ASDさんはなぜコミュニケーションがうまくいかないのか?
■シングルレイヤー思考について考える
Ⅰ.なぜASDさんは、コミュニケーションがズレてしまうのか?
普段コミュニケーションする中で
次のようなモヤモヤ感を抱いている
ASDさんはいませんか?
ASDさんと定型発達の関係で一番多いのが
「コミュニケーションがうまくいかない」
という悩みです。
ASDさんは基本
相手に共感しにくい傾向があり
かつ話に集中しづらいという特徴があります。
その影響から
定型発達の人との会話が妙に噛みづらく
周囲から浮いてしまいがちになりやすいです。
またASDさんがいるご家族の方は
などといったすれ違いを重ね
「カサンドラ症候群」に
悩まされている人も少なくありません。
ASDさんが
定型発達の人とのコミュニケーションが
噛み合わず、すれ違う最大の理由として
「思考の仕組みが根本的に違っている」
ことが影響しています。
ASDさんと定型発達との考えの違いは
「脳の神経回路の偏り」「脳機能の損傷」
などが原因と言われています。
今回の記事では
などをテーマに詳しく解説していきます。
Ⅱ. 定型発達とASDさんの思考の違い
<定型発達の思考>
定型発達の思考には次の特徴があります。
定型発達は脳内で
複数のレイヤーで思考を行います。
なので幾つかの仕事を与えられても
納期や手間などを色々な側面から判断し
手順を整理できるのです。
<ASDさんの思考>
反対にASDさんの思考は
どのような特徴があるのでしょうか。
そのため複数の仕事を与えられると
ASDさんは混乱します。
また白黒思考という極端思考なので
完璧主義にハマりやすいです。
他人への感心が薄い影響から
人の気持ちが分からず怒らせてしまいやすく
曖昧な感覚が理解しづらいことから
トラブルに繋がりやすいのです。
Ⅲ.「シングルレイヤー思考」の特徴
ASDさんは
「シングルレイヤー思考」
と言われています。
シングルレイヤー思考とは
一度に1つのことしか情報処理できない
という特徴があります。
いわゆる一点集中型ですね。
シングルレイヤー思考には
どのような特徴があるのか解説していきます。
❶平面的に思考する
イメージとしては「マインドマップ」を
想像してもらうと分かりやすいです。
ASDさんは複数の角度から
物事を見つめるのが苦手ですが
一つのイメージに対してしか
想像できないのが理由です。
他の話題が入ると
途端に思考が霧散してしまい
返事に詰まりやすくなります。
例えば
「今日何が食べたい?」と質問されると
ASDさんは
「何が食べたいか」の話題のみ
頭の中にインプットされます。
頭の中では一つの話題に対して
様々な考えが浮かぶため
それ以外の話題が頭に入らず
またすぐに返事をすることができません。
マインドマップに無い話題を振られると
ついていけなくなってしまいます。
❷注意・関心が一部しか向けられない
例えばショートケーキを眺めます。
定型発達の場合
ショートケーキ全体に目がいきますが
ASDさんの場合
イチゴのみに目が向きます。
一部分のみに視点が向くことを
「シングルフォーカス」と言います。
ASDさんは
一つの情報に注意が向くと
他に注意が向かなくなりやすいです。
まさに「木を見て森を見ず」。
会話していても
話の一部にしか注意が向かないため
話の全体像を把握しづらく
本題ではない話の細部に
気を取られやすいです。
その他、相手の言葉に集中している間
相槌や目配せなどといった
非言語コミュニケーションに
気づきにくいのも特徴。
相手の話を全て聞こうとするも
本題の無い雑談や
ガールズトークなどといった
だらだらしたおしゃべりでは
言いたいことが分からず
混乱してしまうのです。
❸白黒思考で考える
物事とは
常に白黒ハッキリしているものではなく
グレーゾーンな部分も含まれています。
しかし、ASDさんは
「白か黒か」「善か悪か」「好きか嫌いか」
などの極端な二分思考をする影響から
「適当に」「大体」などといった
曖昧さが分かりにくい
という特性を抱えています。
Ⅴ.まとめ
ASDさんの思考は
言葉が平面的に連なっていて
マインドマップ状態になっている
「シングルレイヤー思考」が特徴。
その影響から
会話の内容に合わせた言葉を
選ぶことが難しいです。
また言語記憶や
ワーキングメモリーを保つことが苦手なため
会話の内容を忘れてしまいやすいです。
ASDさんは
孤立しても大丈夫というわけではありません。
脳の働きの違いによって
問題が生じ、辛い思いをしています。
ASDさんは
脳機能の損傷などから生じる
定型発達との差異を意識し
アウトプット法を工夫するなど
溝を埋める努力をする事が大切になります。
また定型発達の人も
ASDさんの思考の特徴を理解し
寄り添ってほしいと願います。