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パニック発作を和らげよう〜④「安全感」を獲得するコツ

パニック発作を和らげる為の知識を増やす今回のシリーズ記事、いよいよ今回が最後です。
ラストは、「安全感」を獲得する方法をお伝えします。

前回までお話しして来た通り、迷走神経には大きく二つの系統があります。
主に横隔膜より上にある「腹側迷走神経系」と、横隔膜より下の臓器にある「背側迷走神経系」です。
いずれも敵からの防御を目的として発達してきた神経と考えられていますが、ピンチの時の防衛反応として働く「背側迷走神経系」は、あたかも「死んだ」ように見せかけるような働きをします。

脳腸相関

脳腸相関(のうちょうそうかん)とよく言いますが、「背側迷走神経系」は主に消化器官に分布されている為、働きが落ちれば、腹部症状を生じさせることとなります。
不安や恐怖が強い人達の、胃腸の調子がなかなか安定しないのはこの為です。
わたしも生まれつき腸がすこぶる弱く、様々な胃腸の疾患で度々病院に通って来たし、悪化して長引いてしまったIBS(過敏性腸症候群)の治療中でもあります。

【Vagal tone】
こころとからだの調子を安定させるのに不可欠な迷走神経の活性を、英語圏では”Vagal tone”と呼び、健康維持をするのにとても大切な要素とされています。日本でもなかなか馴染み深いので、取り入れることに抵抗が少ないと思います。

1.寒気に触れる
定期的に寒気に慣らしておくことで、交感神経の緊張が和らぎ、迷走神経を介した副交感神経の活性化が促されます。
お風呂上がりで体が温かくなった頃、足に冷水をかけるのも迷走神経を活性化するのに有効です。

2.歌を歌う、ハミング、うがい
迷走神経は声帯にも分布し、声のトーンを調整しています。
歌ったり、ハミングしたり、うがいをしたりすることは迷走神経の刺激となります。
心拍数を減らし、迷走神経の活性(Vagal tone)を改善させることが知られています。

3.深呼吸
深くゆっくり呼吸をすることで迷走神経の刺激になり、不安やストレスを軽減させることが出来ます。
通常10〜14回の1分間の呼吸回数を8回以下に減らすと、心身共にストレス軽減されます。
様々な呼吸法の内、逆腹式呼吸は迷走神経への刺激が入り易いと言われます。

4.笑う、他者と交流する
迷走神経を刺激するのに最も適した方法の一つが、仲の良い仲間や家族との交流です。
わたし達が心の底から「安心」や「安全」を感じた時、迷走神経の働きが活発化し、IBS(過敏性腸症候群)やSIBO(小腸内細菌異常増殖)で見られるような腹部症状の解消に大きく貢献します。

5.運動、ヨガ、気功、瞑想
研究によると、適度な運動やヨガ、瞑想は、副交感神経系を刺激し迷走神経の活性化に役立ちます。
これらはポジティブな感情を高めてくれ、自分自身や他の人に対する好意的な感情を抱き易くなり、リラクゼーション効果に繋がります。

6.マッサージ
マッサージを受けることで交感神経の緊張は軽減し、迷走神経の働きは活性化します。
特に、スキンシップや豊かな人間関係は愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌にも役立ち、より深いリラックス効果が期待出来ます。

7.サプリメント、薬剤
栄養は食事から摂取することが基本ですが、不足しがちな場合にはサプリメントなどで補給することも有効です。
ビタミンB群やオメガ3系脂肪酸、亜鉛やマグネシウムなどのミネラル、最近ではCBDオイルや幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの前駆物質(5-HTP)なども副交感神経を介した迷走神経の活性効果が注目されています。
また、愛情ホルモンであるオキシトシン製剤の内服も、ストレス耐性を高めることによる迷走神経の活性効果が期待されています。


【東洋医学】
漢方薬、ツボ、鍼灸により迷走神経を活性化することも可能です。
漢方薬については体質によって選択肢が変わってくる為今回は割愛しますが、ドラックストアでも購入可能ですし、保険診療の漢方薬もありますね。
まずは、ツムラやクラシエの体質診断のページ等で体質に合うものご覧ください。

ツボは自宅でも押すことか出来ますし、最近では、火を使わない簡単なお灸も市販されています。
わたしは、せんねん灸と小豆で作られたカイロを季節を問わず愛用しています。

東洋医学では、体を冷やさないこと、体内の余分な水分や熱などの巡りを改善することが重要視されます。


先の見えないつらさや痛み、それに伴うさらなる不安に絶望的になって何も出来なくなっていたわたしも、沢山の知識と習慣改善によって、それなりに自分の身体と付き合えるようになって来ました。
一つの改善の為に、毎日徹底して意識し行動を変え続けることはとても難しいし、その頑張りがストレスになってしまったら元も子もありません。

大切なことは、「今の自分」が「さほど頑張らなくても出来ること」を「少しずつ」取り入れること。
そして、成し遂げられなくても、その瞬間その選択をした自分を全身全霊褒め尽くしてあげること。

特に東洋医学では、からだの悩みを治すまでに、悩んで来た歳月の倍は掛かると言われています。
気長に、緩やかに、自分の中のトラウマと向き合ったり、向き合わないで開き直ったりしながら、自分自身を愛せず苦しむ人達それぞれが「わたし」とソウルメイトになれることを祈っています。

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ゆき
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