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【今週の週末ごはん】#47 「イタリア人が好きな味」イカとほうれん草のトマト煮、グリンピースのイカ墨煮、いわし煮としその実入りポテサラ

最近スーパーで美味しそうなヤリイカやスルメイカをよく見掛ける。私は醤油で煮たり鍋に入れたりした時のイカの匂いが少々苦手で、イタリアやポルトガル風にオリーブオイルと合わせる方が好み。
今回は久しぶりにこれをつくった。

◆イカとほうれん草のトマト煮

これは我が家にとってフィレンツェの思い出の味。15年ほど前に旅行で同地を訪れた際、夕食に入ったトラットリアで初めて食べた。

日本語対応可のスタッフがいると聞いて向かったところ、20代半ばほどの黒く短い巻毛に銀縁眼鏡をかけた男性スタッフがいたく真面目な顔をして現れ、わざわざ自分の座る椅子を引っ張って来て文字通り腰を据え、私たちのメニューの組み立てを根気強く手伝ってくれた。

イタリア語は全く、英語も大分苦手な日本人相手に緊張していた様子の彼が、この料理について訊ねるた時には「イタリア人がとても好きな典型的な味です」とほっとしたようににっこりしたのが印象に残り、成程日本人には思いつかない味の組み合わせであるよと食べていたく感心した。イカ特有のくせをトマトで軽減するのではなく、イカの香り、旨みにトマトの酸味やこくを加えて重層的な旨味とし、更にほうれん草の滋味、オリーブオイルが加わって完成される一品で、どれも外せない構成要素だ。大変美味しい。ソースをたっぷりパンでぬぐって食べるとまた最高。

故にこれを作るならほうれん草の美味しくなる晩秋以降が良いのだが(時季外れの味の薄いほうれん草を使うくらいなら冷凍もの推奨)、久しぶりに食べたくなったので少々フライング。

つくり方は至って簡単。
それだけにイカの皮を予め剥くとか、ほうれん草のあくを抜く(最近はあくの少ないほうれん草も多いが)等の下処理を丁寧にすると格段に美味しくなる。オリーブオイルは青っぽいコクのあるタイプをおすすめ。

①イカ200~250gは洗って水気をペーパータオル等でふき取り、食べやすい大きさに切る。胴体やえんぺらは短冊切り、足は食べやすい程度にまとまっていればOK。できれば皮は剥いた方が、口当たりが格段に滑らかに。
②玉ねぎ1/2個はスライス、赤唐辛子1本は種を抜いてちぎる。ほうれん草1/2束(お好みでもっと入れても)は洗ってざく切りに。あくが強い場合は下茹でまたはレンチンして洗い、軽く絞る。
③圧力鍋または厚手の鍋にオリーブオイル小さじ1と唐辛子を入れてじわじわ熱し、香りが立ったら玉ねぎを加えて弱めの中火で透き通るまで炒める。
④ ③に①のイカを加え、色が変わる程度にさっと炒めてローリエ1枚をのせ、白ワイン50ccを回しかける。トマト缶1/3~1/2缶をつぶしながら加え、ひたひた程度に水を足して蓋をする。圧力鍋なら圧力をかけて15分、普通の鍋なら20~30分程度、イカが柔らかくなるまで煮る(途中で水が足りなくなったら適宜追加)。
⑤ ④に②のほうれん草と塩少々を加え、ほうれん草がくたっと馴染むまで7~8分弱火で煮たらできあがり。仕上げにワインビネガー少々を加えても味が締まる。食べる際はオリーブオイルをかけて供する。
バサッとした田舎パンに最高によく合うので、是非パンを添えて。

★イカは煮ると一度は固くなり、更に煮続けるとふんわりと柔らかくなるのでやや煮過ぎかな、ぐらいに煮てください。

◆グリンピースのイカ墨煮

イカの料理を作ったので合わせて試した一品。
グリンピースをイカスミで煮るのは本で見たことがあり、簡便的に市販のパスタソースを使ってみた。パスタ用なので若干油は濃かったものの、組み合わせとしては好きな味。よりシンプルな味のソースを使えば定番化できそう。もちろんイカから墨を取り出して使うと本格的。

こちらも至って簡単で、今回は玉ねぎも入れたが入れずに茹で豆だけをイカ墨と煮ても十分美味しいと思う。
やはりスライスして透明になるまで炒めた玉ねぎに茹でグリンピースとその茹で汁適量を加え、様子を見ながら少しずつイカ墨ソースを加えて好きな濃度・味に調整。赤唐辛子はお好みで、入れても入れなくてもOK。
これもパンにいたく合い、白ワインもすすみます。

◆いわしのハーブ煮としその実入りポテトサラダ

だいぶ前に買った「いわしのレモンハーブ漬け」を使いたくて作った。「漬け」とあるけれど、ほぼ「いわしのレモン風味缶詰」的な味。しっかり味もついている。

魚缶×ポテサラはまず間違いのない組み合わせなので、その他の味付けのいわしや秋刀魚、鯖等いずれでも美味しくできると思う。
今回はしその実をアクセントとして加えてみた。プチッとした心地好い食感、爽やかな和の香りが加わって美味しくできた。ここはケイパーよりもしその実。

つくり方のこだわりは、茹でじゃがいもは粗くつぶして熱いうちに酢(ワインビネガー・果実酢よりも米酢・醸造酢をおすすめ)を加えて馴染ませること。玉ねぎはできるだけ薄くスライスしてぬるま湯にさらし、しっかり絞って使うのが好き。マヨは少なめ、こしょうは多め。塩もみきゅうりは歯ざわりのアクセントにもなるのでやや多めに入れたい。
いわしに味がついているので、それ以上の味付けはなし。柑橘をギューッと絞ってどうぞ。カリッとしたパンに合います。

◆れんこんのはさみ焼き

れんこんのはさみ揚げは、若い頃は居酒屋であると大概注文する大好きなメニューだった。試しに焼いて作ってみたところ、これはこれで美味しい。
ポイントは、熱が通りやすくするためれんこんを薄めにスライスすること。予め軽くレンチンしてから具を挟んで焼いても良いかも。
今回は小麦粉をまぶして焼いたが、卵液をくぐらせた方がより美味しいかも。具は叩いた海老と玉ねぎ、酒、片栗粉。もちろん鶏や豚のひき肉でも美味しいと思う。

白ワインがすすみそうなお皿。柑橘はシークワーサー

この日つくった中では「豆+イカ墨」が私的には一番のヒット。とろりと甘いグリンピースがこんなにもイカ墨と合うとは!他の豆とも合わせられるかも知れないので、金時・うずら系の豆でも試してみたい。
それと、この青っぽさが好愛称なら同じような青っぽい風味と甘味を持つ茹でブロッコリーと合わせても美味しいかも。これもいずれ試そう。


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