ゲネプロ(通し練習)
ゲネプロ(GP)はドイツ語のGeneralprobeの略でゲーペーと発音する。舞台用語であり、演劇の世界でも使用される用語である。オーケストラの練習には下の様な形態の練習がある。
・ゲネプロ:本番と同じように途中で止めずに行う練習
・初見会:その曲を初めてみんなで合わせる合奏の練習
・ステージリハーサル:本番当日にステージ上で行われる練習
オーケストラでは使われないが、劇では「読み合わせ稽古」、「立ち稽古」、「場当たり稽古」、「ランスルー」などの練習形態もある。オーケストラでも演劇でもそれぞれの練習形態に則した練習が必要であり、練習の目的を誤ると練習が無意味になる。GP練習(ゲネプロ)の目的には下のようなものがある。
・本番で要する時間の測定
・体力配分の確認
・楽章間の間(ま)の取り方の確認
・入退場やカーテンコールの手順の確認
オーケストラの演奏会の場合は秒単位でなく分単位のスケジュール管理で大丈夫であるが、他のジャンルでは秒単位でスケジュール管理することもある。ホールスタッフに事前にタイムスケジュールに送付するのでゲネプロを行ったうえで正確な必要時間を予め測定しておくべきである。各曲の演奏時間〇分、入場、退場それぞれの時間〇分、チューニング〇分、そのような時間を把握する必要がある。
演奏会では3曲くらいの曲数を披露することが多い。それに対し、普段の練習時は、どれかの曲あるいはどこかの楽章に絞って練習することが多い。前半プログラムで賑やかな曲目を演奏すると、本番通りの曲順で演奏したときに後半に疲れがでてきてしまうことがある。正しい姿勢で力まずに演奏していればそうならないはずであるが、力が入る部位があるとどうしても疲れが早くでてきてしまう。そのような感覚を掴んでおくのもゲネプロの役割である。ゲネプロはあまり何回も行う練習ではないが、1回しか行ってはいけないという決まりもない。練習の様子を見ながら適時GPのような通し練習を取り入れるといい。
楽章間の間(ま)の取り方の練習ができるのもゲネプロならではの練習である。ティンパニーは楽章間にチューニングを変えることもある。管楽器は持ち替え楽器を準備することもある。そのようことに必要な時間を皆で共有するためにもゲネプロ練習をする。その他、楽章間に譜めくりのための時間も必要である。譜めくりは音を立てずにゆっくりと行うが、なるべく楽章間を短くしたい時は、どのくらいの時間で全員が次の楽章の準備ができるのかについて指揮者は知っておかなくてはならない。逆に、前の楽章の雰囲気をリセットするために長めの間(ま)をとることもある。
曲間で人が入れ替わる時は必ずチューニングをする。人の出入りが無くても、曲が長い時はステージ上でチューニングをし直すこともある。曲を弾き始めてから曲や楽章が終わるまでにどのくらいチューニングがずれるのかを確認するのもゲネプロのひとつの役割である。442Hzに合わせておいたとしても、ステージで弾けばたいていはチューニングが下がるので降り番だった人とは当然チューニングがずれる。
曲を続けて演奏すると、前の曲の雰囲気を引きづって次の曲を弾き始めてしまいがちである。前の曲の最後がフォルティッシモで速いテンポだったのに、次の曲の冒頭が小さな音でスローテンポの細かいリズムであったりすると、非常に神経を使う。また、調が変わると音程を取りにくくなることがある。本来ならプログラムを決めるときにそういうことのバランスも考えて決めるべきであるが、スクールオーケストラにそこまでの知識を求めるのは無理なことである。ゲネプロを通して、曲の変わり目の確認もしなければならない。
小学校から高校の団では、入退場を含めた練習も必要となるかもしれない。舞台は上手と下手に扉があるので、どちらの扉から出入りするのか、どのような順番で移動するのか、などについてもゲネプロの時などに練習しておくべきである。
このように、ゲネプロは単に曲を通すだけでなくそれぞれの曲のバランスを見るための練習でもある。そのような練習の意義を理解してうまくゲネプロという練習形態を取り入れてほしい。