは使われないが、劇では「読み合わせ稽古」、「立ち稽古」、「場当たり稽古」、「ランスルー」などの練習形態もある。オー

プルト(座席順)の決定

 本番の時のプルトは一般的にはそのオーケストラの在籍年月が長い人や演奏がうまい人、経験歴が長い人が前に座る。前方にあまり弾けない人が座って演奏中に間違えてしまうと、後ろに座っている人がそれに連れられて間違えてしまうので前方に上手な人や経験の長い人が座る。しかし、そのルールを絶対に守らなければならないということはなく、様々な作戦により柔軟に決めた方が全体の音がよくなる。  初心者の多い団においては、練習時は誰がどこに座るのかを固定せずにローテーションした方がいい。座る場所によ

自宅での練習

 幼少期からレッスンを受けていた経験者の人は、これまで通り家で練習すれば問題ない。初めてスクールオーケストラに入部して楽器に触る人が家で練習するためにはいくつかのハードルを越えなければならない。まず、楽器を家に持ち帰るということが大変である。バイオリンのような一見小型の楽器でも鞄と比べると持ちにくく、細長いのであちこちにぶつけてしまいがちである。自動改札機を通るのも一苦労である。大きな楽器の場合なおさら楽器を持ち帰るのは大変である。次に家の防音の心配がある。特にマンションの場

練習の創意工夫

 スクールオーケストラにおいては、初心者が早くステージに立たてるように創意工夫をこらした様々な練習方法が採用されている。楽器を持って譜面台に向かって弾くだけが奏法上達のための手段ではない。例えば、楽器を持たずにリズム感を身に着ける練習がある。幼稚園の子供にピアノやバイオリンを教える時によく使われている方法であるが、楽譜通りのリズムを手で叩く、フォルテとピアノの音量を手で叩く強さで表現する、弓の動きを体に覚えさせるために体操みたいにしてみる、などの方法が存在する。私は、幼稚園児

インテンポの練習、ゆっくりなテンポの練習

 スクールオーケストラの合奏では、インテンポでの練習の他にゆっくりなテンポでの練習がたびたび取り入れられる。ゆっくりなテンポでの練習は、テンポ設定を適切に行えばいい練習となるが、無暗に遅くしたテンポでは練習の効果が低くなる。  全体練習の前に個人練習やパート練習を行うはずであるが、その時はゆっくりから練習するはずである。一音一音確実に音取りをし、弾けるようになってきたらテンポをあげていく。弦楽器の場合、テンポを落とした練習は通常のテンポより弓を大きく使って練習する場合と弓の

楽譜への指示の記入と慣用的マーク

 練習中に指示を受けたことは楽譜に書き留めておくべきである。全体練習では指揮者から指示があるし、パート練習ではパートリーダーから指示があるはずである。ただし、全ての指示を書き込むのではなく、下の目安を参考に書き込むようにしてほしい。 ・自分が個人練習をするために必要な情報 ・みんなが同様に書き込んでいる情報 ・自分には不要でも他の人が必要な情報 ・弾きやすくするための情報 ・譜面に元々記載されていた演奏指示から変更となったこと ・譜面に記載されているが見落としやすいこと ・

スコアの見方

 団によっては全員がポケットスコアを購入しなければならないところもあるし、スコアを持っているのは指揮者だけというところもあるだろう。建前としては、その団が使用しているパート譜、指揮者のスコア、団員各自が持つポケットスコアの版は同じものを購入し使用するべきである。本音としては、インターネットにアップロードされているものでも構わないので、全員がスコアを持っていた方がいいと思っている。中学生や高校生の場合、親からもらえるお小遣いではスコアを買うゆとりがないこともある。スコアだけのた

弓順の決定

 弓順の決定はプロでも難しいことである。何となく常識的な弓順というのが漠然とあるが、自分の常識は他人の非常識と自戒しながら考えた方がいい。スクールオーケストラにおける弓順の決定までのプロセスは様々な経路がある。  ・バイオリンのトレーナーや指揮者が全パートの弓順を決める。  ・バイオリンのトレーナーがバイオリンの弓順を決め、その後各パートのトレーナーがそれぞれ決める。  ・コンサートマスターが全パートの弓順を決める。  ・コンサートマスターが1st バイオリンの弓順を決め、

演奏時の服装、装飾品について

 どんなことをするにもTPOにあった服装が必要である。オーケストラで楽器を弾くのに不適切な装いも存在する。  どの楽器を演奏するにも時計を外した方がいい。特に弦楽器では時計が演奏中に楽器とぶつかることがある。また、左手にわずかでも重さのあるものがついていると、手の感覚がくるうこともある。装飾のブレスレットやネックレスもやめるべきでる。顎の下にしっかりと挟んだ時にネックレスが楽器に当たってしまうことがあり、楽器を傷つける原因となる。コントラバスを弾く時はベルトにも注意が必要で

練習中の飲水、ホールでの飲水

 近年の飲水に対するルールはどのシーンにおいても一昔前と比べて緩くなってきている。例えば、デパート内で飲み物を持ち歩きながらショッピングをするなんて以前はなかったが、ショッピングモールでは普通に行われており、それに引きずられるかのようにデパート店内での飲水を注意されることも少なくなってきている。また、30年ほど前までは授業中に飲水なんかしたら先生に怒られたものであるが、最近ではこまめな水分補給を推奨されており、授業中の飲水を認めている学校もある。エアコンがなく蒸し暑い教室なら

譜面台の高さと距離、演奏姿勢

 演奏姿勢は正しい姿勢をとった方がいい音が鳴る。なぜだか理由はよくわからないが、姿勢により音質が変わることは間違いない。姿勢を正すだけで音がよくなるのだったらいい姿勢で演奏した方が得であると私は思っている。演奏姿勢に影響を与える要素として、譜面台の高さと距離、椅子の座り方があげられる。譜面台を適切に調整しないとどうしても姿勢が悪くなってしまう。また、椅子への座り方が悪いだけで上半身の運動性が制限され音が出にくくなってしまう。  譜面台は個人がソロで練習する時と、本番でソリス

コンサートマスターの役割とアインザッツ

 コンサートマスターは1stバイオリンの最前列客席側に座って演奏している人である。そのオーケストラの奏者の代表者である。通常は、バイオリンの中で最も経験豊富で人望の厚い人がその役割を務める。そのオーケストラの演奏を安定させたものにしようとするなら、誰が成ってもいい訳ではなく、経験と人望がある人でなければその役割は務まらない。  コンサートマスターの役割は、指揮者と奏者の間に意思を伝達させることである。指揮者は棒で音楽を表現するが、それをさらに奏者よりの感覚になるようにコンサ

音色を表現する言葉

 「音」というものは、音程、音量、音色の三要素から構成される。音程と音量に関しては高低、大小のスケールしかないが音色は非常に複雑である。もう少し専門的な話をすると、音程、音量、音色は互いに独立しているものではなく、同じ波形の音でも音量を変えるだけで音色が変わったように聞こえることもある。  音色には印象的側面と識別的側面の二つの性質がある。印象的側面は字の通り「明るい」や「美しい」という形容されるような印象的な性質であり、識別的側面は「バイオリンの音のような」などの音の種類

指揮者の指示と奏法の指導

 指揮を生徒が振っているのか顧問の音楽の先生が振っているのかプロの指揮者が振っているのかによってオーケストラへの指示出し方が違う気がする。生徒が振っている場合、合わせるのに精いっぱいなことが多い。プロの指揮者なら音楽的な指示を出すだけでなくオーケストラが成長するように指示を出すことが多い。顧問が振っている場合、生徒の人間形成に重きをおいている人が多い印象がある。  音楽の先生が指揮を振る場合、指揮の技法のレベルは上下に幅広いと感じている。音楽の先生の学歴的なバックグラウンド